マイアミVSアサイラム 第三次合同演習inワールドツアー Part8

彼の陰謀が集まり、弾け―― 三度開催されたマイアミ鎮守府とヨコスカアサイラムの合同演習 その模様を実況含めてお送りします。 続きを読む
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orphe @orphechin

変化のために必要なことは何か。 それは捨てることだ。 箱が空になって初めてそこに新しいものを入れられる。 捨てるやり方は? 俺の場合は百発ぶん殴られる事だった。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:15:32
orphe @orphechin

マスクを被り、クソ田舎で自警団ごっこを始めて以来殴られなかった日はなかった。訓練の時も本番の時も、四方八方から拳や蹴りが飛んでくる。 ゲロと血と涙がその度に流れ、えずく度にかつての自分が遠くなっていくのを感じた。 そうして自分の身を空っぽにしていったんだ。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:18:19
orphe @orphechin

空っぽの箱には何かを入れなければならない。そして入れるものは決まっていた。 義務と殺意だ。 『彼女』の与える宿題を解く事でそれらは簡単に自分の体に入っていった。 町にうろついてる不良を殴り倒し、練習相手の顔面を蹴り上げる。その度に俺の中に義務と殺意が満ちた。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:21:26
orphe @orphechin

他人を痛め付ける事に長ければそれだけ『彼女』への義務は果たせるし、痛んだ傷から滲んでくる殺意も満足した。 「人を傷つけるのは好きか?」 もっともあの時そう聞かれていれば、俺は首を横に振っていたろう。 俺は『彼女』のためにやっているんだ、暴力自体は嫌いだと。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:24:18
orphe @orphechin

まだ昔の自分が残っていたんだな。 当然、今なら違うが。 でもあの頃から、薄々は感じていた。俺が人を傷つけるのは、誰かのためじゃない。やりたいから、やってるんだ。 きっと『彼女』もそれはわかっていたんだろう。だから、ある時止められた。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:26:46
orphe @orphechin

「そろそろ受験に専念する時だと思うの」 二年生の冬に『彼女』はそう言った。 きょとんとする俺を前に、「結局高校生じゃない、私たち」彼女は参考書をめくりながら言った。 「将来の事考えてる?まさか今の仕事だけしてればいいと思った?」 その呆れ顔に、面食らった。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:34:41
orphe @orphechin

彼女は参考書を俺に放り投げ、「せめて大学には行けるようにしてね、私に近づきたければ」 「*****の進路は?」俺が聞くと、彼女は笑って言った。 「アメリカ」 急に距離を離された気分になった。 聞けば東海岸の名門を狙ってるらしい。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:50:21
orphe @orphechin

彼女の評定は最高クラス。当然テストもトップレベルだ。 俺の方は…と言えば、まあ悪くはない。むしろトータルで言えばトップ1%にはいた。 毎日擦り傷だらけで夜の街を彷徨く生活だったが、表向きは学校最上位の生徒の仲間。教師は何も言わず毎学期俺に最高の評価を与えた。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:53:20
orphe @orphechin

否が応でも『彼女』の影響力を感じざるを得なかった。そういう世界の人間だったのだ、あいつは。 ところで俺のテスト成績はといえば、これこそ「悪くはない」という奴だった。上の下、与えられる仕事の合間にやっていた勉強の、その積み重ねの結果だ。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:56:37
orphe @orphechin

残り時間は少なかったが、つまるところやれなくはないという状況。 『彼女』から離されないために、次にやることがその時見えた。 自分がアメリカに行くなんて、一年の時の自分に言ったら馬鹿だと思われたろう。だがその時は馬鹿げた選択肢ではなかった。 俺は変わっていた。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 20:59:48
orphe @orphechin

もう一年の時の俺なんてすっかり忘れていたんだ。 あの時の俺には『彼女』しか見えていなくて、それ以外の事なんて頭の中に入る余裕なんてなかった。 もっとも、暴力については別腹だったが。 日々の時間の使い方が勉強で占められていく一方で、俺は夜の街に行き続けた。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 21:03:06
orphe @orphechin

誰に頼まれたわけじゃない。 そうしたくてそうしたんだ。 『彼女』の父親の良くない噂を嗅ぎ回っているブン屋を路地裏に連れ込み、その口に膝を叩き込んでやった時、俺は自分の行為のきっかけさえ忘れていた。 「人を傷つけるのは好きか?」 もちろん。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 21:06:44
orphe @orphechin

そして昼間には夜の事なんて忘れて、タルい授業をやってる教師をほっといて参考書を貪り読んでいた。 俺はアメリカに行くんだ。そう思いながら、行った後で何をするかなんて、考えもしなかった。 行って、そこで何が起きるかなんてことも。 #マイ鎮特別編

2015-10-13 21:09:16
orphe @orphechin

5th battle Final stage 羽黒・天龍(miami) vs 加賀・叢雲(asylum) showdown in "MIAMI" #マイ鎮特別編

2015-10-13 21:15:33
ぎんざめ @ginzame_x

邪神チトセオネーというフレーズ大好き #マイ鎮

2015-10-13 23:03:52
キタユキ @k_t_y_k

【……】 湿った場所にいる。日は差し込んでいるが辺りを照らすには少なく、高窓の前は無数の埃群が行き交っていた。人影は立っているものが一人。転がっているものが二人。咽び泣く声と許しを乞う声が時折上がる。積み上げられた箱やガラクタは、その様子に口を噤んでいる。 #加賀さん観察日記

2015-10-13 23:58:23
キタユキ @k_t_y_k

「ごめんなさい」 地を這う一人が泡混じりに息を吐く。まだ15,6に満たぬ少女だが、鼻は骨が折れ、鼻血の紅は大げさな化粧を顔の下半分に施していた。それだけでなく、片目は紫に腫れあがっている。 「もうしません」 塞がれていない方の目で、少女は眼前の人を見上げる。 #加賀さん観察日記

2015-10-14 00:05:46
キタユキ @k_t_y_k

その人もまた少女だった。涼しげな目元と整った顔立ちのせいか、鼻の折れた彼女と同年代のようにも、それよりさらに大人びいても見える。美しい少女は、嘆願に対して片足を少し浮かせ、哀れな少女な鳩尾にめり込ませて返事代わりとした。 「もうしません。って、何を?」 #加賀さん観察日記

2015-10-14 00:11:10
キタユキ @k_t_y_k

「ねえねえ、もうしません、って、何を?」 「げぼっ、し、シカト……ぐぶっ」 黄まじりの血を口から吐き出す。無慈悲にももう一発、鳩尾に蹴りが入れられたのだ。非道な足の主は楽しげに口角を上げると、艶やかな黒髪を垂らしつつ、吐瀉物で咳き込む被害者の顔を覗き込む。 #加賀さん観察日記

2015-10-14 00:16:43
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