ウルトラセブン「勇気ある戦い」。心臓手術を恐れる少年を励ますダン。「科学の力を信じるんだ」。ウルトラセブンは科学信奉の時代の末尾にあった作品であり、すでにその思想に揺らぎが感じられる作品も混在した。セブンの後番組が科学悪用の犯罪者のドラマ「怪奇大作戦」であるから、科学の力を信じろ
2015-09-09 08:22:04という言葉の説得力はかなり怪しかったのではないか?その証拠に少年は、ダンが立ち会うなら手術を受ける、と科学よりも人間関係でもって恐怖を克服しようとする。 しかし何故、少年はダンのことを知っていたのか?ウルトラ警備隊の隊員は広く国民に知られる有名人だったのか?同じ警備隊員でもアンヌ
2015-09-09 08:27:49隊員は「なんだアンヌさんか」と関心無さ気であるから、ダンの活躍の概要も知っているようだ。何だかダンがウルトラセブンであることも、わかっている風である。これは当時の子供番組ではよく見られた特徴だ。子供登場人物は劇中人物であると同時に視聴者の代表でもあるのだ。現実と空想に跨って存在す
2015-09-09 08:37:54る子供登場人物を通して、我々子供の視聴者は番組との連携を強めていたのである。こうした共感のためのメタフィジカルな仕掛けは、最近の子供番組にはあまり見られないようだ。 劇中、少年がダン隊員を「ダン」と呼び捨てにして咎められないのも、少年が視聴者の代表であるからだろう。
2015-09-09 08:42:05ウルトラセブン「勇気ある戦い」。今回の侵略者も「海底基地を追え」の宇宙人同様に鉄資源を求めて地球にやってきた、宇宙のクズ鉄屋だ。宇宙航行のテクノロジーを持ちながら、情報をラジオの渋滞情報から得ているといった知性の偏りがある。(だから簡単に防衛軍のトリックにも引っかかる)
2015-09-09 09:21:34(続き)劇中人物の子供が、空想(劇)と現実(視聴者)の両者に跨った存在であることを端的に示すエピソードがウルトラマンAにあった。この頃、私はあまり熱心に番組を見てなかったので、何というエピソードだったのか記憶にないが、孤児院だったか小児病棟だったかを訪問した北斗隊員が
2015-09-09 09:33:28「よーし、じゃあ皆んなでウルトラマンAの歌を合唱しよう!」と子供らと主題歌を歌う場面があったのだ。その主題歌には「今だ、変身、北斗と南」と番組上の最大の秘密が示されているのだが、別段子供らは何の疑問も感じてないように、これを歌うのである。
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