「1巻はキャラクター紹介で終わった」と感想を持たれる作品への一考察
- akinosora_
- 17640
- 4
- 17
- 1
作家・新井輝のざっくりしたアカウントです。アイコンは女体化キャラのテルさん(by Bou先生 @bou_wired )。
カオチャは妄想トリガーとかマッピングトリガーとかあって複雑そうに見えるけど、最初のエンディングを迎えるまではストーリー分岐しないので、チュートリアルのつもりで楽しむのが吉です。 ただし最初のエンディングまでに30時間くらいはかかるボリュームがありますw
2015-08-13 03:35:26プロローグと一章をクリアするまでに4時間くらいかかった時は「このゲーム、終わるのかな……?」と思いました。正確に計ってないですけど、文庫で言うと二冊分くらいその時点であるんじゃないかと思います。
2015-08-13 03:37:56ライトノベルでは「1巻はキャラクター紹介で終わった」と言った感想が時折見られるのが少し疑問で研究してたのだけど、ある程度わかったのでここにまとめておく。
2015-08-13 04:17:49物語のプロローグが「非日常」で始まり、本編かプロローグ内で「日常」に戻るような話だった場合、物語はプロローグで示された「非日常」へと向かって進み、そこを見せ場として終わるということが多い。 プロローグは構造的には起承転結でいうと起なのだが、転を予告するものでもあるのである。
2015-08-13 04:19:47これは逆に言えば、プロローグで示されたものが作中に登場しない場合は「まだ途中」ということであり、プロローグは各巻のプロローグではなくシリーズ全体のプロローグであると判断される。 この結果として出てくる感想が「一巻はキャラクター紹介で終わった」ということなのである(多分)。
2015-08-13 04:22:59徹底的に日常を描くタイプの物語でも、導入はインパクトを狙って「非日常」を書いてしまったりするのだが、そうすると読み手としては「いつそういう『非日常』が再来するのか?」という期待を持って読んでしまうのである。そしてそれは実際、正しい読み方なのである。
2015-08-13 04:28:58プロローグは見せ場を予告するものなので、プロローグで描かれる「非日常」とそこから戻る「日常」の振り幅はすなわち、作品全体の振り幅と見なされる。 実際にはその予告された見せ場を超えたクライマックスがあるにせよ、そう考えて読み手は読むのである。
2015-08-13 04:40:56この振り幅が小さい作品は「面白くなさそう」と判断されるだろうし、プロローグで示される「非日常」が興味の持てないものであれば「期待出来ない」と判断される。 予告してた「非日常」に見せ場で戻れば「期待通り」になるし、示されていた線上で超えていれば「期待以上」となるのである(多分)。
2015-08-13 04:46:08少し、カオスチャイルドを例に挙げて話をしよう。 この物語は、ニコ生配信中の生主が配信中に謎の来訪者により催眠術のようなものをかけられた結果、自分の腕をおつまみのチーズだと思ってスライスして失血死するというところから始まる。
2015-08-13 04:52:18その後、もう一つの謎の死を遂げる事件が描かれた後、主人公たちがやっと登場し、彼らが新聞部という部活動でそれらの謎の事件に興味を持っているという日常が描かれる。 これがカオスチャイルドの振り幅である。
2015-08-13 04:55:29ここから期待される筋は「主人公たちは事件を追ううちに、生主を死に追い込んだ者と対峙して真相を明らかにする」ということである。 ユーザーはとりあえず主人公たちの日常を楽しむ。しかし本当に期待してるのはその日常がどう壊れるかなのである。
2015-08-13 04:59:31とは言え、主人公たちは高校の部活動で事件を追っているし、主人公たちは天才高校探偵というようなポジションではない。彼らが事件を追う姿は言い方は悪いが「ごっこ遊び」なのだ。まさに日常の風景である。 しかし主人公はあることに気付く。この2つの事件は始まりに過ぎない、と。
2015-08-13 05:04:23前作である「カオスヘッド」で起こった事件との類似性から、主人公は第三の事件が起こる日を予告する。そして予告通り、三つ目の事件が起き、主人公たちは早々に事件に巻き込まれ、現場に閉じ込められた形になった主人公たちは、最初の事件の生主が聞いたのと同じ扉をノック音を聞くことになる……。
2015-08-13 05:09:02こうして、プロローグで予告された見せ場は早くも登場し、日常と非日常が交錯する。しかしこれはまだ3つの目の事件に過ぎず、そして物語的にもまだプロローグと第一章、体験版で明かされた範囲に過ぎないのである。
2015-08-13 05:11:43このタイミングで予告した見せ場が出てくることからわかるのは、カオスチャイルドは今後も期待を超え続けることを意識して作られてるということである。 残る事件はあり、それはより猟奇で不可解な物になっていき、主人公たちと犯人の距離は縮まり、いつ対峙するのかという緊張感は増していく。
2015-08-13 05:22:28彼方に見える巨大な壁を見ているうちに冒険に出たくなってしまった少年の話を書く時に、 「あの巨大な壁の向こうに何があるのか見てみたい」と始めてしまうより、「冒険をして、いつかあの巨大な壁の向こうに何があるのかわかったらいいな」の方がロマンがあるし、ストレスがたまらないのだなあ。
2015-08-13 06:12:54最近の研究は「amazonレビュー★5問題」と題して「絶賛する人しかいないコンテンツは、気に入らないお客さんを門前払いしているのではないか? というかなぜ門前払いされるとお客さんにはわかるのか?」ということを追求しております。 まとまったら、また夜中に呟くかもしれません。
2015-08-13 08:01:51