「キモい」という感情はどこからやってくるのか?

「キモい」という感情がなぜ生まれるのか。そう思われてコミュニティから排除されないために本人と周囲に何ができるのか。コミュニケーションに困難を抱える発達障害のある人達と向き合ってきた経験をもとにまとめました。 発達障害とコミュニケーションの関係については、以下のサイトにも記事があります。 website:アナログゲーム療育のススメ www.gameryouiku.com
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「キモい」という感情について考えている。なぜなら、この言葉こそ、思春期以降の発達障害のある人のコミュニケーション不全に対して最もよく投げつけられる言葉だからである。

2015-08-05 19:24:11
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「キモい」という感情は、ある者があるコミュニティに対し、そのコミュニティが有する価値基準とは異なる価値基準において自己の承認を要求した場合、そのコミュニティの他の構成員の中において、コミュニティを維持すべくその者を排除する目的で惹起される感情であると、私は考えている。

2015-08-05 19:30:37
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

従って、あるコミュニティに承認(参加)したいと思う人が、「キモい」と言われて集団から排除されることを避けようとするなら、①そのコミュニティの有する価値基準を読み取る②自己承認欲求に振り回されない、ということの二つの条件が必要になってくる。

2015-08-05 19:33:14
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害のある人にコミュニケーションの困難を抱える人が多くいることがわかりそこにアプローチする療育・訓練手法が実践されているにもかかわらず、実社会においてこうした人達のコミュニケーション上の困難がまるで減っていないように見えるのは、

2015-08-05 19:38:13
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

幼児期から学齢期にかけて、「自身が参加しようとするコミュニティの価値基準の読み取り」「自己承認欲求のコントロール」という二点の訓練が全く抜け落ちているからである。

2015-08-05 19:40:02
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

幼児期から学齢期の発達障害児に典型的なライフスタイル(心理的傾向)として、”孤独なサバイバー”という概念を提出したい。発達の早期においてコミュニティの参加失敗を多く経験し、「自分は人と違う存在なのだ」または「劣った存在なのだ」と思いこみ、コミュニティの参加を諦めてしまう心性だ。

2015-08-05 19:45:35
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

しかし、学齢期においては、コミュニティに参加しなくともある程度の自己承認欲求を得やすい。なぜなら、自己承認を満たす大きな要素の一つである学業が全くの個人的作業であり、この分野で一定の成績を納めれば成功すればコミュニティに参加せずともある程度自己承認欲求を満たせること、→

2015-08-05 19:53:37
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

もう一つは、保護者や教育関係者などの「理解ある大人」から、やはり一定の承認を得られるためである。ここから生み出されてくるのが、学校ではコミュニティに参加できず孤独だが、ある程度勉強はでき、大人の支援もあるのでなんとかやれている「孤独なサバイバー」というライフスタイルである。

2015-08-05 19:55:20
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ところが、思春期から成人にかけてなんとか機能していた「孤独なサバイバー」というライフスタイルは、思春期以降通用しなくなってくる。学業という個人作業の価値は低くなり、集団での共同作業におけるパフォーマンスが重視されるようになり、異性を対象とした評価ゲームがおきる。

2015-08-05 20:00:38
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

このとき、「孤独なサバイバー」は自己承認欲求を満たすため、初めてコミュニティに参加しようとする。そのコミュニティが何を尊重しているか考えようともせずに。そんな人がトンチンカンなやり方で自己への注目を促そうとするところに、投げつけられる言葉が「キモい」だ。

2015-08-05 20:07:58
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

思春期以降、この状態から自助努力だけで抜け出すのは極めて困難であることは想像に難くない。そのため、できれば思春期以前から「コミュニティの有する価値基準を読み取る」「自己承認欲求に振り回されない」ことの訓練が必要になってくるのではないかと考えている。

2015-08-05 20:12:46
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

その方法についてはアナログゲーム療育も含めて色々あるとは思うが、まずはここまでで一つの問題提起としたい。発達障害の大人から子どもまで関わってきた私個人の経験だけを頼りにした考察で甚だ雑なもの、しかもネガティブな内容で憤慨される方もいるだろう。皆さんのご意見・ご批判を待ちたい。

2015-08-05 20:14:57
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

以下補足。だから、発達障害のある子とその親御さんがしばしば言われる「親子二人三脚でやってきました」というのは、全く孤独でない点でworstではないにしても、決してgoodではないと、私は思っている。親子や教師や生徒といった上下関係ではない、対等の関係をどれだけ積めたかが重要。

2015-08-05 20:17:05
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

大切なことは、コミュニケーションに困難を抱える子であっても、できるだけ早い段階で、対等な関係で構築されるコミュニティにスムースに参加できる経験をたくさん持つことであり、そこにこそ大人のサポートが必要であると考えている。

2015-08-05 20:19:34
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「キモい」と言われ(思われ)てコミュニティから排除される原因の一つが、その人が「コミュニティの価値基準が読み取れない」ことだとするなら、そうした出さない方法の一つは、「そのコミュニティの価値基準を明確にすること」つまり、目的とルールを明確にすることだろう。

2015-08-05 21:41:36
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

結局のところ、全ては、「私は他の人に助けてもらえる」「私は他の人に貢献できる」「私はこの場に受け入れてもらえている」というアドラー心理学の「共同体感覚」をいかに身に付けるか、という問題に帰着する。ただ、この概念はあまりにも便利すぎて議論の実践性が失われるのであまり使いたくない。

2015-08-05 20:42:44
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

直接のご指摘があったわけではありませんが、先述の「自己承認欲求を満たすためコミュニティに参加しようとする。そのコミュニティが何を尊重しているか考えようともせずに。」という表現はお詫びして撤回します。

2015-08-05 20:32:24
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

全然考えてない人も確かにいる。しかし、たいていの人は一生懸命考えるけれども経験不足ゆえコミュニティの価値観にそぐわない行動・言動を選んでしまうのだ。

2015-08-05 20:33:13
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

自身とコミュニティの間に生じる葛藤を、恐れず面倒臭がらず、そして絶望せずに粘り強く向き合っていけるか・・・。明暗を分けるのはおそらくその辺りだろう。

2015-08-05 20:50:13
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

しかし、そこまでの苦労と葛藤を経てまで、果たしてコミュニティに参加する必要があるのか。「孤独なサバイバー」のままでいてはいけないのか。究極のところ、私にもわからない。

2015-08-05 20:54:44
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

しかし、もし孤独なままでいいという人がいるならば、私は問いたい。「だとするなら、なぜあなたはそんなにも他者からの承認を欲しているのですか?」と。

2015-08-05 20:56:25