- collbrande
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かつてオーク達は蔑まれてはいるけれど、生き残りさえすればそう悪くもない人生で、同人誌を作って祭りをしたり、今日こそ痩せるとなどと奇声を上げつつ山を走ったり、モンスターを狩ったり、たまに石を投げられるために里と交流したり、勝手気儘な生活を送っておりました。 (2
2015-08-28 10:21:13一匹のオークが渓流で釣りをしていたところ、一人の眉目秀麗な少年が流れてきました。 やあ、新しいお仲間か、それにしては大きいな、育てて捨てるなんざバカのやる事だと思っていたら怪我をしており、どうやら里で戦があることが窺い知れました。きっと落ち延びて足を滑らせたのでしょう。 (3
2015-08-28 10:22:14食料供給の不安定な山では太りやすい体質しか生きていけぬ。オークは長生きはせぬと思いつつも、それでも少年を拾い上げ、オーク一の賢者ブヒードゥに預けて後は山の意思に全部を任せました。他にやりようも知らなかったのです。 (4
2015-08-28 10:23:25ブヒードゥは少年が娘である事に気付くと姫として祭り、ささやかな王朝を開きました。 男しか居らぬ故に一代しかなく、これまで何かを繋ぐ事の無かったオークが、初めて次があるかもしれないと始めた王朝がそれでした。 オタサー王朝です。 (6
2015-08-28 10:25:07姫は血を吐くような思いで言いました。 約束を。父王を弑し、弟を殺し、女王になった母に死を。その後私はお前たちの奴隷になって、子でも何でも産んでやろう。 そうして生まれたのが一人の姫に率いられた、一人の姫のためのオークの軍勢。 (7
2015-08-28 10:26:03そうして生まれたのが一人の姫に率いられた、一人の姫のためのオークの軍勢。 オークたちが男装の姫に率いられ、里に降りてきたのは、それから一年の事でした。 オークの戦闘力凄まじく、一人のオークを討ち取るために一〇にんの兵が死にました。 (8
2015-08-28 10:26:57オークには一〇にん分の夢があったのです。 それは次に繋がるという夢でした。 前線を突破し、王宮に雪崩れ込んだオークの軍勢は、姫の麗しい思い出の宮廷を灰燼に帰しながら戦いました。 (9
2015-08-28 10:27:37姫の復讐のためにオークの夢は食い潰され、最後に残ったブヒードゥが斃れるのと、女王が姫によって貫かれるのはほぼ同時だったと言います。 (10
2015-08-28 10:28:28一人残った姫は復讐成ってはじめてオークのために涙を流し、剣を片手に兜を枕にしたブヒードゥの枕元へ座り込みます。 これで良かったのです。 ブヒードゥは言いました。 (終わり
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