祥鳳が語る野球列伝・プロ野球「台湾生まれの竜のもうひとりの"闘将"　郭源治」

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

えー……それでは「祥鳳が語る野球列伝」のお時間となりました。 多額な金額をもらい、チームを救う役割を担う。 それが現代における外国人選手”助っ人”の概ねのイメージでしょう。 しかし、中には契約金は安く、二軍や育成選手枠からスタートになる選手も少なくはありません。

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今回お話するのは中日ドラゴンズの選手。 中日ドラゴンズで”闘将”と言えば、やはり多くの人が”星野仙一”さんを思い浮かべるでしょう。 しかし、台湾からやってきた闘志溢れる投球を魅せた一人の投手のことをご存知でしょうか？

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今回お話させて頂くのは、台湾からやってきた「もう一人の”闘将”」 貧しさを越え、国を越え、日本で先発に抑えに活躍した名投手。 「郭源治」投手のお話をしたいと思います。

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祥鳳が語る野球列伝 プロ野球「台湾生まれのもうひとり”闘将”　郭源治」

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郭源治投手。生まれは台湾の貧しい家でした。 両親は朝から晩まで農作業。 郭源治投手は5人兄妹の長男。誰よりも家の苦労がわかる立場でした。

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約6坪程度の家に家族9人で暮らす、貧しい家。 しかし、両親は郭選手を野球チームに入れてくれます。 郭投手自身も野球が好き、でも家の事情は兄弟で誰よりも知っている。そんな葛藤を秘めながら、台湾のアマチュア球界で大活躍を見せます。

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郭投手は「金龍隊」という少年野球チームに入り3番センター、投手としては二番手として、東京で開かれた極東大会を優勝。さらにアメリカで開催された世界大会を制覇。 そして高校、大学と進学していく中で、投手としての才能を開花させていきます。

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この時の台湾野球というものは、今でこそ世界のトップレベルですが、この時代の台湾野球は発展途上。 その中での世界制覇というのが、どれだけすごいことなのかは語る必要もないでしょう。

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大学時代に台北大学選抜としてオール名古屋と対戦したとき、中日ドラゴンズが郭投手に注目します。 それが郭源治投手がプロ野球へ進むきっかけでした。

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中日以外にも郭投手に注目をしたチームはあり、声をかけた中日以外のチームもあったそうです。中日の契約金は1250万円、年俸は240万。 貧しい家で、家族の支えがあって大学まで野球を続けてきた郭投手は当然条件がいいチームへ行きたかったでしょう。

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しかし、一番熱心に声をかけてくれたのが中日。そして「信義を大事にしろ」と教えられてきた郭投手は、中日への入団を決めます。 ……しかし、その契約をするときに、ある出来事が起きます。

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郭投手の契約には当然学生の身分だったため、一家が同行し、高級ホテルでの交渉となったと言います。 しかし、郭一家が中へ入ろうとすると、ドアマンが「中に入るな！」と、郭投手の母親を突き飛ばしたそうです。

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貧しい一家だった郭一家の身なりは綺麗ではなかったそうです。 だから、ドアマンに入ることを拒否されたのです。 サービスが行き届いた日本での高級ホテルでのこの仕打ちに郭投手は悔しくて仕方ありません。

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「何をするんだ！僕の母さんだ！！」

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……郭投手はそう怒鳴りつけたそうです。 プロになれるという晴れ舞台になるはずだったのに、その仕打ち。郭投手は涙が止まらなかったそうです。 しかし、プロで活躍していく不屈の強さは、この悔しさから生まれたものもあったのかもしれません。

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契約金の1250万の半分を両親に渡し、家族へマンションを買ってあげるともうほとんどなくなったそうです。 郭源治投手が日本にやってきた時の財布の中身は3000円程度。 手荷物も風呂敷一つだったそうです。

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そんなどん底からのスタートの郭源治投手。 しかも高い契約金をもらっている助っ人ではないため通訳もつかず、日本食は口に合わず、環境への対応に苦心し、初年の81年はわずか1勝に終わります。しかし環境に馴染むため、熱心に小説や新聞を読み、日本語を覚え、文化や食事にも慣れていきました。

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2年目の82年には先発ローテーションに加わり、9勝7敗 防御率3.48と頭角を現し、74年以来のリーグ優勝へ貢献。 3年目の83年には10勝10敗 防御率3.75で自身初のふた桁勝利をあげます。

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4年目の84年は防御率3.25で13勝11敗。85年は11勝11敗 防御率3.48。86年にも11勝10敗 防御率3.65と4年連続のふた桁勝利。 ホテルマンに入店拒否された貧しい一家の長男は、ドラゴンズに欠かせない投手へ成長しました。

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87年に転機が訪れます。 86年のシーズンオフにロッテの三冠王･落合博満選手を獲得。チームの守護神だった牛島和彦投手らをロッテに放出する大型トレードが起きたのです。 そして監督は86年途中から監督代行をしていた高木守道氏から当時新人監督の"闘将"星野仙一監督に変わります。

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守護神不在となったドラゴンズ。 星野監督はその白羽の矢を郭投手に向けます。 普段は温厚で優しい郭投手への評価は「気持ちが強くなければならない守護神には向かない」と、決していいものではありませんでした。

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しかし、貧しさを乗り越え、プロになる晴れの日を壊された悔しさを乗り越えた反骨心。それを星野監督は見抜いていたのです。 当初は郭投手もチームメイトだった牛島投手からその過酷さと負けたときの辛さを聞いていたため、乗り気ではありませんでした。

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しかし、2年間現役を共にし、その資質を見抜いていた星野監督は説得を続けます。 「源治ならできる。お前の力をチームのために貸してくれ」と星野監督は説得を続け、ついに郭投手は承諾。 かくして、「竜の守護神･郭源治」が誕生します。

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87年、ストッパーとして新たな挑戦をする郭投手は「郭ダンス」と呼ばれたほど躍動するような投球フォームに加え、闘志溢れる雄叫びとガッツポーズを見せるようになります。

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投球スタイルも今までは多彩な変化球が中心だった投球から、最速151キロの速球で押し出すピッチングへ変更。 秘めていた闘志を全面に出し、己を奮い立たせて投げ込むようになります。