- kapitan_black
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120mm砲の破片で怪我‥とされているが。まず120mm砲とは、90式戦車と10式戦車の砲塔に搭載されている主火器にして口径(砲身の穴の直径)が120mmで砲身長44口径(口径の44倍の長さの砲身)である戦車砲です。90式はライセンス生産品で、10式のものは日本で開発したものです
2015-08-24 07:41:4810式の方が新しく、専用弾も同時に開発されたので威力が高いのです。ただし、口径が同じですし、西側の規格に合わせているので、90式の弾を10式に流用するのは可能です。
2015-08-24 07:44:18その砲から射撃する砲弾には基本的に2種類があります。弾自体は火薬(炸薬)を持たずに貫通する事に全力を傾けた徹甲弾(AP)と、弾の中に火薬が詰まっている榴弾です。但し榴弾とは言ってもモンロー効果を利用した成形炸薬弾であり、メタルジェットで装甲を貫通させるついででの榴弾効果です
2015-08-24 07:50:27後者を多目的成形炸薬弾(HEAT‐MP)と呼びますが、今回破片が問題になったのは徹甲弾の方です。はい、疑問が湧きますよね?弾の中に炸薬が入っていない方の破片が何故観客席に飛び込むのか?これは装甲と弾の血で血を洗うような苛烈なシーソーゲームの流れ着いた末の話(今は)なので取り敢えず
2015-08-24 08:01:52丸々受け入れて下さい。現代の主流徹甲弾(AP)は運動エネルギー弾(KE)であり、それは「装弾筒付安定翼付徹甲弾」(APFSDS弾)となっています。貫通力を上げるため、弾の直径を下げ、比重を上げ、速度を上げる為に、弾本体(貫通体)はボウガンの矢にそっくりになっています。
2015-08-24 08:07:15物理法則の都合上、1200m/sあたりから先の速度で衝突した金属は流体として振る舞う為に、イロイロ工夫が施された結果です。ただ、大きな力で発射する為に砲身はある程度太いのに、弾が細いと発射ガス(装薬の燃焼ガス)が横から脇を抜けて出て行ってしまうので弾が飛びません。
2015-08-24 08:14:55そこで、弾本体(矢‥としておきましょ)の周りに砲身穴径ぴっちぴちの樹脂製の円筒形の部品が追加されています。このおかげで装薬(薬莢の中の火薬=発射薬)の燃焼ガスをしっかり受け止めて、弾が勢い良く(1500~1800m/sあたり)で飛び出します。
2015-08-24 08:22:14ただ、このままだとせっかく直径を小さく空気抵抗も小さくしたはずの矢は、周りの筒が邪魔して速度が落ちてしまいます。意味がありません。 そこで、円筒形は中心から扇形に3~4分割されていて、発射して砲身から飛び出すと空気抵抗でバラバラになる様になっていて、撃つ前にずれない様に樹脂の
2015-08-24 08:26:40バンドで締めてある。厚さ1mm幅8mm位のゴツいやつ。だけれど、弾は砲身からマッハ5なんて速度で飛び出します。空気抵抗は半端なく、矢(貫通体)から哀れあっさり脱落してしまいます。(貫通体から外に花開く様に剥がれ易い様に、円柱形の先端には擂り鉢状に凹が形成してあります)
2015-08-25 17:40:01これらの「発射直後に脱落」する扇形分割円柱(とバンド)がサボ(装弾筒)と呼ばれる部品であり、報道された「砲弾の破片」だと推測される訳です。APFSDS弾について詳しく語ると触りだけでもかなり愉快な話になるので一般向けではなくなってしまいます。
2015-08-25 17:46:33ただ、長細い弾は、普通の弾丸と違い旋転によるジャイロ効果が悪さをしてしまうとか、成形炸薬弾(モンロー効果利用メタルジェット貫通弾)もAPFSDS弾も貫通力を満足する為には旋転しない方が良いなんて理由があって、砲身にライフリングがなく、滑らかな砲身孔であり、弾には安定翼があると
2015-08-25 17:52:00覚えておくと、少しだけ幸せになれるかもしれません。(無論、後端に安定翼=矢羽根がある飛翔体ですから横風には眉間に皺を寄せる事になりますし、その条件下ではライフル弾に軍配が上がる場合もあり、かつてイギリスのチャレンジャー1がそれを理由に荒天下の遠距離射撃で活躍した事があります)
2015-08-25 17:57:34まあ、その段階ですら「今時戦車砲弾にHESH(粘着榴弾)かよwww」とかdisられていたからこそのギャップ萌っつうか意外性だったのは否めませんが
2015-08-25 18:00:31