三左近未来パラレル

近未来的な世界観で汚れ仕事に従事する三成様と自宅で待ってることしか出来ない欠損左近ちゃんが織りなす三左。まさかここまで長編になるとは。
0
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

しばらくTL汚し失礼。こないだの近未来パラレル三左が呟きですが形になったので流していきます。かなり長いのでミュートにするか無視していただくようお願いします。反応くれたらそれはそれで泣いて喜びます。

2015-08-07 01:08:33
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

これの続き RT 近未来パラレルで、貧民街で暮らしてるんだけどある時やばい組織に捕まりその身柄と引き換えに左近が人身売買にかけられ片目・内臓・両足・右腕を取られた状態で返されてせめてもう一度陽の下を走らせてやりたいと高価な生体義足を買う為汚れ仕事に手を染める三成様ください。

2015-08-07 01:11:18
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

左近と三成は長い付き合いである。左近は豊臣家に仕えていた使用人の息子で年もさほど離れていないからと(左近が三つ下)遊び相手として連れてこられたのだ。左近は三成によくなつき、三成の方でも左近を憎からず思い、まるで兄弟のように仲睦まじかった。三成九才、左近は六才のことである。

2015-08-07 01:12:11
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

三成の両親が亡くなったのはその一年後だった。恨みを持つ者の犯行だと考えられ、家長夫妻は勿論使用人に至るまで皆殺しにされ屋敷には火が放たれた。生き残ったのは外の倉庫に隠れていた三成と左近らの子供二名だけである。その後二人揃って三成の親類、刑部に引き取られる。(三成十才 左近七才)

2015-08-07 01:13:04
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

両親を喪い不安定になった三成の精神を支えたのは養父となった大谷刑部の根気強い静観と、左近の献身的なサポートだった。二人との暮らしに三成は少しずつ心の平安を取り戻していく。

2015-08-07 01:16:07
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

しかし穏やかな生活もつかの間、元々体の弱かった刑部は病でこの世を去ってしまう。それを良いことにそれまで刑部によって管理されていた亡き両親の遺した資産や刑部自身の財産も親類縁者が好き勝手に所有権を争い始めた。

2015-08-07 01:21:16
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

三成も左近もまだ幼く、禿鷹のような連中が遺産をむしっていくのを見ていることしかできなかった。そして卑しい嘴は己の精神を棚に上げて、賎しい出自とされた左近にまで及んだ。

2015-08-07 01:23:46
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

これからしかるべき寄宿舎に入る三成に(勿論体のいい厄介払いである)従者など不要だろう、そもそもたかが使用人の子など面倒を見てやる筋合いはない。そう言って売り払おうとしたのだ。幼い身体に群がろうとするおぞましい腕を振り払い、三成は家を飛び出した。

2015-08-07 01:24:48
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

持ち物は右手に抱いた家宝の刀と、左手で掴んだ己が配下、それだけだった。

2015-08-07 01:31:52
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

流れ着いた先は貧民街。追っ手はすぐに引き上げた。そのまま放っておいても死ぬだろうと思われたのだ。事実頼る宛も生きる術もない二人はすぐに路頭に迷った。

2015-08-07 01:36:01
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

そんな二人を救ったのは違法改造も請け負うパーツ屋、元親だった。その近辺の柄の悪い若者たちを束ねるチームのヘッドでありながら情に篤い元親は最低限のこと(頼る先はあるのか、など)だけ訊ね二人を匿ってくれた。食い扶持を稼ぐための職と屋根のある住居を紹介してくれたのである。

2015-08-07 01:39:27
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

三成は元親のバイク屋で、左近は近くの酒場の雑用係として働き始め、紹介してもらったアパートで暮らすようになる。生活は一転したが、二人で生きていけることが何より大切だった。(三成十三才 左近十才)

2015-08-07 01:43:23
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

澪さんの妄想劇場、本日はここまで。ゲリラ公演失礼しました。続きはまた明日開幕予定です。( ´v`)ノシ

2015-08-07 01:45:12
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

澪さんの妄想劇場、演目「未来パラレル三左」はっじまっるよー。しばらくTL汚し失礼。

2015-08-08 00:14:20
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

前回までのあらすじ。両親を殺された資産家の子三成は幼馴染みで己の従者でもある三つ下の左近と共に貧民街へと流れ着く。それを助けたのは貧民街の顔役元親だった。彼の助けを借り、二人は貧民街で暮らし始める。

2015-08-08 00:17:30
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

そして六年。三成は十九才、左近は十六才になっていた。時折元親の荒事に揃って関わることもありつつ二人はすっかり貧民街に馴染んでいた。三成は技師として技術を身に付け、左近は持ち前の人懐っこさと身軽さから酒場の給仕兼用心棒として看板店員になり今ではいっぱしの街の顔だった。

2015-08-08 00:20:34
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

誰にも邪魔をされない二人での生活は、貧しくとも幸せだった。彼らはいつしか恋に落ちていたのである。三成は左近を愛したし、左近も三成を心から慕った。恐らく初めて会った日から互いに惹かれていたのだろう。特に精神安定の根本を他に求めるきらいがある三成には、今や左近だけが心の拠り所だった。

2015-08-08 00:24:19
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

三成は左近が駆けていくのを見るのが一等好きだった。左近は足が早く、身のこなしもしなやかで目を奪われる。左近は左近で三成が刀を振るっているのを見るのが格別好きだと言った。剣の稽古だけは昔からずっと続けていたのだ。

2015-08-08 00:30:07
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

三成はずっと両親の仇を追っていた。貧民街は治安が悪い。つまりそれだけ裏の世界との境界が薄いと云うことだ。貧民街西側を仕切る元親の庇護下に入ったことも、何かしら情報を掴めるかもと云う期待が少なからずあったことは否めない。左近が生きるための安定剤なら、復讐は存在理由だった。

2015-08-08 00:36:07
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

そして三成は遂に両親の仇に繋がる情報の片鱗を掴む。だが焦りすぎた。情報を嗅ぎまわっていることが相手方に知られ、囚われてしまったのである。監禁先は時代錯誤な地下牢。両親の形見である刀も奪われ、すわこれまでかと思いもしたが、奇妙なことに一向に命は取られなかった。

2015-08-08 00:41:21
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

数日拘束されたのち、三成は唐突に身柄も武器も解放された。突然の自由を手放しで喜ぶほど愚かではない。意図の読めない行動を訝しむ三成の前に、底知れぬ微笑を湛えた男が現れる。

2015-08-08 00:43:30
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

「喜び給え、卿の対価は払われたよ。 他者の負債を喜んで支払いたがるなど、さても酔狂、酔狂。」

2015-08-08 00:48:08
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

言われた言葉の意味が分からず警戒を解かない三成に壮年の男は嗤って重厚な作りの扉を開いた。扉の先は部屋になっていた。豪奢な家具で囲まれた空間の中央に、同じく絢爛な作りの椅子がある。自然と視線はそこへ向かった。その肘掛け椅子の上に何かが置いてある。

2015-08-08 00:53:19
澪@脱稿しました!!!! @mskiktsk

抱えあげられるような大きさの、人形だろうか。そう思った刹那の後には己の考え違いに気付いた。見開いた瞳孔が凍り付く。嗚呼、そこに“居る”のは、抱えあげられるような大きさにまで変わり果てた、誰より愛しい――――――

2015-08-08 00:56:21
1 ・・ 4 次へ