栄光の打線史　第六回『いてまえ打線～2001～』

コイに恋する鯉千歳＠ハートに炎を！ @Chitose_carp

おまたせしました。 栄光の打線史第六回、始まります。

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強いチームというのは基本的に投手がしっかりしている、という話を聞きます。 近代野球では投手力を重視したチームが強いのは事実です。守れなければ勝てません。

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ですが、その理論を真っ向から破壊するような打線が、2001年に存在していました。 「10点取られれば11点取る」を地で行った打線。それは……

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栄光の打線史　第六回『いてまえ打線～2001～』 pic.twitter.com/y5InYH5SMM

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大阪近鉄バファローズ。昔からその打撃力をウリにパリーグを戦い抜いてきたチームです。 「赤鬼」チャーリー・マニエル選手、「若大将」金村義明選手など、数々の強打者がこのチームに在籍していました。

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が、打線が良ければその分投手も……とはいきませんでした。 これもまた伝統なのですが、長年バファローズは投手力があまり乏しくなく、 打線が爆発する前に先発が崩れてしまうことが多々ありました。

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阿波野投手や山崎慎太郎投手など、エース格と呼べる投手はいたのですが…… いかんせん、一人では勝てません。

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そんなチーム事情もあり、バファローズは1989年を最後に優勝から遠ざかってしまいます。 途中、本拠地を藤井寺球場から投手有利の大阪ドームに移すなどの出来事もありましたが それでもチームの成績は上向きにはなりませんでした。

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バファローズに風が吹き出したのは2000年の事です。 この年から監督に現役時代「コンニャク打法」の異名を取り、 自身も強打で鳴らしたかつての正捕手・梨田昌孝さんが就任します。

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2000年も結局最下位に終わるものの、投手陣では若手左腕の前川勝彦投手が1年間ローテーションを守りきり8勝。 野手陣では中村紀洋選手がHRと打点の二冠王に輝くなど、明るい材料が出てきていました。

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そして迎えた2001年。バファローズナインはは3年連続最下位に沈んでいるチームとは思えないほどの自信を持っていました。 「打線はパリーグで一番強い。あとは怪我人さえ出なければ…」 そう言う解説者も見受けられるほどにです。

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梨田監督も「ローズ・ノリ・ガルシアで100発！」と宣言するほど打線の状態はよく、 若手の大砲川口憲史選手や、ジャイアンツから移籍後レギュラーに定着した吉岡雄二選手など、 打線は着々と固められつつありました。

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そんな中、当時のチームリーダーであった中村紀洋選手はこんな言葉を残し、シーズンに臨んでいきました。

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『今年の近鉄は何かが起こる』。 中村選手のこの言葉通り、2001年のバファローズは後にとてつもないミラクルを起こすこととなります。

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4月、いてまえ打線はいきなりその力を見せつけます。 4月16日、対オリックスブルーウェーブ戦。 3連勝中のバファローズは8回まで3点ビハインドでした。

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8回裏、ブルーウェーブのマウンドにはこの年韓国球界からやってきた新クローザー・具臺晟（ク・デソン）投手。 逆転の目は無いかのように見えました。しかし、いてまえ打線の本領はここから発揮されます。

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8回に長短打を絡め3点を取り同点に追いつくと、9回にはなんと一つのアウトも取られることなくサヨナラ勝ち。 まさに電光石火、いてまえ打線が開幕早々火を噴いたのです。 そして、このような終盤で逆転する試合をバファローズは何試合も積み重ねていくことになります。

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4月を16勝11敗1分でスタートダッシュに成功すると、6月には14勝8敗と大きく勝ち越し首位に浮上。 前年までの低迷が嘘のようにチームは快進撃を続けました。

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その原動力になっていたのは、「ミスターバファローズ」と呼ばれた熱き男と、 豪快なフルスイングでファンを沸かせたナニワの4番打者でした。

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一人目は、この年55HRでシーズンHR数の記録（当時）に並んだ超長距離砲。 「ミスター・バファローズ」ことタフィー・ローズ選手です。 pic.twitter.com/bfotJ460Su

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かつてメジャーリーグでプロスペクトとして期待されていたローズ選手。 本人は長距離打者を目指していたのですが、 首脳陣が求めていたのは5ツールプレイヤーとしての成長でした。

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カブス時代のタフィ・ローズ Tuffy Rhodes blasts 3 homers on opening day in 1994 youtu.be/KnuTeebd2J0 @YouTubeさんから

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この意見の対立などもあり、ローズ選手は活躍の場を日本に求めます。 そこで獲得に名乗りを挙げたのがバファローズだったのです。

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日本にやってきたローズ選手は遺憾なく発揮します。 初年度からチーム三冠王になるなどその実力を証明。 さらに走塁面でも11盗塁を記録するなど走攻守三拍子揃った選手として一躍リーグを代表する選手に躍り出ます。

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1999年には自身初の3割40本100打点以上を記録し、更なる成長を遂げたローズ選手。 三振の数こそ多かったものの、当たれば果てしなく飛んで行くそのパワーはファンを魅了しました。