2015年9月9日

八九式12.7cm高角砲と射撃について

八九式12.7cm高角砲と射撃についてのまとめ(後に自分でも見直す目的もある)
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

豊川海軍工廠の防衛を担った大恩寺山砲台は昭和18年11月に御津町の御津山(大恩寺山)に設けられた砲台で、八九式12.7cm連装高角砲二基、九六式25mm単装機銃三型三基、九五式陸用高射装置一基、九八式四米半高角測距儀一基、九六式150cm探照灯100V陸上用二基…

2015-06-04 22:25:27
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

九六式探照灯管制器二型直流100V陸上用二基、工式仮称空中聴音機一基が大恩寺山に配備され、高角砲弾薬包は昭和20年の時点で553発準備されていた。また大恩寺山西に設けられた第一聴測所にも工式仮称空中聴音機一基配備された。同砲台は横須賀海軍警備隊大恩寺山砲台第六六分隊が警備した。

2015-06-04 22:29:47
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

前回作成した弾幕の基本概念図では説明不足な点もあるので補足説明も兼ねてやりたいと思う。一枚目は学研松型本にも掲載されている八九式12.7㎝高角砲の能力説明図に若干の編集を加えたものである。まず八九式12.7㎝高角砲についてだが pic.twitter.com/poQLJxC9Ei

2015-09-07 22:16:32
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

当初、同高角砲の設計思想を話すが、学研松型本と同様の史料より説明するため、本がある方は私の説明を聞かなくてもそれを読んでもらえればいい。

2015-09-07 22:33:37
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

同高角砲については新型高角砲として昭和3年より開発に着手され、昭和4年に設計が開始された。新型高角砲開発の背景には急降下爆撃機の出現によって自艦を守る必要が生じ、これを撃墜するためには従来の平射砲改造の高角砲では対処が難しく、本格的な高角砲が必要になったからである。

2015-09-07 22:41:48
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

昭和5年には試作砲が完成し、昭和7年に制式採用された。先の能力説明図を参照してもらいたいが基本性能としては敵急降下爆撃機が時速320km、高度5500mで直進。自艦直上で急降下に移るまでの約100秒間の間に同高角砲一基(二門)で60発を発射して敵機に有効な射弾を与えようというもの

2015-09-07 22:49:04
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

12.7cmとなった理由は一発分の炸裂有効帯容積を大きくし、尚且つ取扱い操作上支障の無い最大口径だったからである。口径長が40口径になった理由については当時の対空射撃の高度と射程を考慮した結果である。

2015-09-07 23:00:28
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

その根拠が下の八九式の要目表である。人の善意を悪用される方が多いためいつものことながら処置して見にくく申し訳ない。 pic.twitter.com/Ohi0ttdEfa

2015-09-07 23:02:10
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

以上で簡単ではあるが設計思想については終わる。先の能力説明図で見てもらってわかるように当初の考えでは急降下に入られる前までに有効な射弾を送ってこれを撃墜しようという考えで、一度急降下に入った敵機に対しては射撃をしない考えであった。というのもこれは高射器射法を前提としているからだ。

2015-09-07 23:05:54
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

一度急降下に入られてしまうと高射器で敵機を捕捉、照準することが非常に困難で、数基の高角砲に一基の高射装置で群を構成し、集中射撃で急降下前になんとかして撃墜しようというのが当初の考えだ。

2015-09-07 23:09:05
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

しかしながらいざ実戦を経験すると敵機の性能向上から高角砲、高射装置ともに能力不足が指摘され始める。艦艇側からは現状として高角砲は使えないから機銃を増備してくれとまで言われる始末。 と今回はここまで。続きはまた後日。

2015-09-07 23:12:13
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

エンガノ岬沖での伊勢をモデルケースとするが、同海戦では高角砲の弾幕帯は8000mに定め、敵機が急降下に移るまで図の如く弾幕を張る。そして敵が急降下に移ったならば高度2000mに照尺を固定し弾幕を張った。 pic.twitter.com/GNjyoHc5BT

2015-09-09 22:16:03
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エンガノ岬沖での実戦を通じ、射距離8000m~6000mまでは高射器射法で効果があったが、6000m以内の向首する目標に対しては高射器射法でも良いが、状況によっては級梯照尺、すなわち目標を挟むようにした方が効果を上げることもあった。

2015-09-09 22:25:07
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

また図のようにそれぞれの火砲用弾丸の最大信管秒時に応じた弾幕についても水上砲(平射砲)の対空射撃に合わせて高角砲も射撃を開始し、集中射撃によって弾幕を濃密にし、敵編隊機の撃墜を目指している。 pic.twitter.com/7psKb6bkJK

2015-09-09 22:31:12
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

大淀の高角砲は九八式10cm高角砲であるが、同海戦においては射距離10000m付近で約12機の編隊に対し主砲と同時集中射撃を行い、そのうちの8機を一挙に撃墜し、同射撃法は有効であると報告されている。

2015-09-09 22:35:20
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

もちろんこれには誇張や誤認もあるとは思うが編隊に対して有効であるという事を認識してもらいたい。

2015-09-09 22:35:38
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

以前も説明した昭和20年7月28日の呉軍港で弾幕を張りながら攻撃を受ける日向の写真であるが、急降下爆撃機に対しての弾幕の張り方がまさにこれである。 pic.twitter.com/kkKcOyRiGU

2015-09-09 22:39:42
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

級梯照尺についてだが、これは正確には「散布射法(級梯照尺)」という。先日よりも詳しく述べると測距に対して照尺距離を適宜に散布(級梯式、簡単にいうと階段状)する射法で高射器射法で測距手が目標を測距していくわけだが、この測距状況が不良な場合に測距誤差を補うもので

2015-09-12 21:49:59
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

同射法を用いた際に、一連の射撃中にいずれかの機会で目標に対して良好な遠近弾着を期待しようというもの。散布幅については概ね100から200mで良しとし、遠近散布界150m程度であれば100mが適当であると日本海軍では定めている。

2015-09-12 21:54:47
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

先ほど級梯照尺は正確には「散布射法(級梯照尺)」と言ったが、これとは別に「級梯照尺射法」も存在する。

2015-09-12 22:01:44
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

散布射法と級梯照尺射法図。簡単に表現すると散布射法はイメージ的にジグザク、級梯照尺射法はカクカクという感じで後者の方が単純でこちらの方が好まれる。伊勢では後者の方だと思われる。 pic.twitter.com/IOzu8uhTf4

2015-09-12 22:10:32
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

「昭和十三年度甲種對策」を読むと摩耶では両舷同時戦闘の場合は弾薬供給に20人必要だとするも固有の配員が弾薬庫員3名のみであるので他は整備科員及び両舷「四〇粍機銃(毘式のこと)」員を兼務として運用とあって対空戦闘時の運用についてまだ模索している様子がうかがえる。

2015-09-12 23:10:20
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

対空戦闘中、敵機の来襲又は攻撃に際しては極力之を回避するということが重要であるということは雷爆撃回避運動法でも説明した通りだ。従って対空射撃というのは回避運動中の射撃となる場合が多い。転舵中の高角砲射撃において最も困難なことは羅針儀の追従追尾誤差によって見越判定が困難となること。

2015-09-13 16:40:11
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

そして傾斜に対する動揺照準追尾もまた困難となるためこれらの研究及び訓練に苦心した経緯がある。

2015-09-13 16:42:11
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

確かに高速かつ集団で襲来する航空機をいちいち狙って当てるのが困難であることは間違いないが、濃密な弾幕を張って航空機の侵入経路を妨害するためには照準して適切な射撃諸元を算出し射撃することが「基本」条件であることを忘れてはならない。

2015-09-13 18:15:40
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