【ミイラレ!第十一話:トンカラトンのこと】(実況付き)
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放課後。体育館下にある格技室。「うー……ごめんなさい」「本当にすいません」正座した小雨とともに四季は改めて頭を下げた。「いえ、事情はわかりましたから。……特に日条君はそこまで気にしなくても大丈夫です」学生退魔師たちのリーダー、良子が苦笑して答える。1 #4215tk
2015-08-08 21:33:17大天狗のながれの助力もあり、あの場はなんとか丸く収まった。とはいえ退魔師たちに迷惑をかけてしまったことには変わりない。そんなわけで良子に頼んで説明と謝罪の場を設けてもらったというわけである。「しかし、これほどの怪異が知り合いにいるとは……」2 #4215tk
2015-08-08 21:36:01半ば感心したように呟いたのは、良子の隣に座る名雲。どうやら彼女の副官的な立ち位置であるらしい。四季はそう判断した。「山神様でもあったとは思いもしませんでした。……山から離れられても大丈夫なのですか?」「ん?あー、全然問題ないよ」彼の問いにあっさりと小雨が答える。3 #4215tk
2015-08-08 21:39:03「あたし以外にも山神はいるからね。今は私が取りまとめてるってだけで、少しくらい離れても大丈夫!」「おぬしが大丈夫でも、それに付き合わされる他の連中が大丈夫ではないわ」苦々しい声で吐き捨てたのはながれ。彼女は小雨の肩に腰掛けている。高い場所にいたいのだろうか。4 #4215tk
2015-08-08 21:42:20「それに人間どもも困るであろう。早々に山に帰れ」「えー!嫌だよ、四季を危ないとこに放っておくなんて!」悲鳴じみた声で小雨が抗議。ちなみにその瞬間には、四季は彼女の腕の中に収まっている。抵抗する間もなかった。「なんだか変な怪異がいるんでしょ、ここ?」5 #4215tk
2015-08-08 21:45:03「……『学校の魔女』と名乗る怪異が潜んでいるのは事実ですけど」良子と名雲のやや後ろで怜が答えた。この場にいるのはこれで全員である。「でも、退魔師もいます。四季はなんとか守ってみせますから」「守る、ねえ」少し困ったように、小雨が退魔師一同を見回す。6 #4215tk
2015-08-08 21:48:14「正直、君たちに四季を任せるのすごい不安なんだけど。自分の身を守るだけで精一杯なんじゃない?」「それは……!」反論しかけた怜は、しかし悔しげに口を閉じる。「ちょっと、小雨!」「うん、ごめんね。四季はすこーし静かにしててね」諌めようとした四季も口を塞がれた。7 #4215tk
2015-08-08 21:51:05「言い方はどうかと思うが、まあ小雨の気持ちもわかる」腕組みをしたながれが、厳しい眼差しで良子たちを見下ろした。「その年頃の退魔師としては確かに優秀かもしれん。しかし悪魔を従えるような存在とことを構えるには、おぬしら少々ひ弱過ぎるわ」良子は苦い顔をするのみだ。8 #4215tk
2015-08-08 21:54:08まあ、実際ながれさんが助力に来なかったら危なかったし… 小雨さんは目的が目的だったために手加減してくれたけど 学校の魔女側はそうとは限らないものね…。 #4215tk
2015-08-08 21:56:40「ゆえに!儂が一肌脱いでやろうと思う」胸を張って言う天狗に、退魔師たちは訝しげな視線を向けた。「一肌脱ぐ、とは……」「鍛え直してやる、という意味じゃ。おぬしらがどの程度退魔師をやっておるかは知らんが、あまり高位の怪異とは戦ったことはないじゃろう?」9 #4215tk
2015-08-08 21:57:02「模擬戦、ということですか」目を丸くした良子が、やがて納得したように頷く。「そうですね……そうした形でお力添えいただけるならば、これほどありがたいことはありません」「早速希望者を募ってみますか?」「ええ、お願い」名雲の言葉に、彼女は迷うことなく頷いた。10 #4215tk
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