#歌仙受けリレー企画まとめ

鴇宮あお @ao_tkmy

鏡の向こうで君が嗤う。深い深い紅を湛えて。さながらそれは溢れ出す血潮そのもので、心の底から美しいと思う。思わず伸ばしかけた指が鏡面に触れるその前に、ぎゅっと手を握りしめる。「もういいだろう？ほら、早く。この手を取って」そう囁く声に気づかない振りをするように、僕はそっと目を閉じた。

雪味＠矜持2新刊BOOTH通販 @yukimiaji

「…じゃあ、また明日な」「ああ、おやすみ」微笑んで身を返した後ろ姿へ微かに動く指先と、堪えるように飲み込まれる言葉を歌仙は知らない。躊躇いを振り切るように背を向け足早に去る姿と入れ替わりに、そっと足を止めて向けられる視線がある。遠ざかる長い髪を追いかける表情を、和泉守は知らない。

夏夜鹿🌸原稿中 @natsu_yoruka

貴方の髪は濃藍、月頂く夜の空……沈む前にと、伸ばした手はその月を掴み損ねて虚空を薙ぐ。 まだ逢瀬を始めて三日しか経たぬのに、触れて良いものではないだろう。だが俺も、その日昇る曙の空をただ見つめるのも耐え難くなってきたものだ。

帆野 @maronmilk_hanno

日差しが強くなる前、涼しい早朝。兄様と育てていた朝顔が咲いた。本丸の生垣に花開く朝顔。兄様達は「左文字の色ですよ」と言っていたけど、紫から紅に柔らかく変化している色合いは、僕には之定のように見える。花広がりは袴のよう、蕾も彼の指先のように優雅だ。彼の部屋にも飾ってあげようかな…

帆野 @maronmilk_hanno

僕は朝顔の茎を1本、僕自身で丁寧に切り、笠に入れて運ぶ。そして本丸に…あった、一輪挿し。漆黒の陶に薄紫の華は映えるね…きっと。僕はそれを之定の部屋に運び。筆でさらさらと何かの文章を書いている之定は訪問者の気配にふと顔を上げ、花瓶に生けた朝顔を見て、彼の…歌仙の笑顔が花開いた。

hiro6636 @hiro6636_nui

一. 塩に砂糖、蜂蜜それに檸檬を一切れ。玻璃の水差しの中はいくつもの半月が金の衣を纏って踊る舞台のよう。水面に西洋薄荷の葉を一枚浮かべた後は月の様に薄く金色に光る液体を氷室に入れて彼の帰りを待つばかり。

hiro6636 @hiro6636_nui

二. 歌仙は遥か馬上の人を思って外を見た。残酷な迄に大地を照らす太陽に焼かれて庭の草木は萎びている。じっとりと蒸した道を歩いた欠け月は一時の涼を楽しんでくれるだろうか。

春月 灯@とうらぶ @akari_snw

目の前で、歌仙が眠っている。それを見守るのが俺の密かなお気に入りだ。こんな顔、見られるのはきっと自分だけ。その優越感に浸りつつ、じっと歌仙を見つめる。やがて歌仙が、露草色の目を開く。それが俺の顔を捉え、ふっと柔らかく細められる。「国広……おはよ」「ああ、おはよう」俺だけの歌仙。

まこ と @kouya542

「ねえ同田貫、君の目はなんでそんなに鋭いんだい」「目が離せねぇ誰かを見ててやる為」「じゃあ君の耳はなんでそんなに平たいんだい」「話好きな誰かの話を聞いてやる為」「じゃあ君の手はなんでそんなに大きいんだい」「その誰かを離さねえ為」 馴れた問答に満足した歌仙は腕の中で楽しげに笑った。

はるか@極、育成中 @harca1977

歌仙の指は繊細に動き、様々な物を生み出す 彼の料理もその1つ 手際の良さに見とれつつ、小狐丸は稲荷寿司を作る歌仙の手元の皿から揚げを1枚摘むとひょいと口へ運ぶ 「小狐、行儀が悪い」 「歌仙の料理は旨いから待てぬ」 「全く‥‥でも嬉しい言葉だ」 照れた歌仙に、小狐が笑みを浮かべた