kawakami0114

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キャミ @camisanq114

まだ幼かった頃、ふたりだけ流れ星を見たのを思い出した。 何十人もの課外活動で天体観測を行う事になった時、先生に「もし流れ星に3回願い事を唱えれたら、金をやるよ」と笑われて送り出された。私は何人かと屋上で夜空を見上げて、星をずっと見ていた。そうすると、何かが瞬いた。流れ星だ。

2011-01-06 02:18:38
キャミ @camisanq114

そう思った私は一生懸命に「金、金、金」と両手を握って空に願った。その願いが終わると、自分の願いが卑しいように思えた。なにが金だ。ちっとも金に困ってないのに。そう思ってこの事は黙っていようと思ったのだ。その子がこう叫ぶまでは。

2011-01-06 02:19:34
キャミ @camisanq114

「犬、犬、犬!」叫ぶとその子も両手を握っていた私に気付いたのかニッと笑うと私に近づいてきた。「流れ星見たよね?」こう言うとなんだが、かなりアグレッシブな子だった。

2011-01-06 02:20:24
キャミ @camisanq114

天体観測の終わりまで、いろんな人に聞いたが結局ふたりだけしか見ていない。だから私は自分達が見たのが人工衛星じゃないかと思い、先生には流れ星を見たことを黙っていようと思ったが、その子はそうじゃなかった。証明に私が見た事を含め、流れ星を見た事を伝えたのだ。

2011-01-06 02:20:52
キャミ @camisanq114

先生は私達に百円玉をひとつ渡すと「約束だからな」と笑った。先生とその子は笑っていたが、自分が流れ星を見た事を信じきれなかった私はあまりうまく笑う事ができなかった。

2011-01-06 02:21:35
キャミ @camisanq114

次の朝、何と言い難い気持ちではあったがこのお金を使おうという気になった。課外活動中にお金を使えるのは、自動販売機だけだったのを知っていた私は、百円玉を握りしめてそこに向かった。置いてあった飲み物のどれがおいしいのかわからない私は、悩んだのちひとつのスイッチを押してみた。

2011-01-06 02:22:35
キャミ @camisanq114

紙コップのメロンソーダ。出てきたそれを少し飲んでみて、炭酸の強さにちょっと気持ちが悪くなった。そうしていると昨夜の子がこっちに向かってきた。どうやら朝食の時間だったらしく、そのまま引きずられるように食堂に連れて行かれた。机に残された中身の残ったメロンソーダ。

2011-01-06 02:23:01
キャミ @camisanq114

朝食後にそのまま帰ることが決まっていて、結局メロンソーダがどうなったかは見に行くことができなかった。百円玉は無駄遣いになってしまったが、流れ星の子と仲良くなれたからいいやと、そう思えた。

2011-01-06 02:23:25
キャミ @camisanq114

それから、メロンソーダはいくらでも飲んだが、流れ星は見た事がない。 あの流れ星が本物だったかを確かめることもできてない。

2011-01-06 02:23:54