砦を守る翼竜

翼竜が何故砦を守るのか。 翼竜は本来砦を攻める側の存在ではないだろうか。
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せみみちゃん @SemimiChang

砦を守る翼竜は翼竜なので記憶能力が低く、自分が本当に守りたかったものは砦でなくその中の人間だったことも、その人間を殺したのは砦を攻め落とし現在砦を所有している軍だったことも忘れてますからね。

2015-07-26 20:59:29
せみみちゃん @SemimiChang

翼竜砦は実際のところよくできたシステムであった……少なくても戦争中は。 元々、巣を守る習性があり、群の上下関係の中で過ごす翼竜を砦を守る翼竜にするのは難しいことではなかった。 元々、ドラゴンを信仰する原始信仰を持つ兵士たちにとっても自分たちを守る翼竜は希望の象徴とされた。

2015-07-26 21:39:15
せみみちゃん @SemimiChang

岩の砦に続く石畳の路はいざというとき容易に破壊でき、敵の進行を遅らせ、そして壊れた道のことなど関係ない翼竜が遅々とした歩みの敵軍を屠っていく。 本当に実によくできたシステムだった。 戦争中は。

2015-07-26 21:41:58
せみみちゃん @SemimiChang

問題が発生したのは買ってからだった。 戦争が終わり不要になった砦の破壊を翼竜が許さなかったのだ。 石の砦を破壊するには大規模な工事が必要だが翼竜がそれを許さない。 そして砦は重要な拠点、すなわち流通にとっても重要な街道を塞ぐよう作られていた。

2015-07-26 21:44:08
せみみちゃん @SemimiChang

砦の門は戦争から復興しようとするこの国の流通を制限し、そして石畳は常に維持費で国費を圧迫した。 かつて希望の象徴だった翼竜たちは貧困にあえぐ国民を作り出す政治家と商人の悩みの種になった。

2015-07-26 21:46:32
せみみちゃん @SemimiChang

砦を守る翼竜たちの処分が決定した。 中央市は対翼竜軍、竜殺しを結成した。 その知らせを受けた辺境警備隊は反発した。 彼らにとっては今でも翼竜は希望の象徴であり、そして共に戦った戦友なのだ。 警備隊は中央市に対して軍の不可侵を要求した。

2015-07-26 21:50:27
せみみちゃん @SemimiChang

あるいはそれだけであれば、この出来事はこの国にとっては珍しくない内戦の一つで終わり、100年後、500年後の人間にとっては教科書の一行で終わる話になっていたかもしれない。 しかしながら、そうはならなかった。

2015-07-26 21:51:51
せみみちゃん @SemimiChang

ここで天竜教について少し説明したい。 先ほどドラゴン信仰という原始信仰を持つという話をしたが、それを取り込んだのが天竜教である。 元々天使を信仰していた中央市が辺境の蛮族を支配する際に彼らの信仰するドラゴンと我々が信仰する天使とは同じものだという説明をつけたところから始まる。

2015-07-26 21:55:43
せみみちゃん @SemimiChang

そうして信仰の中心を二つ持つことになった天竜教は必然的に内部に政治的な闘争を生んだ。 その争いのピークがこの出来事と同じ時期だったことが歴史を大きく動かすことになる。 教皇争いに負けたドラゴン派の枢機卿が教皇を名乗り辺境警備隊長に戴冠を行ったのだ。

2015-07-26 21:59:54
せみみちゃん @SemimiChang

こうして辺境の反乱で終わっていたかもしれない出来事は、終わりの見えない神聖ドラゴニア帝国との戦争になったのだった……。

2015-07-26 22:04:02