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2015年8月14日

「霊感少女」と「呪い」

近藤雅樹『霊感少女論』と中村雅彦『呪いの研究』からの考察。
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倉沢 繭樹 @mayuqix

今やオカルトも陰謀論も不気味な噂話も「都市伝説」に一括りにされて語られるようになったが、「都市伝説」は「フォークロア(民間伝承)」と対をなす言葉だ。  「フォークロア」は、自分たちが生きている共同体の成り立ちとしきたりをおしえるものだ。

2015-08-14 01:42:54
倉沢 繭樹 @mayuqix

近藤雅樹はこう説明している。「民俗社会の世界像・宇宙観は、神や妖怪、霊魂などの存在を想定して構築されている。それは、ムラ(共同体)を構成する個々の構成員――ムラビト――の倫理を形成するうえで、きわめて重要な役割をはたしていた。

2015-08-14 01:43:42
倉沢 繭樹 @mayuqix

ムラビトたちは、死後の世界や、神々の領域に属する世界、つまり、異界との対置によって現実の世界を意識し、この世の摂理を理解していた。口承文芸の一分野として成立し、発達をとげてきた怪談は、こうした異界のイメージを共有し、次代に伝えるために整備されてきた表現形式だったのである」。

2015-08-14 01:44:14
倉沢 繭樹 @mayuqix

そして近藤は、世代間に伝承されている経験的な知識の蓄積であり、ムラビトとしてあるべき姿を、自ら判断する際のよりどころとなる見識であり、生きていくうえで必要な教養のことを「民俗知」と呼ぶと述べる。それは、ムラが育んできた文化そのものだと。

2015-08-14 01:44:49
倉沢 繭樹 @mayuqix

一方「都市伝説」は、共同体が解体された都市において、自分が何者なのか、他者は何者なのか、自分が生きている場所にどんな歴史があるのかが分からなくなってきた不安の表れだ。新築団地の住人が奇怪な行動をしはじめる。

2015-08-14 01:45:45
倉沢 繭樹 @mayuqix

霊媒師に尋ねると、その団地を建てるとき、白へび塚を取り壊していて、そのたたりだと言う。霊媒師が祈禱すると、異変はおさまる。これが「失われゆく共同体的記憶から来る不安」の表れの「都市伝説」。

2015-08-14 01:46:23
倉沢 繭樹 @mayuqix

そして、「スイーニー・トッド伝説」(繁盛するミートパイ屋の材料は、床屋が殺害した客の肉)やファーストフード店のハンバーガーの肉はネズミだ、などの噂話は「都市的流動性の高まりに対する不安」の表れの「都市伝説」。

2015-08-14 01:46:50
倉沢 繭樹 @mayuqix

前近代(ムラ)と近代(都市)の間にはさまれて、断片化した民俗知を語り伝える存在、それが「霊感少女」だ。近藤雅樹は『霊感少女論』で、ムラが崩壊し、バラバラになった民俗知を、有機的まとまりを欠いたままメディアが拡散し、

2015-08-14 01:47:41
倉沢 繭樹 @mayuqix

そうした情報を好奇心のおもむくままに収集し私物化したのが「霊感少女」だと指摘している。

2015-08-14 01:48:06
倉沢 繭樹 @mayuqix

他者の注意を引くために、または鬱積したストレスや閉塞した現実からの解放を期待し、「霊感」を使ってある種の優越をアピールする。そして、異界とのつながりを感じようとする。近藤はそこに「霊感少女」の自己中心性を読み取る。

2015-08-14 01:48:49
倉沢 繭樹 @mayuqix

小松和彦は『憑霊信仰論』において、呪術とはひとつの世界観なのだ、と述べている。その世界観は、現代でも一部で強固に維持されているようだ。  中村雅彦は『呪いの研究』で、こう語っている。「四国には、『拝み屋』と呼ばれるシャーマンが大勢いる。

2015-08-14 01:50:46
倉沢 繭樹 @mayuqix

拝み屋とは霊能力を持った祈禱師であり、占い、まじない、加持祈禱などを行なって、相談者のさまざまな悩み事や現世利益的な願い事を支援する人々のことである。神道系、仏教系、修験道系、陰陽道系など、宗教的背景はさまざまだが、昔ながらの呪術的、密教的伝統に根ざした儀式を行ない、

2015-08-14 01:51:25
倉沢 繭樹 @mayuqix

降神、憑依などのトランス状態になって託宣をしたり、神霊や仏との交信を通じて相談者の環境の変容を試みたり、心身の『癒し』を試みるのを生業としている。いわば伝統的霊性に根ざしたシャーマン型霊能者の世界が、今でも存在するのである」。

2015-08-14 01:51:57
倉沢 繭樹 @mayuqix

宗教団体によっては、専属祈禱師の養成を行っていたりするらしい。そうした祈禱師は、教団の利益ために働くわけだが、その中には呪詛も含まれる。

2015-08-14 01:52:30
倉沢 繭樹 @mayuqix

中村は言う。「『呪い』は、決して絵空事ではない。四国の呪術的な世界では、今でも日常的に呪詛は行なわれているし、その呪詛を解除する依頼も舞い込んでくる」。

2015-08-14 01:53:05
倉沢 繭樹 @mayuqix

そして、競争が激化する現代社会を生きる人々にこう告げる。「嫉妬したり、恨んだりすることをやめることができない悪循環に陥っている人間が、今の世には大勢いる。

2015-08-14 01:53:45
倉沢 繭樹 @mayuqix

毎日の生活の中で、些細なことに振り回されて疲れ果て、自分をこの上なく不幸だと思っている人の心の中に、『鬼』は住んでいる。昔も今も変わらないのは、人を呪う気持ちである」。

2015-08-14 01:54:15
倉沢 繭樹 @mayuqix

「呪い」という共同体の「闇」の世界観を払拭することができず、前近代と近代のはざまで生きる私たちはみな、どこか「霊感少女」の面立ちをしているのかもしれない。

2015-08-14 01:55:08
感想
倉沢 繭樹 @mayuqix

近藤雅樹『霊感少女論』読了。かつてのムラ社会と切断された都市において、無秩序に断片化された「民俗知」を私物化して怪談を紡ぎ出す存在、それが「霊感少女」なのだという。納得する部分がある反面、「霊感少女」の実存を自己中心的と断じていたりして、やや違和感がある。

2015-07-01 00:42:46
倉沢 繭樹 @mayuqix

中村雅彦『呪いの研究』を読んでいるが、70年代以降に登場した「新霊性運動」の解説が興味深い。その特徴のひとつに「既成宗教は人間本来の霊性を抑圧してきたと考え、自由な個人による霊性開発を追求する」というのがある。「スピ系」の傾向のひとつだと思う。

2015-07-27 00:56:50
倉沢 繭樹 @mayuqix

中村雅彦『呪いの研究』読了。超能力や心霊現象はどちらも「心の力」に関係しており、生きている人間がした場合は「超能力」、死んでいる人間(霊魂)に関係しているときは「心霊現象」と呼ばれるのでは、という推測は興味深い。だが、有名人の「死後の世界を見た」「天から啓示を得た」的体験記→

2015-08-05 20:51:22
倉沢 繭樹 @mayuqix

→ならそういうものとして考えるが、中村氏は研究者であるのに「超心理学」「トランスパーソナル心理学」やケン・ウィルバーの理論をほぼ無批判に紹介している。かなり疑問。四国の「拝み屋」の世界を深くフィールドワークし、奥四国の神社から資格を得て神職となった著者は「ミイラ」になっていないか

2015-08-05 21:03:19

コメント

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