エリック・サティについての湯山玲子さんの解説について

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リンク CINRA.NET 変わり者と呼ばれた異端の作曲家、エリック・サティを知る 西洋音楽300年の伝統をどうやって破壊した? 著述家の湯山玲子に聞く

当該の論点となった記述部引用

湯山:サティは、17世紀頃から300年近く続いていた西洋音楽の伝統「調性音楽(長調や短調など機能和声に基づいた音楽)」、いわゆる「ドレミファソラシド」のルールを壊した張本人と言われているんです。モーツァルトもベートーヴェンもワーグナーも「調性音楽」という枠の中で作曲していたけれど、サティはそれをぶっちぎって、グレゴリオ聖歌(9世紀頃に発祥したローマ・カトリックの宗教音楽)で使われていた音階「教会旋法」を、クラシック音楽に初めて持ち込み、「無調」といわれる音楽の先駆けになりました。そして、ドビュッシーやラヴェルが続き、シェーンベルクが「十二音技法」という無調音楽の作曲技法を確立し、そこから現代音楽が花開いていった。さらにそれはジャズや今のポッブスにもつながっている。つまり伝統的なクラシック音楽と今の音楽をつないでいるところにサティがいるんです。

糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

変わり者と呼ばれた異端の作曲家、エリック・サティを知る(CINRA) bit.ly/1SFAGb6 この記事に出てくる、サティの音楽に関する湯山玲子さんの解説は、音楽史的に看過できない誤謬があるな…。こんないい加減なこと言ってていいの?

2015-07-24 19:03:35
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 『サティは(略)「調性音楽」のルールを壊した張本人と言われているんです』『「教会旋法」を、クラシック音楽に初めて持ち込み、「無調」といわれる音楽の先駆けになりました。』 うーん……

2015-07-24 19:06:37
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 教会旋法を用いた曲なぞ、バッハの昔からあるし、ロマン派の時代にだってあるし…「調性音楽」のルールを壊した張本人? 無調の先駆け? サティの曲、思いっきり調性感じられるじゃ無いですか…

2015-07-24 19:09:06
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh で、俺が知らないだけで無調の曲があったりするの?と思ってググってみたら(一応俺、サティの全ピアノ曲CDで持ってますが…)、Wikipediaの記述に似たようなことが書いてあった。ひょっとしてこれ見て喋ってた? ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8…

2015-07-24 19:12:03
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh Wikipediaの記述も酷い。「教会旋法を自作品に採り込んだのは、彼の偉大な業績の一つである。そこでは調性は放棄され」え?

2015-07-24 19:18:51
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 「ドビュッシーやラヴェルも、旋法を扱うことによって、既存の音楽にはなかった新しい雰囲気を醸し出すことに成功しているが、この大きな潮流は、サティに発するものである。」え?え?

2015-07-24 19:20:04
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh サティは実験音楽のいくつかのコンセプトを先取りしていた、とか、機能調性を逸脱する一翼を担った、とかならまだ納得できるんだけれども。

2015-07-24 19:22:20
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 旋法を用いて従来の短調・長調に支配された機能調性を逸脱する源流をどこに見るか。いろんな答えがあるだろうけれど、少なくともフランスでの源流はグレゴリオ聖歌もカリキュラムに入れていたエコール・ニデルメイエールにあるかと。

2015-07-24 19:41:51
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh エコール・ニデルメイエールで教鞭をとっていたのがサン=サーンスで弟子がフォーレ。フォーレの音楽には、後進ほど明示的な形では用いていないが、教会旋法に着想を得た様子が見られる。そして、フォーレが教えたのがラヴェル。

2015-07-24 19:44:44
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 教会旋法(古代ギリシャ旋法)のみならず短調・長調以外の旋法、という点で見れば、フェリシアン・ダヴィッドやブロゴール=デュクドレーなどの作曲家が、民謡やアラブ圏などの旋法を用いた作品をサティ以前に作っているし。

2015-07-24 19:47:17
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh 誰か一人の影響で音楽が一気に調性破棄へ向かった、とするのは実際の影響関係を見ると明らかな誤謬だし、調性から無調へ向かうという進歩主義的音楽史観も歴史の一部を切り取っているにすぎないし。

2015-07-24 19:52:21
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh たとえばバロック以前のポリフォニーの時代には近代でいう多調性が認められるけど、それは後から見て多調に該当するというだけで、当時の作曲家からしてみればあんたらのいう調性って何?って話だし。調性というのはその後にできたフィクションの一つに過ぎない。

2015-07-24 19:56:02
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh サティの世代で旋法を用いた作曲家にモーリス・エマニュエルがいて、彼はパリ音楽院で古代ギリシャ旋法(いわゆる教会旋法)を教えてたりしたが、その彼を教えたのが、今ではほとんど知られていない作曲家、ブロゴール=デュクドレー(Bourgault-Ducoudray)。

2015-07-24 20:05:39
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh デュクドレーの文献ってないよね、と思ってググってたら、ケクランの『和声の変遷』を引用しているブログを見つけた。ここでは教会旋法を復活させた人々としてサティは名前を挙げられていない。ちなみにサティとケクランは友人である。blog.livedoor.jp/lasalledeconce…

2015-07-24 20:29:20
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh ふと思ったけれど、たぶん湯山さんは無調という言葉をあまり考えずに使っているのかも。無調という定義を考えてみれば、教会旋法は調性を拡大させたとは言えても、無調を導いたとは言えないはず。

2015-07-24 20:35:10
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh などと音楽史を語ってしまいましたが、石塚さんやきちがいさん(本名書かないけど音楽学者なんだぜ…)にビシッと間違い指摘されたりしてw

2015-07-24 20:56:25
糸且谷 aka 滝ねこ aka 社長 細谷氵竜音 @takioh

@takioh で、改めて、じゃあ音楽史上でサティの重要性ってなんなのか。のちの現代音楽や実験音楽につながるコンセプトを先駆として提示していた、という以外に。それはちょっとこれから飲みに行ってビール飲みながら考えますw

2015-07-24 20:59:43
kentarotakahashi @kentarotakahash

サティは調合や小節線を排した作品を発表したが、そのことと調性や拍子を破壊した音楽だったかは別、というのが僕の理解。素人なので、誰かきちんと教えて。

2015-07-24 20:03:14
ヲノサトル @wonosatoru

(前RT)音楽史を知らない編集者が聞き書きを適当にエディットした結果かもしれないけど、旋法=無調とか、その影響がドビュッシー、その影響がシェーンベルク(えっ?)みたいな音楽史観はいかがなものか…

2015-07-24 19:59:33
ヲノサトル @wonosatoru

(個人的な昔話)当方が作曲する上でのサウンドの好みは完全にフランス印象派だったけど、楽理の師匠が上田昭さんというゴリゴリにドイツ系の理論家だったので、シェーンベルクの「無調」がゲルマン系調性音楽の理論的帰結であることは耳にタコができるほど叩き込まれたな…

2015-07-24 20:08:09
サティ・ピアノ音楽全集

チッコリーニ(アルド)