【邪悪の樹――三ツ牙】第一交流フェイズ――『断ち切る者の館』

その館は、『断ち切る者の館』
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【無感動】 アパティア @Apatheia_3

「他好像天……深海一様」 道化たよに笑いますは、"笑う"形式のみを模倣したもの。 本来笑うとはこんな感情なんだ。そう淡々と伝えるかのよな、教科書通りの――形だけの笑み。 「豪邸一様」 大広間のテーブルの上にある手紙を読み終えると、浅く息を吐く。無造作に置かれた紙ははらりと落ちる。

2015-08-01 18:22:43
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

常通り中を散策していると、このようなものが見つかった。彼が見つけたのは早かったのか、それとも遅かったのだろうか。いずれにせよこの場に誰もいないことから答えは2つしかなく。 この館の中では独特の、大陸の民族衣装を纏いし者。切れ目――スリットの入った上着を直し、ズボンの皺を正す。

2015-08-01 18:28:13
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

こつっ、こつっ。館の中のとある一室で、硬質な音が響く。音の原因は杖で、杖と部屋の持ち主は青年だ。彼の部屋には言葉なき供がいることが殆どで、本日その任を仰せつかったのは、今まさに窓の外に興味を示した黒猫だった。

2015-08-01 18:52:22
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

青年は書物を紐解いていたのだが、壁に爪を立てる音を聞き咎め、近づいたのだ。蝶を追う、己と同じ緋色の瞳に、小さく笑う。 「あれは、絵だ。お前の獲物じゃない。餌なら、大広間で出してやるから」

2015-08-01 18:52:54
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

噛んで含めるようにたしなめる声は感情の読み取りにくい低いものだが、冷たさはなく、柔らかい。猫が狩りを諦めるまで待ち、一鳴きと共に青年を見上げるのを受けて、礼装に毛がつくことも厭わず猫を抱き上げると、大広間へと歩き出した。

2015-08-01 18:53:44
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

「我是淮」 果たして、これは何度と問うただろう。何十、何百、何万と。問い詰めたところで覚えの無い頭では何も答えられん。 彼は――"無感動"は眼を細めてソファに腰を落ち着かせた。 そういえばお腹が空いた気がする。腹の虫が鳴ったことに数秒して気付いた後、腹を撫でてから体を起こした。

2015-08-01 19:08:26
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

適当な間食でも良いから何か作ろう。そう考えてすぐ傍にあるキッチンへと立つ。 食料は豊富にある。欲しいものは何でも手に入るし、腹を満たすには十分な物資もある。和洋折衷様々な食材は見慣れたからか、別の理由があるのか、対して興味も無い。

2015-08-01 19:09:57
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

食事という生きるためのサイクルをこなす為、パンを用意。適当な具材を挟む。マヨネーズを塗る。これで完成。サンドイッチ。 ついでに味噌汁と杏仁豆腐も用意した。和洋折衷を織り交ぜた簡単な食事。これを"人数分" 対して匂いは広がらん。しかし物音がすれば自然と近づくだろうて、と。

2015-08-01 19:11:23
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

利き手で杖をつき、もう一方の手で猫を抱え、青年は大広間の前まで辿り着く。両手が塞がっていては扉を押し開けることも叶わないため、一度屈んで猫を降ろし、首回りを撫でた。 「大人しくしていろよ」 ごろごろと鳴る喉を返事ととらえ、扉を開く。

2015-08-01 19:43:48
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

大広間に入った途端、僅かに漂う匂いと物音に、自然と白金の下の瞳はキッチンのほうへと向いた。しかし、まずは再度腰を落として猫を抱き上げる。杖を手放さないという条件下では、それだけの動作さえ他の人間よりも時間がかかった。合間に視界の端を掠めた、物珍しいと認識している装いの相手に問う。

2015-08-01 19:44:33
【拒絶(アポーリプシー)】 @rripsi3rd

「【無感動】。食事の用意をしている最中、か? それとも、もう出来た?」 仮に前者であったとしても、青年に手伝えることは知識上も技量上も限られているのだが、机へと近づきつつ相手へと聞こえるよう調節した声で、言葉を紡いだ。

2015-08-01 19:45:20
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

ヒクリ、と睫が跳ねる。"無感動"は2本の足跡以外に、4つの足跡を察知した。耳聡く反応して顔を上げるのは悪い癖だ。 "拒絶"たる杖の人が大広間に入ってくる頃には、常通りに接する。

2015-08-01 20:21:38
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

彼はいつも不便そうに動いていた。猫くらい自由に動きまわれる、だのに、杖を離さず動くのも相まって、まるで亀の歩みのよな、と心の内で揶揄する。 こちらに向けられた視線、そして問い。"拒絶"に向く頃には一式を乗せたトレイを両手にのせていた。

2015-08-01 20:22:00
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

「不是――」 そこで何ぞ気付いたよに、眼を丸くした。そうし、"無感動"は"拒絶"が付いたテーブルの前へと。

2015-08-01 20:22:16
【無感動】 アパティア @Apatheia_3

「――もうやることは済んでしまったよ。あとで食器を洗うから、皆が食べ終わった皿をまとめてくれると助かるのだけれど。構わんだろうか」

2015-08-01 20:24:47
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

ひんやりとした空気に肌を撫でられ、男は身体を震わせた。 「うう〜ん……寒い……」 空気が冷たい。ひんやりどころかとにかく冷たい。撫でると言うより刺すという表現が似合いそうな空気の中で、男は目を閉じたまま辺りを探り、掴んだ毛布を引き上げようと腕を動かす。

2015-08-01 18:45:41
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

しかし何かに阻まれているのか毛布は動かず、何度引っ張ってもキリがない。いったいなんだ、なんなんだ。 「うう〜ん……なんだよ……って、わあ〜!!また氷〜!!」 快適な睡眠を妨害される苛立ちに、ゆっくりと瞼を持ち上げ、そして見えた光景に目を剥き跳ね起きた。

2015-08-01 18:45:59
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「わあ〜!!また部屋氷漬けだ〜!!そりゃ寒いはずだよな〜!!」 比喩ではない。部屋は文字通りの氷漬けで、何処も彼処も凍っている。毛布が動かなかったのはそのせいだ。カチカチに凍りついた毛布を拳で叩きながら、男——『無神論』は溜息を吐いた。

2015-08-01 18:46:17
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「ああ〜……なんでこうなっちゃうかな……なっちゃったもんは仕方ないけどね……仕方ないんだけどね……」 叩いても叩いても氷が溶けてくれるわけではない。『無神論』は早々に毛布を諦めると、靴を履いたままベッドに飛び込んだことに感謝しながら立ち上がった。

2015-08-01 18:46:25
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

「んあー……それよりも腹が減ったかな……こりゃ先にキッチンだな……」 悩んでも後悔しても寝ぼけて部屋を氷漬けにしてしまった事実は変わらない。部屋のことは後で考えよう。毛布どころか部屋も諦め、氷漬けのドアを開けるべく行動を開始した。

2015-08-01 18:46:29
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

日課、とでも表すべきか。肖像画を眺めることが行動サイクルの一つに組み込まれている彼は大広間へ向かい歩いている。眺めることは彼にとって意味があるわけではないけれど、そういう習慣であるからして。規則正しい静かな足音とともに廊下を進みながら、一つの扉の前を通りかかる。

2015-08-01 19:06:49
【愚鈍】イーリシォーティータ @ToeIlith

とある部屋があるこのあたりの廊下は大抵、他と比べて気温が低い、ような。けれどそれが常のことであるから彼は表情を崩さず、そのまま通り過ぎて己の日課を果たすべく大広間へと変わらぬ速度で歩いていく。急ぐでもなく、ゆったりとしているわけでもない速度。

2015-08-01 19:09:07
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

凍りついたドアを蹴り開ける。派手な音と共に砕けた氷と共にドアが壊れ、穴が開く。ちょうど人が通れるくらいのその穴に溜息を吐き、頭を掻いた。 「ああー……今回もちゃんと直るのかね……」 もう何回目になるか分からない事態ではあるが、毎度毎度心配になる。

2015-08-01 23:22:20
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

わりとなんでも思い通りになる館とは言え、いつでも願いを叶えてくれるわけではないだろう。——少なくとも、『無神論』はそう思っている。 「まあ後で考えよ。今は飯〜っ、と、」 大広間へ向かおうと歩き始めて直ぐ、廊下に一つの人影を見つけた。

2015-08-01 23:22:32
【無神論】アシーズモス @toe_atheis

その姿は見知ったもので、『無神論』はへらりと笑って、隣に並ぶべくその背を追った。 「おーい、ティータ!お前、何処行くんだ?大広間か?大広間なら、俺も一緒に行くよ」

2015-08-01 23:22:44
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