祥鳳の語る野球列伝・プロ野球「虎一筋のベテラン速球投手　福原忍」

野球が好きな祥鳳 @baseball_shohoh

えー、それではほとんど触れられずひっそりと告知をしておりましたが、不定期シリーズ、第３回目の「祥鳳が語る野球列伝」のお時間となりました。 今回は現役選手から僭越ながら選ばせて頂きました。 皆さん大規模作戦の前で色々と準備がお忙しいでしょうが、お目汚しを失礼いたします。

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98年ドラフト会議。 超大物として「怪物」松坂大輔投手を筆頭に、のちに「火の玉ストレート」で阪神の絶対的な存在となる藤川球児投手。「幕張の防波堤」と呼ばれ、ロッテに劇場型守護神として君臨することになる小林雅英投手。

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そんな名だたる選手たちがプロ入りした98年のドラフト会議。 そんな中、当時阪神監督に就任した野村克也監督は、一人の投手を指名できたことにほくそ笑んでいたそうです。

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「よう3位まで残っとったな。」 阪神がドラフト3位で指名した投手を評した野村監督の言葉でした。 その投手こそ、現在に至るまで阪神一筋で虎の投手陣を支える「福原忍」投手だったのです。

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祥鳳の語る野球列伝 プロ野球「虎一筋のベテラン速球投手　福原忍」 pic.twitter.com/S4oYrIm6FG

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福原投手は1976年に広島県三次市で産まれ、巨人･日本ハムで活躍した二岡智宏選手とは小学校から高校まで同期という幼馴染。 その二岡選手のお兄さんの影響で野球を始めたと言います。 二岡選手と福原投手はチームメイトとして活躍し、みるみる二岡選手のお兄さんを超えていったそうです。

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そして広陵高校でも二人はチームメイト。3年時には二岡選手と福原投手の投手二枚看板を掲げ、夏の広島県大会で優勝候補として挙げられるほどに、二人は成長しました。

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しかし、広陵高校は広島工業高校に敗れ、甲子園出場を果たせませんでした。その時の広島工業の中心選手だったのが、何を隠そう"この選手"です。 pic.twitter.com/TvYCl840YV

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その後、福原投手は東洋大学で4年秋に2部リーグで6連勝をあげ、東洋大の1部復帰に貢献。その当時に150キロを超える投手として知られ、98年のドラフト3位で阪神タイガースへ入団します。 そして、前述の野村監督の言葉が、福原投手への評です。

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当時の阪神には「松井キラー」遠山奬志投手や、葛西稔投手、川尻哲郎投手など主力の投手は居たものの、揃いも揃って軟投派ばかりで、140キロ台を投げる主力投手が藪恵壹投手くらいという投手事情でした。

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90年代は最速150キロを超える投手というのは今のように多くはなく、伊良部秀輝投手が93年に158キロを記録し、夢の160キロへの注目を集めた年代でもあり、150キロを超える投手というのはある種の憧れとも言える時期でした。

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阪神についに現れた豪腕投手として、江夏豊投手がつけていた背番号「28」を貰うなど、その期待が大きかったことが伺えます。

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ルーキーイヤーは4月に新人の中で最速の初勝利を挙げ、4月中に初勝利と初セーブを挙げる球団史上初の快挙を成し遂げるなど、中継ぎに抑えにとフル回転。 新人ながら54試合登板、70回1/3を投げ、10勝7敗9セーブをあげるなど活躍を見せました。

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……しかし、防御率は4.07と安定していたとは言えないものでした。 若い頃の福原投手は150キロを超える速球こそ光るものの、変化球はあまり得意ではなく、速球の善し悪しで調子が決まるような、好不調が激しいタイプだったのです。

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2年目の00年からは先発としてスタート。 4月18日の巨人戦でプロ初完封を達成するものの、速球の善し悪しで左右される好不調の激しい福原投手は信用を得づらく、後半戦からまたリリーフに戻されました。

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シーズンが終われば36試合に登板し、先発登板は14。 117回2/3を投げ、5勝9敗、防御率3.29。成績としてはいないと困る投手ではあるものの、先発での勝利数が2、リリーフでの勝利数が3と、リリーフの勝ち星の方が多く、野村監督からの信用は得られなかったそうです。

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しかし00年の7月13日のドラゴンズ戦で当時の球団記録となる155キロをマークし、虎の最速投手といえば、現役でなら福原投手と言えるようになります。 虎が待ち望んだ豪腕投手として、密かに注目を集めていたりしました。

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01年も再び先発としてスタート。 しかし、昨シーズンから好投すると打線の援護がもらえず、打線が打った試合では失点を重ねてしまうという阪神の投手にありがちな傾向が出てしまいます。 結局このシーズンも好不調の激しさから後半戦からまたリリーフに転向と、扱いが定まらない時期が続きます。

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01年は39試合に登板し、16試合が先発。129回1/3を投げ、9勝12敗の防御率3.13。 通年で見るとそれなりに好成績ですが、01年の先発勝利は5勝に対し、リリーフでの勝利数は4勝。昨年と変わらず、先発投手としての評価は得られなかったそうです。

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しかも01年の後半から肩の違和感が生じ始め、02年は好不調の波をさらに大きくすることになり、25試合に登板し、先発登板は0。防御率を5.10まで落とし、1勝2敗と成績を大きく落としてしまいます。

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02年、星野政権へと変わったシーズンは右肩の状態が限界に達し、わずか5試合のみの登板。オフに手術を受けることとなり、03年のリーグ優勝へ盛り上がるチームの中、二軍でリハビリと調節を続ける日々となりました。

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そして、速球投手としての注目はこの年入団した「久保田智之」投手に完全に奪われます。 ルーキーながら福原投手の持つ155キロの球団記録を更新する156キロをマークし、新人ながら26試合を投げ89回1/3を投げ、5勝5敗の防御率3.12とリーグ優勝に貢献したのです。

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……ファンというのは温まりやすく冷めやすいもの。 すっかり福原投手の存在は、このまま消えていくだろう投手クラスに評価を下げていたのです。

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しかし、このシーズン福原投手は黙っていたわけではありません。 一軍に上がれない間、速球一辺倒の投球では限界だと悟り、緩急を付けるべくカーブの習得に黙々と調節を続けていたそうです。

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03年終盤に復帰すると、最高速度は落としたものの、それでも十分なストレートとスローカーブの緩急をつけるピッチングで8月31日のスワローズ戦を0に抑え勝利投手になります。