3331 #熱中教室 2015夏(8月23日) 佐藤賢一『和算と測量術 〜正多角形の誘惑〜』講座予習まとめ

以下の講義を受けるに当たって、必要な予習内容をまとめました。23日委員長 橋本麻里 佐藤賢一 (さとう けんいち) 電気通信大学情報理工学研究科 准教授 『和算と測量術 〜正多角形の誘惑〜』 続きを読む
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

明日23日に講義予定の「3331熱中教室(2015夏)」(peatix.com/event/108547)について、予習していただくための情報を本日中に何回かに分けて呟きます。よろしくお願いします。【予習00】

2015-08-22 07:10:54
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習01】全体的な情報としては下記を。(1) 国会図書館「江戸の数学」(ndl.go.jp/math/)/(2)橋本さんにまとめていただいた「BS歴史館「関孝和 世界水準の“和算”を創り出した男」横道解説 」(togetter.com/li/521570)

2015-08-22 07:16:51
リンク www.ndl.go.jp 江戸の数学 和算関係資料45点の展示・解説。江戸時代の数学の歴史概説、コラムも含む。
まとめ BS歴史館「関孝和 世界水準の“和算”を創り出した男」横道解説 6月20日20時〜のBS歴史館で放送された、〝江戸のスーパー日本人1「関孝和 世界水準の“和算”を創り出した男」〟 http://www4.nhk.or.jp/rekishikan/x/2013-06-20/10/2254/  に出演された佐藤賢一先生(科学史)による、関孝和と江戸の和算の横道解説連ツイをまとめました。 17464 pv 229 22 users 30
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【予習02】明日の講義内容とは直接関係ないですが、こちらもどうぞ。(3)「和算〜江戸時代の連中は、なんちゅう計算をそろばんでしとるんだ〜 」(togetter.com/li/837471)

2015-08-22 07:18:53
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習03】江戸時代の地図の一つの形式である「国絵図」についても話します。画像データとしては、国立公文書館のデジタルアーカイヴが充実しています。 digital.archives.go.jp/gallery/view/c…

2015-08-22 07:41:34
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習04】本題(第Ⅰ部)では関孝和が行った「角術」という正多角形の計算を取り扱います。どのような問題かというと、一辺の長さを1として正3角形から正20角形まで、以下の3つを求めました。①内接円の半径(=平中径、以下r)/②外接円の半径(=角中径、以下R)/③面積(=積、以下S)

2015-08-22 18:51:16
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習05】以下、角術で使う用語の説明と公式を列挙します。講義時間内では一つ一つを説明できないので、このような用語や公式があったのだと、流し読みしてください。詳しい証明などは、明日、当日配付資料として配ります。(図も上げますが、即興で作った物なので見栄えの悪さは勘弁してください)

2015-08-22 18:55:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習06】(用語) 面:正多角形の一辺とその長さ。辺そのものを指すのか、その長さを指すのかは文脈によって判断する。以下、aで表す。 角中径:正多角形の外接円の半径。Rで表す。 平中径:正多角形の内接円の半径のこと。rで表す。

2015-08-22 18:58:31
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習07】 係m面斜:正多角形のある頂点からm本の辺を隔てた頂点まで結んだ対角線。(図Ⅰを参照。) a[m]で表す。係一面斜a[1]は辺aを指す。( ツイッターでは「下付」の表記ができないので、記号の添え字は[ ]で示します。) pic.twitter.com/ewFC8NWMI9

2015-08-22 19:01:17
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【予習08】 m面中闊:係m面斜( a[m] )に向かって正多角形の中心Oからおろした垂線のこと。r[m]で表す。一面中闊 r[1] は、平中径 r を指す。 図Ⅰで、 a[m] = A[0]A[m], r[m] = OB[m] となる。

2015-08-22 19:05:30
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習09】 m面中報角径:このmは奇数、m = 2i+1とする。A[0]A[m]とOA[i]の交点をC[i] としたとき、OC[i]のこと。b[m]で表す。一面中報角径b[1]はRを指す。(図Ⅱを参照。) pic.twitter.com/aYwnE1GDBR

2015-08-22 19:07:12
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習10】m面中報面:このmも奇数。A[0]A[m]とOA[i+1]の交点をC'[i]とすると、C[i]C'[i]のこと。c[m]で表す。一面中報面c[1]はaを指す。 m面長斜:このmも奇数。A[m]C[i]のこと。d[m]で表す。一面長斜d[1]はaを指す。 (図Ⅱを参照)

2015-08-22 19:09:37
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習11】m面短斜:このmも奇数。A[m[C'[i[のこと。e[m]で表す。一面短斜e[1]は、0と見なす。(図Ⅱを参照)

2015-08-22 19:11:57
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習12】 この文字αは「アルファ」です。 汎数: 2 α[2i+1] = 2 r[2i] + 2 r[2i-2] + …… + 2 r[2] + R によって与えられる値(α[2i+1])のことをa[2i+1]上の汎数と呼ぶ。2 α[1] = R とする。

2015-08-22 19:14:10
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習13】(公式) 以下、公式を番号付けして列挙します。証明は明日の配付資料にまとめます。「^」は累乗の記号です。 [公式Ⅰ] 4 R^2 = 4 r^2 + a^2 [公式Ⅱ] 2 a[i] r[i] = a[2i] R (i≧1 とする。以下同様。)

2015-08-22 19:18:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習14】 公式Ⅱを繰り返し用いて、 2^(i+1) r r[2] r[4] ・・・・・ r[2i] = R^(i+1) が得られる場合がある。これを[公式Ⅱ’]とする。 (場合分けについては明日の資料で)

2015-08-22 19:29:33
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習15】 [公式Ⅲ] 2 R^2 - a[i]^2 = 2 r[2i] R [公式Ⅳ] 2 r[2i] - b[2i-1] = b[2i+1] [公式Ⅴ] a b[2i-1] = c[2i-1] R [公式Ⅵ] b[2i-1] r = r[2i-1] R

2015-08-22 19:32:25
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習16】 [公式Ⅶ] d[2i-1] = c[2i-1] + e[2i-1] [公式Ⅷ] d[2i-1] = e[2i+1] [公式Ⅸ] d[2i-1] + e[2i-1] = a[2i-1] [公式Ⅹ] 2a α[2i+1] = a[2i+1] R

2015-08-22 19:35:48
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習17】明日の講義で必要となる公式は以上です。ここで、関孝和の『括要算法』(1712年)に描かれている正19角形の説明図を見ておきましょう。 pic.twitter.com/wV2abMNqJB

2015-08-22 19:38:13
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習18】正19角形の角中径(R)を求める方程式は次になります。 -1 + 19 R^2 - 152 R^4 + 665 R^6 - 1729 R^8 + 2717 R^10 - 2508 R^12 + 1254 R^14 - 285 R^16 + 19 R^18 = 0

2015-08-22 19:42:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習19】この18次方程式について関が求めた正の実数解は、 R = 3.03776691 でした。この桁までは正しい解を関は導いています。ちなみに、他の正多角形(3~20角形)の実数解についても、関は正しい値を導出しています。

2015-08-22 19:48:00
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習20】正19角形の方程式の導き方の最初の部分のみ提示します。 公式Ⅱ’より  R^18 = 512 r r[2] r[3] r[4] r[5] r[6] r[7] r[8] r[9] R^9 が得られて、ここから式変形を開始します。(以下、詳細は明日の資料で!)

2015-08-22 19:50:47
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【予習21】以上、長々と書いてきましたが、講義自体はゲームも取り込み、地図や測量道具の写真も多用してお話しする予定です。 ここまで書いてきた内容は、「関孝和は何という計算をしていたのだ!!」というすごさを実感してもらうための導入でした。 それでは明日、教室でお会いしましょう。

2015-08-22 19:54:07