詩小説「有名人になるためには、血反吐を吐いて1日1回やればいい」レッズ・エララ神話体系、ほうき星町シリーズ昔話

「レッズ・エララ神話体系」の現代・近未来編の主役のひとり、仙人・月読の若かりしころの昔話、修行時代です。1日1回やれば、最強の魔術師になれること受け合い――!ただし、何があっても。
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  • 序、滝壺の仙人と弟子
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 14:40:17
    ――1日1回、やればいい。それだけでおめーは最強になれるよ。間違いない。ぼくが言うのだから間違いない。間違ってたらおめーはぼくを師匠としてないだろう? ま、それなりに頑張りたまえ。1
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 14:43:09
    ――ファファファ儂を見くびってもらってはこまる。1日1回程度?バカを抜かすな師匠(レディ)。毎日50回でもしてみせますわ。道を究めるためには……!儂は誓ったんだ……! 2
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 14:45:44
    詩小説、レッズ・エララ神話体系「有名人になるためには、血反吐を吐いて1日1回やればいい」――、現代/近未来編「ほうき星町」シリーズ……のむかしばなし。
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 14:48:43
    かつて倭国と呼ばれた國があった。海洋国家だった。水に溢れた美しい国土と、洗練された文化を持った國だった。今はもう無くなってしまった國だ。この詩/お話は、そんな國のありし日の詩/お話――。幻想が幻想であったころ。天に竜が駆けていたころ――。3
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 14:59:09
    死ね」 とひとこと。結った黒髪に袴姿のハイカラぶり、そして金色の河と紅葉をあしらった打掛で豪奢に羽織る。にっこり笑っているが、どうにも性格の悪さがにじみ出ているようだ。少女――御歳296歳の仙人は、弟子の中年魔術師に、そう冷酷に告げた。4
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:02:14
    中年といっても、その中年男は、極めて見目麗しく。ところどころホツれた狩衣姿の中は、まだまだ青年といってよき肌の艶やかなる。バサラと伸びた髪の艶美なる。目元涼しげで、流し目の切れ味豊かよ。体躯細くして、なお精力豊かなり。果てを極めんとする野心と志……。5
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:06:07
    憮然とした中年男、場所が場所なら世の婦人の垂涎たるダンディズムを放っていることであろう。だがここは、天に届かんとする崖。その背後には、轟々と音をたて、あまりの轟音にもはや無音瀑布となりし滝。その水の綴れ織と、天蓋を背景に、少女仙人は告げる。弟子のあまりの阿呆に向けて。6
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:11:41
    「まあ確かにおめーは才能があるよ、月読(つくよみ)」少女仙人は、弟子に告げる。「効率よくここまで道を修めたもんだ。五行の太陽太陰の理……まさにその勢いは水剋火(水が火を消す)ってとこかい」だがその言葉にはトゲがある。簡単に喜べない弟子であった。7
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:16:00
    「そりゃおめーさんは、このまま街に下れば、イチリュー魔術師として世の華さ。よっ、極東のだんでぃ魔術師」つくづく嫌味を言う師匠である。弟子はいい加減うんざりしてきた。「師匠(レディ)、貴女は儂をどうしたいのだ」 ――そこで、少女はやたら真剣な目で語る。「……ここが岐路だぞ、月読」8
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:18:01
    は?」そのあまりのトーンの変わりぶりに、一瞬、背後の滝が止まったかのような錯覚を覚えた弟子(月読)だった。いや、実際止まったかもしれない。何せこの少女は仙人――東洋系魔術を極めたモノである。背後の「大自然」に一発渇を入れる位容易いことなのだ。そして、渇は弟子自身にも入った。9
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:22:27
    少女は打掛が汚れそうになるのも気にせず、その場にしゃがんで、こちらを睨むようにして話しかける。「おめーは【魔術の極み】を目指している。そうだよな」「無論だ……だから師匠、貴女に師事している」「ならば、次だ。次の段階だ。それが、【1日1回】の行(ギョウ)だ」10
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:26:16
    「だからバカにするなと言っている、レディ」やはり憮然とする月読。彼が下界(人の住む世界)で、少年期より東洋魔術を修め、極め、それだけでは足りず天界(大自然世界)に足を踏み入れ、この傲岸不遜な少女仙人を師匠として数年経っていた。そのころにはもう彼はだんでぃな中年となっていた。11
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:28:39
    月読の目指すところはただひとつ、魔術師としての極み――東洋系魔術においてはその称号は「仙人」と呼ばれるモノであった。人間を超越し、ただ純粋な魔術存在となること。自然と同一になること。そう、ヒトをやめてさえも魔術を駆使するモノとなること――それが、彼の野心、志であった。12
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:30:41
    歳を追うごとにその思いは純粋なものになっていった。昔はもっと雑念が入っていた。過去に受けた恥を覆したい、とか、同期の連中を出し抜きたい、とか、様々な雑念に乱れたものだ。だが、魔術探求の純粋性が、彼をより大きくさせた。気がつけば、彼は当代一の魔術師になっていて……でも足りない。13
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:32:59
    だから、彼は、天界へと足を運んだ。そこに住む、本当にヒトをやめたモノ……「仙人」に会うために。その存在に師事するために。より高みに登るために。より純粋になるために。彼はいかなる努力も惜しまないつもりであった。事実、惜しまなかった。月読は下界との交流を絶った。14
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:35:53
    出会った少女師匠(彼女は常に、自分のことを「師匠」と「淑女(レディ)」と、同時の敬意でもって呼ぶように彼に強要した)に師事し、彼はますます純粋に魔術の道を究めんとしていた……だからこそ。彼は「今更」――「1日1回」という、あまりに簡単な行(ギョウ)の指令に、憮然とするのだ。15
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:37:46
    何回でも出来ますわな、そんなこと」やはり憮然として、月読は師匠にそう答えた。「だったらやれよ、小僧」不満そうに、少女師匠は答えた。「いいからやれよ、さっさとやれよ」そこで、月読はさらに問うた。「何をやれというのです」そう、その内容を未だ聞かされていないのである。16
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:39:22
    「1日1回」やれ、と。ただそれだけ。だから何をしろというのだ……ここにおいても、さらに憮然とする月読であった。しかし、それに対して少女師匠は、放り投げるようにしていった――「そんなもん、自分で決めろ、バカ」そして、ひょーいと崖から飛び去っていった。「え、ちょ、師匠!」17
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:40:56
    気がつけば師匠はどこにも居なかった。もちろん、この滝の崖から身を投げて死ぬような仙人ではないのだが……そう、弟子の中年が心配しているのはそこではない。「自分で決めろって……何をですか……何を考えているのじゃ、あのレディは」18
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:42:58
    中年魔術師・月読は、どうしたものか、と思案した。はてさて、彼は「どこに行って、何を、毎日1回すればいいのか」、今更のように考えるのであった。それは簡単な問いのように見えたのだが…………………… 19
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 15:44:38
    「有名人になるためには、血反吐を吐いて1日1回やればいい」(序、滝壺の仙人と弟子)、おわり。 次回、破「地獄の1日1回」につづく……
  • 破、地獄の1日1回(上)
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 21:31:51
    熊……倭国においてなかなかの野獣……!でかい。そんな大熊が行きかうこの第六龍槍山脈で、ひとりの麗しき中年男性がそのエジキにならんとしていた……しかも六匹……無念……! その狩衣ボロボロにして……。1
  • レッズ・エララ神話体系 @RedsElrla 2015-07-22 21:35:19
    「怨(オーン)」 だがエジキだったのはどちらだったのか。腕も足もひとつとして動かさず、熊六匹は内蔵からはじけ飛んだ!その不気味な一声によって……!仙人の弟子・月読(つくよみ)は一瞬にして大熊六匹を呪殺した。民族料理ヤキトリでさえもっと手間がかかるという塩梅だ。月読の目は怜悧…。2

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