タイトル未定のリレー小説 第二章

ゐつき @itukikashima

@tccakk 〜第二章〜 「いや〜！天気良いっスねぇ〜！アツッ！」ここは大阪アメ村。西の原宿と呼ばれるファッションストリート。そこで変態裸エプロンと寝ぼけキリンが、広場のベンチで宴会を開いている。大量のたこ焼き、串焼き、タピオカドリンク…女子会か！「知り合いの串揚げ屋休みや！」

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@tccakk 蓮が電話片手に串焼きを口に放り込む。…大阪に着いた時、奴等の抵抗は当然予想していた。されるはずだった。なので関西国際空港を避けて伊丹空港に降り立った。それまでは皆それなりに緊張していたのである。しかしだ。待っていたのは予想外の大歓迎。伊丹に降りる事は筒抜けだった。

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@tccakk 「なんや拍子抜けやなぁ…」懐に危険物を忍ばせた蓮と滝は顔を見合せた。空港に着いた途端見えた顔触れは、本来ならば地域一帯を焦土化すれのも辞さない武闘派ばかりだったからだ。その武闘派達が一斉に頭を下げ、声を揃えた「お待ちしてました」と。そしてそのままこの歓待である。

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@tccakk だがしかし、これもそう長い茶番ではない。正規の歓待なら然るべき施設、店舗に連れられるだろう。屋外を選ぶには何か理由があるはず。慎重に向こうの動きを探る。「おぅ！いらっしゃいましたねー！55代目がお待ちの動きが！」滝が視線を向けた先に、こちらに近付く一団を見つけた。

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@itukikashima 「あれ？あいつらなんかおかしくないですか？」保が何かに気付いたようだ。ま、気づくなという方が無理か。「いいから黙って食え」滝と蓮はわかっているのか、食べる手を止めない。「え、でも、何かあの変な奴ら、うわ、うわうわうわ！気持ち悪ッッ‼︎」「黙って食え」

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@itukikashima タコ焼きを頬一杯に詰め込み、タピオカドリンクを一気飲む。よし、エネルギー充填完了！ 「お楽シみいただけまシたか？」 近付いてきた黒スーツが声をかけてきた。 その刹那、轟音が響く。 滝のトーラス・レイジングブルの咆哮。 黒スーツの眉間に風穴が空いた。

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トーラス・レイジングブル。 参考までに。 pic.twitter.com/oqZJpEIA40

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@tccakk 「うわぁぁぁ！ちょ、危ない！滝さんいきなりは！」保の頬を掠めた弾丸は確かに奴の眉間を捉えた。「ソう。いきナりは失礼デスよ滝さン」撃たれた眉間から薄い白煙を上げながら、奴はニヤリと笑い、周囲を一睨みした。周囲で静かに臨戦体勢を調えていた取り巻きが、手を下ろす。

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@tccakk その間にも眉間の穴が、独自の生き物の様に蠢き、塞がって行く。「親愛の挨拶デース」滝は何事も無かったかの様に銃を下ろした。その横で、多分致死性の毒でも塗り込んであるであろうメスを数本構えた蓮が、醜悪な物でも見る様に奴を見据える。「オマエが神(シェン)やな？」

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@tccakk 宇宙との交流は拓かれた。それは夢でも幻覚でもない。そして確かに地球は最先端を行く星となるはずだった。…コイツらが来るまでは。地球の衛生軌道上を制圧下に置き、人が宇宙に上がる事を拒むモノ。その為技術はあっても、未だ宇宙に上がる事は出来ない。その長が神と名乗るコイツ。

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@itukikashima 「イかにも」神は不敵な笑みを浮かべる。いや、不敵な笑みを真似た表情というべきか。こいつらには感情なんてない。なんせこいつらは『自己修復能力を得た機械人形』なのだから。 「サて、そろそろ本題ニ入りまショうか」神は蓮へ顔を向ける。 「豪サんと引キ換えです」

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@itukikashima 「え？ウチ？一体なんやねん。何を引き換え？え？」蓮は戸惑う。 「とぼけテも無駄でスよ。あなタの父、鹿島樹かラ受け取ったマイクロチップを出シなさイ」 「な、何ゆーてんねん？ウチは母子家庭や！親父なんて見たことも聞いたことも無いわ！」 神を睨みつける蓮。

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@itukikashima マイクロチップ。55代目無心大志にはそのありかの検討がついていた。おそらくは、今探偵カバンの中にある、血塗られたロケットの中、写真の裏に入っているアレのことなのだろう。そういえば、あの写真はどことなく蓮に似ている。そうか、あれは蓮の母の写真なのか。

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@tccakk 当然この話を蓮は知らない。蓮の父親と親友だった先代。そして先代から謎と共に託された自分以外には…。「なんやわからんけど豪は無事なんやろな！」蓮の言葉に神が頷く。そして神の横にいた黒スーツの男が、無機質な動きで空を指差した。「衛星軌道上」滝が呆れた様に呟く。

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@tccakk 「つまりお前らの本隊が豪を預かってると言いたいのか」神が不愉快なニヤリ笑いをまた浮かべた。「豪サんだけとハ限りまセンよ…」全身の筋組織を剥き出しにして、激しく誇張発達させた様な顔が凶悪に歪んでこちらを見据える。まさか…「リアルな姿を見ずに信用デキマセーン！」

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@tccakk そうだ。慌てるな。まだ豪も先代も奴等の手に落ちたと決まった訳ではない。滝の言葉に我に返り、神を睨み返す。「相変わらず疑り深いのね滝。いえ、東博士とお呼びしようかしら」神の後ろから女が姿を現した。「うぉー！めっちゃ美人！」そう言えば保、お前いたっけな。

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@tccakk 「WO！これは綺麗なお嬢さんデース！ワタシアナタ知りマセーン！」作り物ではない人間の美女。つまり奴等側についた人間…と言う事か。「あら釣れないわね。まぁ無理もないけど」「ちょ、滝さん誰っスか?!紹介して下さいよ！」保がはしゃぐが、滝は本気で解らない様だ。「私は翔」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「ショウ…？」滝の顔が珍しく真面目に引き締まる。「思い出したか？」女の顔が奇妙に歪んだ。「そこマでダ翔」神の一声で翔と呼ばれた女は恭しく頭を垂れ下がった。「期限ハ三日後」それだけ言うと、大仰かつ物騒連中を引き連れ、神は悠々と歩き去って行く。これは手始めだろう。

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@itukikashima 一団が去った後、残された4人には言葉が無かった。作戦を考えているのか。状況を理解出来ていないのか。過去の呪縛と向き合っているのか、肉親のことを考えているのか。それぞれ異なる理由とはいえ、誰一人として言葉を発しなかった。 長い沈黙を破ったのは、保だった。

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@itukikashima 正確には、あれほど食べたにも関わらず、大きな音で鳴った保の腹だが。 「っアッハハハ！お前はそうで無くちゃな！」私は保の背中を叩く。パシンと良い音が鳴る。 「せやな！考えてたってわからへんもんな！」蓮が保の背中を叩く。パシッと少ししけた音がする。

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@itukikashima 「ま、そーゆーことデース！」滝が保の背中を叩く。バスッと鈍い音がする。 「な、なんでみんな僕を叩くんですか！」 保が疑問を投げかける。 「「「保だから」」」 3人の返事は見事にハモった。 よし。このチームならなんとかなる。大丈夫だ。

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@itukikashima 「期限は三日。なら、三日以内にどうにかすればいい。質の豪は衛星軌道上。まずはこれをどうにかする」 「どうにかってどうするんです？」 「どうにかったら、どうにかするさ」 私は軽く口角を上げ、余裕の笑みを見せる。 が、正直、状況としてはかなり厳しい。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「滝、アレは使えるか？」 可能性があるとすれば、滝の所有するアレしかない。 「ジーザス！アレを使うなんて、メッカに向かってブッタに祈らずにはいられマセーン！」 「そうか、使えはするんだな。いいさ、神にでも悪魔にでも祈ってやる。よし！…アレを使うぞ！」