直線的な音楽史観からの脱却を

RTするにはツイート数が多かったのでまとめました(笑)消極的な理由で申し訳ありません。
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宇宙エンジン1号 @pukka_white14

ここ5,6年、いろんな音楽を聴いて考えるのが、メジャーにしろ、マイナーにしろ、ノイズ/アヴァンギャルドも含めた広範な意味でのポピュラー音楽の先鋭的言説が直線的な歴史観を基礎に据えていて、それ自体を批判的に捕らえてこなかったのではないか、という疑念だ。(続)

2015-08-14 05:34:15
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)ジャズなら「スイング→ビバップ→モダン→フリージャズ」、ロックだったら「R&R→ビートルズ等のクラシックロック→プログレ→スタジアムロック等の肥大化→パンク/NW」という史観だ。そして、これらの史観によれば、現在は進化の袋小路に落ち込んでいるといわれるわけだ。(続)

2015-08-14 05:42:01
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)その認識があるからこそ、「ジャズは死んだ」「ロックは死んだ」等の言説が流布する。さらに、80年代以降の「大きな物語の終焉」というようなポストモダン的な言説がそれらを後押しする。「もうすべての音楽が出尽くした。新しい形式などない。」という悲観論へと漂着する。(続)

2015-08-14 05:46:00
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)自分もそういった史観への対処に苦しんでいた。それに突破口を開いてくれたのが谷正人氏の「イラン音楽」という本だった。口述口伝を基礎として、記譜された楽譜による差異の固定化を忌むというイランの伝統音楽の発想に目を見開かされたのだ。(続)

2015-08-14 05:52:38
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)「もうデレク・ベイリーみたいなフリー・インプロヴィゼーションは古臭いよ。」という人に限って、彼のキャリアとなる演奏を広範に聴いていなかったりする。自分もそこまで追っかけてるわけじゃないから自信はないが、そんな自分でも彼の音楽が時々刻々更新されてたことは知っている。(続)

2015-08-14 05:57:49
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)近年、ふとしたきっかけから近代以前の教会音楽、特に合唱音楽をよく聞くようになり、その豊穣さの虜になった。何百年も前のこんなシンプルな構造の音楽がなぜ豊かに響くのか?記譜法を元にした差異をあげつらう歴史観に問題があるのではないか?そこに行き着いた。(続)

2015-08-14 06:09:33
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)そもそも、録音された音楽ですら、時と場所が異なれば、聞いてる人が同じでも異なって鳴り響く。同じ音楽などありえないのだ。ボルヘスの「記憶力のよすぎる人」の話のように。だから「即興演奏をCDとかで聞くことは意味がない。」とかのしたり顔の言説には共感できない。(続)

2015-08-14 06:13:09
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)実際、「音響派」などといわれた音響自体を思考する音楽だって、ノートルダム楽派のオルガナム、シラブルとメリスマなどの中世の教会音楽で思考されて来たメソッドと変わりはない。ただ、エレクトリックなメディアを使用するかどうかの違いでしかない。(続)

2015-08-14 06:17:04
宇宙エンジン1号 @pukka_white14

(承前)古楽も、フリージャズも、ハードロックも直線的歴史観で並べるのではなく、それぞれの技法の意義を個々に捉えなおして、並列して思考すること。ありていに言えば、フーコー的なアルケオロジー的な考え方を取りたいな、と考えている。(とりあえず完了)

2015-08-14 06:20:21