- H_Hirayama
- 2833
- 0
- 0
- 0
本当にどうでもいいことを、天文学会前日の夜につぶやく。 以前から「カルマン渦」という言葉に奇妙な印象を持っていた。が、その奇妙さをうまく言い表せなかった。先日はっと気づいたのだけど、これは「カタカナ人名+和語」という組み合わせなのだ。
2015-09-08 22:52:37それが奇妙さの原因だったのだ。 通常、学術用語は漢語で表現する。例えば熱力学第二法則とかシュレディンガー方程式のように。しかしこれを「カルマン渦」に当てはめると「カルマンか」となってしまう。これでは何のことかわからない。
2015-09-08 22:52:53「渦」の音読みが「か」という一文字で、しかもそれだけでは何のことかさっぱりわからない、というのが「カルマンうず」という言葉の誕生の理由だろう。 これですっきりした。 が、次に類似の言葉にどんなものがあるのか気になってきた。そこで探してみた。
2015-09-08 22:53:06その結果、 カルマン渦列 モファット渦 コルニュの渦巻 ラグランジュの渦定理 などが見つかった。出典は物理学辞典である。
2015-09-08 22:53:24カルマン渦は「カルマン渦列」として記載されていた。「渦列」は湯桶読みであり、つまりカタカナ人名+訓読み+音読みである。ますますややこしい。 モファット渦は、カルマン渦と同列に位置づけられるが、知名度で劣るのが惜しい。 コルニュとラグランジュは「の」が入っている点が惜しい。
2015-09-08 22:53:44渦のほかにもさがしてみたら「こま」があった。すなわち ラグランジュのこま コワレフスカヤのこま オイラーのこま である。 ラグランジュは二度目の登場である。「コワレフスカヤのこま」はこのシリーズ上唯一の女性。 ただ、すべて「の」が入っているのが惜しい。
2015-09-08 22:54:01まだある。 フーコーの振り子 ボルダの振り子 ケーターの可逆振り子 レイリーの流れ ポアズイユの流れ
2015-09-08 22:54:22まだまだある。 フレネルの鏡 ロイドの鏡 ロックウェル硬さ ブリネル硬さ ショア硬さ これは「の」がない。が、硬さ、という言葉の硬さがやや惜しいところ。
2015-09-08 22:54:38こんなのもある。 ブルースターの干渉縞 ハイゼンベルクの谷 シュレディンガーの猫 レッジェ的ふるまい ランダウのゆらぎ ユリウス日 最後にぞろぞろと大物が出た感がある。 干渉縞という言葉は重箱読み。これも「縞」を音読みすると「こう」となって何のことかわからなくなるからだろう。
2015-09-08 22:55:59こうしてみると、やはりカルマン渦(列)という言葉が、知名度、完成度の高さ、響きの美しさ、複雑さと統一性など、他から一歩抜きんでているといえる。
2015-09-08 22:56:14ところで話をひっくり返すようだが、「場」を「ば」と読むのは訓読みである。これを持ち出すと・・・電磁場、重力場、ゲージ場に始まって、ハイゼンベルク場、ディラック場、ヒッグス場といろいと出てくる。 しかしカルマン渦にはかなわない、というのが私の(どうでもいい)見解である。おしまい。
2015-09-08 22:56:45@fujisawakenta 「流れ」は「の」を入れずに言う場合もありますね。その場合、もし音読みすると、人名+「りゅう」で、流儀や学派みたいに聞こえて妙です。やはり「ながれ」でないと。
2015-09-14 10:32:45@H_Hirayama レイリーながれ、ポアズイユながれ、なかなかいいですね。 今思ったのだけど、流派として「流」を付ける場合の発音は平坦なのに、流れとして付ける場合は「り」にアクセントがあって「う」で下がる、という風に言っている気がします。 ますますどうでも良いことですが…。
2015-09-14 11:59:08