雪見大福（ホラー）

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

てろーん

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 にょろーん

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton （雪見大福に見える……、いや雪見大福だと、そう決めた（もぐり

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 あなたがかぶりついたそれは、生き物のようにじんわりと湿った肌を持つ。あなたが噛み付いた瞬間悲鳴をあげる。咀嚼すれば産毛と繊維が歯に絡みつく。まさに、雪見大福であった。

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton まさに雪見大福･･･…認識が事実を決定する

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 そう、主観が全てだ。あなたの主観で、心持ち一つで世界は変容する。あなたという枠の中にしか世界は存在しない。雪見大福は流血し、うめき声をあげている。

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton 雪見大福はその身をわしに捧げて涼をもたらしてくれた……その一滴も残すわけには行かない。それがこの世界に産まれいでし雪見大福と自分が認識したものへのせめてもの礼儀なのだ。

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 そう決めた--あなたがそれを供物であり餌であると決定した--から、雪見大福は動かない。部屋の端でうずくまり、あなたを見つめている。まだ食べられる部位はたくさんある。それは雪見大福なのだ。そして、あなたの為に存在するのだから、あなたに食べれない理由がない。

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton 「怖くない……」 そう声をかけて首をかしげる。何故部屋の隅にうずくまっている雪見大福に声をかけたのだろうか。いな、蹲っていると形容したのだろうか。はて、と首を傾げ手に取ると一齧り、やはりそれは雪見大福である。そして誰もいなくなった部屋を見渡した。

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 あなたは今、部屋に一人きりだ。二人いれば雪見大福を分けあっただろう。だが、今は独りだ。今は。では、さっきまでは？　首を傾げ、疲れた躰で座り込む。……そうだ。大事な事を忘れていた。汗をかいて体が少し汚れている。足の裏まで真っ赤だ。シャワーでも浴びよう。

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton 少し酔っていたのかもしれない、手や足だけじゃなく首筋まで真っ赤だった。熱く、騒がしい夜、雪見大福を食べて涼を得た。シャワーを浴びて汗を流して眠るとしよう。ふと窓の外を見れば瀝青森林、緑などなく、セミの声もない。一人で居て何が騒がしかったのか。

くろかわ　☽ @soratobuzabuton

@Rakko1984 潜り込んだベッドの半分だけを占拠し、体を伸ばす。やはり、疲れていたのだ。疲労感を少しずつ溶かしながら微睡む。騒がしかった人の声、恐怖に狂う叫びもテレビの音に違いない。あなたはそう決めて、深い眠りに落ちる。間際、今日の雪見大福の顔を見た気がした。

ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

@soratobuzabuton 部屋が広く感じられる。シャワーを浴びて正解だったかもしれない。今日はよく眠れるだろう、明日にはまた別の雪見大福を探してこないといけないのだから。探す、雪見大福は品薄だったろうか。閉じた瞼の裏側に、雪見大福の顔が浮かぶ。あぁ、君は美味しかったよ。