通訳さんのお話

Uお兄さん(@ebleco)のお話の時間よー!
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U @ebleco

よくある『共通語』っていう概念が無い世界観だと、それぞれの国や地域に言語の壁があって、当然『通訳』って職業が成立するからお兄さん好みである。 逆に「国際的に決められた『共通語』があるんだけど、この地域は『共通語』を話せない人間の方が多い」とかそういう設定もすげぇお兄さん好みです。

2015-09-12 18:50:25
U @ebleco

主人公が通訳の仕事をしてるファンタジー小説とか読んでみたい。 「さて、困ったぞ。バスティック語には西エルフ語で言う『森の天秤(フォプタル)』にあたる語彙が無い。西エルフの女性が『森の天秤に誓う』と言っているのだから相当深刻な状況なのだが、一体どう伝えたものか」みたいなの読みたい。

2015-09-12 19:21:14
U @ebleco

「えーっと……」 「どうした、早く訳してくれ」 「そのまま伝えると『薬瓶一つと銀一つにして欲しい。森の天秤(フォプタル)に誓う』と言ってます」 「……『森の天秤』? 何だそれは?」 「そうなっちゃいますよねぇ。まず、これ言われちゃうと断れないんですよ。旦那、男だから」 「はぁ?」

2015-09-12 19:36:49
U @ebleco

「時に旦那。あなた、爪も牙も毛皮も無くなって、家族と離れ離れになって住む所も無くなって、血も魂も自分が自分である証明を全て捨て去った状態になったらどうなります?」 「死ぬ」 「そうなるって言ってます」 「はぁ!?」 「西エルフの女が言う『森の天秤に誓う』ってそういう意味なんです」

2015-09-12 19:41:50
U @ebleco

「……そ、そんなもの! 身売りと変わらぬではないか!」 「そうなんですよ。西エルフの女が言う『森の天秤に誓う』は最後の手段です。まして、旦那は、ほら、男だから」 「まぁ、解る。女にそこまで言われて、男として見捨てるわけには」 「いえ、そうじゃなくて。えっと、どうしたもんかなこれ」

2015-09-12 19:49:43
U @ebleco

「……まぁ、いいだろう。そこまで言われて無下にするわけには行かん。彼女に『解った』と伝えてくれ」 「待った。旦那、そんな簡単に返事しちゃいけないですよ」 「……stel fan viest……」 「何で顔を赤らめているんだ?」 「旦那、そんな見たらダメですよ」 「何なのだっ!?」

2015-09-12 19:52:19
U @ebleco

「あー……Lu tuik fan phalia tie ta.deir?」 「……ryula」 「……何なのだ」 「えーっとね、旦那。今待ってくれるように伝えたんで。それで、えーっと……所で旦那って嫁さん居ます?」 「居ない」 「彼女とか」 「居ない! だから何だと言うのだ!?」

2015-09-12 19:57:30
U @ebleco

「西エルフの女は『森』に関する事で言った事は覆せないんですよ」 「ふ、ふむ」 「まぁ、文化は違うから僕は何とも言えないですけどね。男が西エルフの女にこう言われたら『私が貴女の森になる』ってしか答えられないんですよ」 「……待て」 「はい」 「何故?」 「さぁ」 「さぁではない!」

2015-09-12 20:05:38
U @ebleco

「それではまるで! 婚姻の申し込みではないか!」 「まぁ、そういう意味も含んじゃうんですよね」 「何故!?」 「もうそれは彼女に後で聞いてやって下さいよ。それで、その、どうします?」 「……」 「……uhla……」 「……髭を抜く」 「うわ、おめでとうございます」 「布を貸せ!」

2015-09-12 20:10:52
U @ebleco

「……整いました?」 「人払いを頼めるか?」 「僕、通訳なんだけどなぁ」 「頼む」 「髭抜いたバスティーにそう言われちゃうと、それこそ断れないですよ。待ってください。今度は彼女に説明するんで」 「頼む」 「あー……Fel tuik deir.Ta phil……」 「Pier!?」

2015-09-12 20:18:42
U @ebleco

「えーっと……」 「はい」 「まずですね。彼の返事は僕の口からは言えないです」 「ありがとうございます」 「それはそれとしてね、まず『その言葉』を直接訳す言葉がバスティシャン語にはないんですよ」 「……はい」 「意味は解ってくれたみたいです」 「……すみません。お恥ずかしい事を」

2015-09-12 20:23:25
U @ebleco

「えーっと……それで、バスティシャンの男性にとっては『髭』って命と誇りの次に大切なものなんです」 「存じております」 「はい」 「……はい」 「まぁ、それを貴女に渡さなきゃいけなくなったんで」 「……はしたない女だと思われてないでしょうか?」 「彼の気持ちは訊いてみないと何とも」

2015-09-12 20:27:46
U @ebleco

「誰にも見られる訳には行かなくなっちゃったんで」 「……はい」 「彼にも言いましたけど、僕、通訳ですからね」 「申し訳ありません……」 「移動します」 「お手数をお掛けします」 「Golr! Ddqnyyz tyaO!」 「Grro……」 「Nyye Zing O ilmd……」

2015-09-12 20:33:15
U @ebleco

「Golr,Tyaia denyyb?」 「Groda! Nyya ara balzyya」 「Fniyd? ……あー、すいません。ちょっと待ってて貰っていいですか?」 「……はい、お待ち致しております」 「Grro.Didp bada tyO,Golr?」 「Bieny,……」

2015-09-12 20:42:52
U @ebleco

「……はい、お待たせしました。それじゃ布取りますんで」 「……はい」 「僕はこれから、もうそちらの方見れなくなるんで。通訳はしますけど」 「……宜しくお願い致します」 「Golr!」 「Grro……」 「……」 「……Nyyadp……tyaOd……ワタシガ、アナタノ、モリニ……」

2015-09-12 20:46:45
U @ebleco

「……はい……はい……ありがとうございます」 「Grro,Fnyyda」 「……Didp……Od zing gobdd?」 「『何故私に婚約を』って言ってます」 「……その、何度かお話しする内に……あの……言わなきゃいけないでしょうか?」 「むしろ僕、訳さなきゃいけないですか?」

2015-09-12 20:51:33
U @ebleco

「……えーっと……頼もしい所と、男らしい所と、優しい所と、あと喉の毛皮がセクシーだったそうです」 「無くなった髭の付け根から火が出そうだ」 「僕もかなり髭が立ってますよ。僕には髭無いですけどね」 「済まない」 「もうね、西エルフ語で言うなら『Stel fan viest』ですよ」

2015-09-12 20:58:26
U @ebleco

「……」 「……」 「……じゃあ、後は双方お国で通訳を探して頂いてね。出来れば身内の方に」 「……ハズゥイ……」 「ごめんなさい、今僕が教えたんですけど変な訛り方してますね。耳が燃えそう的な事言いたいんだと思います」 「……私も、耳が燃えそうです」 「まぁ、おめでとうございます」

2015-09-12 21:02:52
U @ebleco

……みたいな小説読みたいです!! 誰か書いて!!!

2015-09-12 21:04:45
U @ebleco

主人公が通訳の仕事してるファンタジー小説とか読んでみたい。 「さて、困ったぞ。確かに僕は色々な言語は話せるからこの仕事をしてるわけだが、流石に亜龍族語とアークデーモン語なんて酒場で若いコボルトに教えて貰った程度の語彙しかない。文法は解っても仕事になるかどうか」みたいなの読みたい。

2015-09-14 13:53:58
U @ebleco

「と、いうわけで、アークデーモン語が話せる人見付からなくて」 「マジどんまいだわ。でも、僕とか亜龍族語とアークデーモン語はとりま話せるけど、本格的にはさげぽよですからね」 「語彙が怪しいなぁ」 「努力はしますけど、亜龍族語だってこんな感じだから割とウィッシュしといてプリーズ的な」

2015-09-14 14:00:54
U @ebleco

「大丈夫かなぁ」 「その疑問に関しては羽に虫が沸く様な自体につき、さげぽよ故致し方無しと言わざるを得ない」 「語彙が偏ってる」 「せやかて、本来ならアークデーモン語話しよる別の通訳さんを雇って頂いた方が的な」 「まぁ、意味は伝わるしな」 「出来る限り仕事はしますけど」 「頼むわ」

2015-09-14 14:08:11
U @ebleco

「……と、いう訳で、御紹介に預かった通訳にて候。若輩故の力不足では御座いますが、何卒亜龍族圏との円滑な取引の一助になればこれ幸い」 「語彙が偏ってる」 「先の御仁が仰るには娘への土産物としてデミデード産の宝石細工を依頼したく」 「ただの買い物に時代劇みたいな口調の人来ちゃったな」

2015-09-14 14:17:47
U @ebleco

「じゃーまぁ依頼聞きましょうか。デミデート産だって言うからには暗紅晶石使ったのはいいんでしょうけど、色の指定とかあります?」 「Wler dra veder?」 「Blazag」 「……古より祝い事には真紅が相場と決まっておりまして」 「若い人が『古より』とか言っちゃいけねぇよ」

2015-09-14 14:23:28
U @ebleco

「とりま伝わったわ」 「がんばってくれてるのは判るけど、こっちの言葉が軽い」 「バビるわ。あと『細かいデザイン的なサムシングあるか?』って」 「あー、じゃぁ娘の羽の色に合わせて、青色を端に入れて来ると」 「かしこまり。えっと……Еска иы тьбр какарозм н……」

2015-09-14 14:33:26
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