「捕虜」の立場と国際法

意外と知られていなかったりする国際法上の「捕虜」という立場。 「交戦員資格」の問題だけだと思ってませんか? なお、鍵付きの人の発言は載せていません。
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気にはなっていた発言。ようやく公開

名無し整備兵 @seibihei

岸田外相の発言、会議録出たな shugiin.go.jp/internet/itdb_… これについては、辻本議員の質問が曖昧ではあるが、正しい答弁だったというべきだろう

2015-07-23 00:13:06
名無し整備兵 @seibihei

@ykkzmr いや、岸田外相の「海外派遣の際、自衛隊はジュネーブ条約の捕虜になれない」という答弁。これは、現在の政府が想定している海外派遣の枠組みから見た場合には正しい。

2015-07-23 00:17:06

まずは大前提からおさらい

名無し整備兵 @seibihei

国際法上の「捕虜(POW)」とは、国家間紛争(IAC)の場合に限って発生する概念であり、非国家間紛争(NIAC)の際には適応されない。ICRCの国際人道法教育隊の見解は次の通り。 icrc.org/eng/resources/…

2015-07-23 00:18:59
名無し整備兵 @seibihei

Q: In a non-international armed conflict, are captured enemy fighters considered prisoners of war? A: No

2015-07-23 00:20:23
名無し整備兵 @seibihei

A: The term "prisoner of war" refers to a special status... to captured enemy soldiers in international armed conflicts only.

2015-07-23 00:21:19
名無し整備兵 @seibihei

一応、国家間紛争(IAC)には実際の国家同士の紛争の他、分離独立運動や、政府が反政府組織を「交戦団体」と認定した場合も含まれはする。ただし歴史上の例はほとんど無い。

2015-07-23 00:22:37

「国家間紛争への参加はない?」という質問に対して

名無し整備兵 @seibihei

@ykkzmr 朝鮮半島有事において米国を支援する周辺事態であれば、そうした想定がありうると思います。ただ、イラク派遣型を想定したものと判断したんじゃないかな…

2015-07-23 00:31:10

政府側の「現に戦闘が行われている国家間紛争への介入はない」という発言があったような気がしたものの、明確な根拠が無いので推測ベース

名無し整備兵 @seibihei

というのは、活動の中断の条件として「外国の領域で実施する活動についての当該外国の同意が存在しなくなったと認める場合」とあること。つまり米国がIACを行っている場合の後方支援として派遣するとした場合、派遣先は米国と戦闘している当事国ではない。

2015-07-23 00:35:10
名無し整備兵 @seibihei

ここで拘束されるとしたら、既にNIAC状態になっているか、又は米国と戦闘している国の隣国のNIACに巻き込まれたかのいずれかになろうか。もちろん、米国と戦闘している国が隣国に攻めてくる、ということはありうるが…

2015-07-23 00:38:38

分かり難いと思うので例示。

1 イラク戦争で米国とイラクが戦闘している間にイラクに派遣することは、現地(イラク)政府の同意が得られない(当たり前だ)から不可能。

2 この戦闘間に可能なのは、隣国(例えばクウェート)に派遣して後方支援を行うこと。もちろん、ここでイラクとつながりのあるクウェートの反政府勢力と交戦する可能性は否定しない。ただし、その場合はクウェート国内でのNIACになる。

3 戦闘が終結し、CPAが発足してから、CPAとの合意に基づいてイラク国内に派遣することはできる。(実際に派遣した。)ここで交戦があったとすれば、イラク国内でのNIACになる。

4 IACに巻き込まれる可能性があるとすれば、米国との戦闘間にイラク軍がクウェート領内を攻撃する場合。この可能性は低いとして無視したということか。

なお「非国家間紛争(NIAC)」における被拘束者の扱い。条文では「自由を奪われた者」「自由を制限された者」という表現になっていたかと

名無し整備兵 @seibihei

ジュネーブ条約第2追加議定書のコメンタリーでは、NIACでの被拘束者について次のように書いている。 Protocol II, following the example of common Article 3, does not grant a special status...

2015-07-23 00:45:35
名無し整備兵 @seibihei

...to members of the armed forces...who have fallen into enemy hands. They are not legally prisoners of war entitled to special protection

2015-07-23 00:46:35
名無し整備兵 @seibihei

それ故に、this is why it is so important that the rules laid down in this article establish minimum guarantees.と続くわけである。これが岸田外相の答弁した「人道的取り扱い」

2015-07-23 00:47:42

蛇足ながら、交戦員資格について。

名無し整備兵 @seibihei

こういう話をしていると必ず「交戦員資格」を言う人が出て来るが、自衛隊はジュネーブ条約第1追加議定書第43条で定義されている「Armed Forces」に該当するので、別にジュネーブ第3条約の群民兵の定義を今更持ち出す必要もない。 icrc.org/applic/ihl/ihl…

2015-07-23 00:54:45
名無し整備兵 @seibihei

The armed forces of a Party to a conflict consist of all organized armed forces, groups and units which are under a command responsible...

2015-07-23 00:57:41
名無し整備兵 @seibihei

to that Party for the conduct of its subordinates, even if that Party is represented by a government...not recognized by an adverse Party.

2015-07-23 00:58:17
名無し整備兵 @seibihei

Such armed forces shall be subject to an internal disciplinary system which, ' inter alia ', shall enforce compliance...

2015-07-23 00:59:11
名無し整備兵 @seibihei

with the rules of international law applicable in armed conflict.

2015-07-23 00:59:32