マスカレイド・オブ・ニンジャ ＃３

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【マスカレイド・オブ・ニンジャ】 #3

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

（これまでのあらすじ：ネオサイタマが誇るアクション俳優、ジェット・ヤマガタの正体は、ニンジャであった！彼はニンジャの力を密かに用い、アクションスターの座へと駆け上がろうとしていたのだ。だが急激な成功の裏には、様々な葛藤や歪みも生まれる）

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（あらすじ続き：そう、彼はスターダムの予感に浮かれ騒ぐ軽薄な男ではなかった。ヤマガタは自分を見失いそうになった時はいつも、売れない役者時代を過したオールド・カメ・ストリートに戻った。そして旧友と語らい、ラーメンヌードル店「竹」で命の恩人ユカリフォンの作る中華料理を食していたのだ）

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（あらすじ最後：だが今夜、ストリートを突然アンタイブディズム・ブラックメタリスト軍団「ドクヘビ・サークル」の理不尽な暴力が襲う！市場に店を構える友人ショウの命を案じたヤマガタは、密かに路地裏へ走り、誰にも見られることなくニンジャ装束とオメーンを纏った！…その名は、オウガパピー！）

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「アイエエエエ！……ニンジャ！？ニンジャナンデ！？」ショウは突如現れたチャイニーズ・オメーンのニンジャを見て恐怖に顔を歪め、失禁すると、泥の中に転がった金運ブッダ像を無我夢中で掴み、逃げていった。「アイエーエエエエエ！」まさかこの怪物の正体がヤマガタであるとは夢にも思うまい。　1

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一方、オウガパピーは凶悪武器を持つブラックメタリストに包囲されていた。カンフー・カラテを構え四方を牽制する。「ブッダの使徒を殺す！」「首を撥ねる！」「反ブッダの祭壇に捧げる！」「暗黒の橋が現れる！」薬物狂乱した敵は、彼を憎きブッダ戦士と錯覚している。睨み合い、そして、動いた。　2

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「AAAAAARG！」フランベルジュを構えたブラックメタリストが先陣を切る！彼らは力に乏しいため、いきおい剣の重さを使ったぎこちない回転切りの一撃となる。粗雑な一撃だが当たればニンジャとて死ぬ！「ハイヤーッ！」オウガパピーはこれを紙一重跳躍でかわし空中回し蹴り！「グワーッ！」　3

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敵の歯がほぼ全て砕かれ、骨が軋み、白眼を剥いて倒れる。次の敵が左右から来る。(((今のは痛かったな)))ヤマガタは眉根をひそめる。武道家ならぬアクション俳優である彼は、寸止めカラテしか振るった事がない。半ば無意識のうちに、ニンジャソウルのもたらす殺人カラテに枷をはめているのだ。4

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「「AARRRRRGH！」」敵二人の武器は、マサカリとダブルダガー。「ハイヤーッ！」オウガパピーは軽快な二連続即宙で武器をかわしながら、片方の顔を蹴り飛ばす。「グワーッ！」今後は威力が弱い。「ARRRRGH！」続けざま、メイスを持った敵が迫る。このまま素手ではジリー・プアー！　5

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「ハイヤーッ！」オウガパピーは敵の足の下をスライディングで潜り抜ける。「ARRRRGH！？」メイスの一撃は彼の頭の代わりに、道路に散らばるウォーターメロンを粉砕した。そのままオウガパピーは側転！フルーツ店の軒先に置かれたクリーヴァーを取り、またも顔をワイプする不可思議な動作！　6

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「ウェポンマスター・オメーン！」またも一瞬の早変わり！おお、見よ！彼の顔を覆うゴースト・オメーンは、力強い隈取りの黄色いオメーンへと変わっていた！「「ARRRRRGH！」」刀剣持ちが迫る！「ハイ！ハイ！ハイ！ハイヤーッ！」オウガパピーはクリーヴァーを巧みに振り回し、弾き返す！　7

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「ハイヤーッ！」フランベルジュを薙ぎ払い、剣先が地面に落ちた刀身を駆け上がって顔面膝蹴り！「グワーッ！」「ARRRGH！」「ハイヤーッ！」後方からのマサカリを受け止め、巻き落として、鳩尾にカンフー・トーキックをめり込ませる！「ゴボーッ！」「ARRRGH！」そこへメイスの一撃！　8

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「ハイヤアーッ！」オウガパピーは咄嗟にこれを受け流すも、酷使に堪えかねクリーヴァーが砕けてしまった！「ARRRRRGH！」ブラックメタリストは引きつった凶悪な笑みを浮かべながら、再び力任せにメイスで殴り掛かる！「ARRRRGH！」後方からは新手のマサカリ持ちだ！アブナイ！　9

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「ハイヤーッ！」オウガパピーは咄嗟に、道路に転がる木製ローベンチを抱え上げ、サインスピニングの要領で回した！「「グワーッ！？」」前後の敵は圧倒的なリーチの差で突進をくじかれる！「ハイヤーッ！」そのままブルドーザーめいて板で敵２人を押して進み、フルーツ棚へと痛烈に叩き付ける！　10

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「「ア……ア……」」ブラックメタリストは泡を吹き、白眼を剥いて、砕けた果物とともに地に倒れた。全てではあるまいが、大方の敵は片付けたはずである。だが……オウガパピーにはザンシンを決める暇すら与えられなかった！「イヤーッ！」鋭いカラテシャウトとともに、スリケンが飛来したのだ！　11

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「ハイヤーッ！」オウガパピーは咄嗟にローベンチを背負って２枚のスリケンを受け止める。板に突き刺さって頭を出したスリケンの切っ先が、首の後ろに微かに触れ、冷汗を滴らしめた。敵はニンジャだ。斜め上方、建物の屋根の上からアンブッシュを仕掛けてきたのだ。(((まずい事になった)))　12

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オウガパピーにとってニンジャとの接触はこれが初めてではない。以前も、ニンジャソウルに導かれるまま高層ビルを跳び渡って悦に入っていた時、不意にニンジャと遭遇戦に入ったことがある。その時は逃げの一手で撒いたが……今は引けぬ。このニンジャと今回の襲撃に関係があるやも知れぬからだ。　13

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(((クソッ、俺は何をしてるんだ)))「ハイヤアーッ！」オウガパピーは追加投擲されたスリケンを防ぎながら、ローベンチを放り捨ててそれを使い跳躍、さらにカンバンを跳び渡った！襲撃者の方向へ！空中で最初のオウガ・オメーンへ早変わりしながら、襲撃者の立つ建物の屋根の上に着地する！　14

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「ドーモ、スティールバイトです」茶色装束の敵ニンジャが先にアイサツをした。親指を除く全ての指先に、鋭い鋼輪爪を装備している。「ドーモ、オウガパピーです」彼はアイサツを返した。オメーンの下でヤマガタは歯を噛み、額に汗を滲ませていた。敵の装束に縫われたエンブレムには見覚えがある。15

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「ハ！非ニンジャのクズを倒してご満悦か？我々のシマで好き勝手暴れてくれたものだな、オウガパピー＝サン……ほオ、貴様の名は無所属の未確認ニンジャとして、セクトのデータベースに登録されているぞ……」アイサツの先手を取ったスティールバイトは、相手を嘲るような高圧的態度で言い放つ。　16

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オウガパピーはカンフーカラテを構え、相手を睨み続けていた。彼はニンジャの世界について、極めて断片的な知識しか持ち合わせていない。すなわち、このメガロシティの闇には自分以外にも怪物が潜んでいる事……アマクダリなる組織が闇の法を敷いている事……それに従わぬならば、排除される事。　17

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「これまでセクトのニンジャに２度遭遇……セクトの一員としてニンジャ登録することを拒み、そのたびに尻尾を巻いて逃げ出している……なるほど」スティールバイトはデータベースの情報を読み、また先程のカラテ光景から相手の力量を予測し、笑った。「小虫めが！ただちに俺の前でドゲザせよ！」　18

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恐るべき威圧的シャウトだ。常人であれば即座に失禁していたであろう。だがオウガパピーは動じぬ。彼の心胆はいまやニンジャのそれだ。「……あの者どもは貴様らの尖兵か？」オウガパピーは、芝居がかった口調と声色で問うた。ジェット・ヤマガタの正体を身破られれば、破滅が待っているからだ。　19

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「……何だ、頭のおかしな奴か？俺のカラテで切り裂かれたいか？」スティールバイトは息を吸い、鉄輪爪の指を突き出す独特のカラテを構えて威圧した。「我が問いに答えよ、小虫めが」オウガパピーは間合いを詰めた。(((……おい、何で映画スターがこんな危険な橋を渡るんだ、ちくしょう)))　20

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実際あのブラックメタリストたちはスティールバイトらが用意した地上げ予備工作のための手駒であった。だが無論、彼には敵に手の内を明かす気はない。秘密こそが力だからだ。周囲に一触即発のカラテが満ちた。そしてじりじりと距離を詰めていたオウガパピーは…見えぬカラテの一線を踏み越えた！　21