#今日の神通さん 浴衣花火デート編

久々にすけべ要素のない健全な神通ちゃんを書いた気がする(こなみ)
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しぐなす @Cyg_Ciellenne

ここで神通さんと浴衣デートSSをCKちゃんが書けばこの三連休で浴衣神通さん絵がウハウハってわけよ(他力本願

2015-07-17 19:56:59
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

げ、原稿が……いやしかし……オォンン!(睡眠時間を削ることを選ぶ患者)

2015-07-17 19:57:45
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「神通。一つ聞いていいか」 「なんでしょうか?」 手を止め、神通は提督の方に顔を向けた。 「浴衣は持っているか?」 もっと事務的なことを聞かれると予想していた神通は面食らった。 「浴衣……ですか? あ……はい。持ってはいますが」 確か、一着あったはず。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:05:09
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「明日、花火大会があるらしいんだ。非番だし見に行かないか? せっかく浴衣を持っているんだし」 「一緒に……花火に?」 ――提督と一緒に、花火を見に行く。 神通の胸の奥で心臓が飛びはねた。 「喜んで」 喜びの感情を理性で押しとどめ、神通は小さく頷いた。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:09:39
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「お姉ちゃん、どうしたの? 急に古い荷物を引っ張りだして」 「なーんか怪しいよ神通~?」 普段とは様子の違う神通に気付いた姉と妹が興味を示した。 「な、なんでもないの!」 浴衣を探そうと部屋を家探ししている、などとは口が裂けても言えない。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:16:54
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「古い服を整理しようと思って……」 「お姉ちゃん、怪しい」 神通は嘘をつくのが苦手だ。ましてや姉妹ならすぐに分かる。 「さては提督に何か吹きこまれたなぁ~?」 川内が意地の悪い笑みを浮かべながら神通ににじり寄る。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:21:32
silk @silk_fff

神通ちゃんにボイスが追加されたヤッター!!という喜びのまま浴衣神通ちゃん描いたよ!!一緒にお祭り行きたいね pic.twitter.com/NNVmF4vrBf

2015-07-17 22:22:31
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CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「お姉ちゃん?」 姉と妹に左右から詰め寄られては、神通に逃げるすべはなかった。 「実は、提督から花火を見に行こうってお誘いを受けて、浴衣を探していて……」 「くくっ、そんなとこだと思った」 「お姉ちゃん、分かりやすすぎ」 川内は吹き出し、那珂はからからと笑う。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:26:52
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「じゃあ私は神通の浴衣を探すから、那珂は小物をよろしく!」 「おっけー!」 川内の命令に那珂は敬礼し、自分の衣装箪笥を漁り始める。 「あの、私は……?」 「「睡眠不足はお肌の敵!」」 「お、おやすみなさい……」 姉と妹に同時に怒られ、神通は布団に潜り込んだ。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:30:33
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「提督、お待たせしました」「あぁ、神通――」 待っていたよ。と続けようとした提督の口が開いたまま動きを止めた。「変……ですか?」神通は不安そうに肩をすくめる。 「いや、そんなことはない! その、なんというんだ。似合っているよ」「提督に褒めていただけて嬉しいです」 #今日の神通さん

2015-07-17 22:37:06
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

神通らしいおとなし目の色と柄の浴衣。綺麗に結い上げた髪。 普段髪で隠れていて見えない耳元が露わになっている神通の姿は提督の心を揺り動かす。 碧色の珠がついたかんざしが彼女の美しさに華を添えていた。 「浴衣も似合っているよ」 「ありがとうございます」 #今日の神通さん

2015-07-17 22:40:04
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

花火の時間までまだ30分ほどあった。通りには露店が軒を連ね、美味しそうな香りと呼び込みの喧騒がここまで伝わってくる。 「少し見ていくか」 「はい」 二人、連れ立って人混みの中を歩いて行く。 「射的か」 射的屋の前で不意に提督は足を止めた。 「一回やらせてくれ」 #今日の神通さん

2015-07-17 22:44:56
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「はいよ。300円」 訓練時代を思い出すのか、小銭と引き換えにコルク製の弾を受け取りおもちゃの鉄砲を構える提督の姿には真剣なものがあった。 「神通、どれがほしい」 提督はおもちゃの鉄砲の照準を覗きながら神通に質問する。 「では、あの犬のキーホルダーを」 「よし」 #今日の神通さん

2015-07-17 22:47:28
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「いやぁ、すまん。つい熱くなってしまった」 結局、神通が欲しかった犬のキーホルダーを手に入れるのにコルク弾30発、しめて900円を消費した提督は苦笑しながら頭を掻いた。 「提督らしいです」 神通は苦笑しながら提督に貰った犬のキーホルダーを握りしめる。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:52:20
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

ドンッ まばゆい光から数秒遅れて遠雷のような響きが夏の夜のぬるい空気を揺さぶる。 「お、始まったか」 近くの観衆からも歓声が上がった。 「どこか、座れる場所があればいいのですが」 「あるといいけどね」 横目で花火を見ながら座れそうな場所を探す。 #今日の神通さん

2015-07-17 22:56:36
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

ようやく座れそうな段差を見つけた時にはすでに花火は中盤にさしかかり、夜空には色とりどりの光の花が咲きはじめていた。 「私、大きい花火って苦手だったんです」 「大きい花火?」 「手で持ってやる花火とかは好きなんですけど、こういうところはちょっと苦手で」 #今日の神通さん

2015-07-17 23:01:52
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「人混みが苦手?」 「それもありますが、終わったあとの寂しさが、怖いんです」 神通の手が提督の手に重なる。 パララララ 光の大瀑布が夜空に広がり、神通の顔を浮かび上がらせる。 「あんなに綺麗なのに、一瞬だけで、その後に残るのは煙だけ」 #今日の神通さん

2015-07-17 23:06:54
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

神通の表情が翳る。 「だからこそ、綺麗なんじゃないか」 「え?」 「あの一瞬のために何ヶ月も準備して、何日もかけて調整して、始まれば20分で終わってしまう」 途中から何を言っているのか自分でもわからなくなり、提督は愛想笑いではぐらかす。 #今日の神通さん

2015-07-17 23:14:57
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「俺は大きい花火も好きだし、往く路を照らしてくれる明かりも好きだ」 「提督……」 彼なりに伝えたいことを察した神通の顔が熱くなる。 「私は――」 あなたの往く路を照らす光になりたい。そう続くはずだった神通の言葉は喉のあたりで引っかかって出てこない。 #今日の神通さん

2015-07-17 23:18:49
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「神通は、どっちになりたい?」 真剣な眼差しを向けられ、神通は言葉に詰まる。 艦娘としてなら、大きな花火として死ぬことこそが本懐。 「俺は神通には明かりでいてほしい」 ――ずるい人。 神通は答えるかわりに目を閉じた。 遠い花火の音と同時に、提督の唇が触れた。 #今日の神通さん

2015-07-17 23:23:42