- kamakiri_ys
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古典でも量子でも、ある変数、量子ならbounded operator, 古典ならbounded measurable functions, の期待値を吐き出す関数を考える。それが状態というものだとする。古典の場合、それが確率分布になっててほしいのだけど、そうはならない。
2015-07-17 17:49:47何になるかというと、有限加法的測度になってしまう。つまり、排反な事象の確率を足しあげても、そのどれかがおこる確率にならないかもしれない、 という変なものが出てくる。当然、量子でも同じ。density を持たない状態は加算加法性がない
2015-07-17 17:55:52そういうものは数学的な道具で、操作的意味がないとずっと思っていた。有限のサイズのスピン系を無限に飛ばした極限なんかは、確かに状態はんかすうでしかかけないけど、それは粒子が沢山の近似ってことだろう。
2015-07-17 17:59:47それが、statistical implications of finitely additive probabilityなる論文を見つけた。イントロを読むと、beliefの表現としての確率はfinitely additiveでもcountable additiveとは限らんと
2015-07-17 18:02:32引用文献をみると、de Fenietti とかlindley とか錚々たる人たちがそういうことを論じてるわけ。勉強するかどうかは思案中だけれど、もしもこういうものに操作的意味が付くなら、数学的にはきれいですっきりする。
2015-07-17 18:04:47たとえば、確率分布から確率分布への写像の集合全体は弱*位相、つまりinputごとの収束の位相では閉じないで、finitely additiveなところにはみ出してしまう。なので、うっかりしてると確率分布からはみ出してしまうわけで。
2015-07-17 18:09:10量子情報でいうと、ガウス状態クローニングの話でも、最適クローニング機械は最初、一般の、密度を持たない状態が出力されるものかもしれないものとして構成。しかるのちに、実は密度を持つもので置き換えられるよ、とやる。
2015-07-17 18:11:14ちなみに、wernerらのPRLの論文をみると、ここの部分は書いていなくて、将来別に出版する、と注があるが、実はそれは出ていないですw 最近はやりの公約違反ってやつです。
2015-07-17 18:14:04とにかく、dualを取ると、思ってたものよりはみ出てしまう、というのは証明過程ではとにかく面倒くさい。なので、実ははみ出てませんでした、となってくれれば安心できてうれしい。さらにそれが状態とか確率についてのより深い理解につながるのなら、実に喜ばしい限り。
2015-07-17 18:17:54かつては、位相とかそういう面倒なことは、どうせ本質でないに違いないからどうでもいいや、と思っていた。考えがかわったのは、実際にそこでつまずいてみてからか。minimax定理というのがあって、2変数関数の片方について最小、残りについて最大をとるとき、
2015-07-17 18:25:40片方について凸で残りについて凹であり、かつどちらかの定義域がコンパクトであれば、最大と最小の順番を入れ替えれる。すると計算がモリモリ進むので長年愛用してきた。コンパクト性は一応チェックはしてたけど、どうせお守りみたいなものと思ってたら、これがないと本当にダメみたいでショック。
2015-07-17 18:44:12例えばLOCC(局所操作と古典通信の組み合わせ)全体は閉じてすらいない。なのでminimax使えない。閉じてないならその極限も含めて、つまり閉包とればいいじゃないかと思った。だけれど、この極限というのがまたまた難問。
2015-07-17 18:47:44あるプロセスを近似度を測る時、概ね二つのやり方がある。一つは、初期状態ごとに結果が近いかどうか見るもの。もう一つは全ての初期状態について、結果の距離を最小化するもの。前者が弱位相で後者が強位相。後者の意味で近ければ操作的に文句なく近いといっていい。
2015-07-17 18:51:28しかしながら、しばしば「近い」ことが言えるのは前者の意味だったりする。この意味で「LOCCの極限でできるプロセスX」とはどんなものかというと、初期状態がρのときはX'というLOCCで近似でき、σの時はX''で近似できる、という代物。つまり、入力によって実現の仕方が変えないとだめ
2015-07-17 18:54:43これって近似じゃないだろ、と思うのは自然な感覚だと思う。しかし、コンパクトにするにはこの位相でLOCCの閉包を考えないとダメであると。なので、安易に閉包とればいい、とはいえない。
2015-07-17 18:57:00minimax使えない位で悲しむな、といわれればそれまでである。ただ、この強位相か弱位相か、という問題は別のところでも出てくる。例えば、観測の過程の理論で。(哲学的な観測問題の話ではないです)
2015-07-17 18:59:18古典力学的な、連続変数の測定を、量子的なプロセスで近似することを考えます。つまり、ユニタリで回してプローブをprojectionする、と。粒子数をうーんと増やせば、確かにこういう近似ができるけれど、どうやらその近似は先の弱位相の意味らしい。
2015-07-17 19:01:39つまり、測る相手に対して、測定プロセスが変えないといけないといけないと。そんな馬鹿な、と岡本さんと小沢さんに言ったら、現実に位置の測定も粒子の位置によってかえないといけないでしょう、と返された。
2015-07-17 19:03:31それはそうですが。。。しかし、それは、測定器が相互作用できないところに飛んでいったら反応しないだろ、という話。だが、彼らの結果では、有限区間の連続測定でも同じだった。つまり、大まかな場所が分かっててもなお一つの測定器だとだめなわけ。
2015-07-17 19:05:48それに、彼らの結果で保障されるのは、状態がすごく似ていれば同じ測定器でだいたいよい、ということだけ。でも、実際の位置の観測では、位置以外の自由度の部分が少々違っても、同じ観測器でいけるようになってくれないと困る。
2015-07-17 19:10:10つまり、現実の古典的測定が量子的なプロセスで近似できてることをいうには、近似するプロセスの詳細に立ち入って、現実と齟齬がないことをチェックしないといけない。強収束で言えていればそこまで立ち入った議論をしないでも、原理的には安心できたはず。でも、言えないのだから仕方がない。
2015-07-17 19:14:23ちなみに、小沢の不等式の批判の一つに、使われる量が対象の状態依存なのが気持ち悪い、というのがある。小沢先生によれば、そもそも観測のプロセスの実現が必然的に対象依存になるのだから問題ないとのこと。
2015-07-17 19:17:05位相の定義、という一見純数学的な問題が、実は操作の構成が対象に依存するか、それとも対象に依存せずに普遍的にできるか、という問題に関係してしまう。
2015-07-17 19:20:50無限次元の数学的に難しいことは理解するとして、それが身近に迫ってくるとはある時期までは思わなかった。最初にそれがやってきたのは、ベル型の、あるいはTirson型の不等式関連の話題が最初であった。Tirson不等式とは、ベルの不等式の量子版みたいなもの。
2015-07-18 00:25:06