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師茂樹『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』をめぐって

師茂樹さんの著作『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版,2015)についてのコメントをまとめました。
人文 徳一 思想史 最澄 西遊記 仏教 論理学 唯識 大乗仏教 玄奘
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યુતકકવસકિ @suhamma
【メモ】師茂樹『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』ナカニシヤ出版, 2015. nakanishiya.co.jp/book/b196289.h…玄奘が残したとされる論理式「唯識比量」を巡る,国や時代をまたいだ議論の探究を通じ,論理と歴史の「共生」構造を解き明かす
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
師茂樹『論理と歴史 東アジア仏教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版、2015)は、博士論文(の一部)を手直しした本です。博士論文は、これまで書いた論文をまとめたものですので、すでにお読みいただいているものもあるかと思いますが、まとめるにあたりいくつか新しい要素を付け加えました。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
一つは、玄奘の「唯識比量」などに見られる(仏教)論理学の持つ非歴史性と、玄奘伝などの高僧伝が持つ歴史性とが、実は裏表の関係にあるんじゃないか、という視点です。『論理と歴史』という変なタイトルや、「論理と歴史の「共生」構造を解き明かす」という煽り文句は、そこから来ています。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
そのような「論理と歴史」の接続を試みるために、北條勝貴さんの「人物伝的歴史理解」や、エリアーデの「祖型と反復」などを援用しています。また、方法論的には、『ウィトゲンシュタインのウィーン』のコンテクスト還元主義的な手法を意識しています。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
ざっくり言うと、『ウィトゲンシュタインのウィーン』 amzn.to/1Ilqpiu は“『論理哲学論考』は倫理的な本だった!”というものですが、私のやろうとしたことは、“玄奘の「唯識比量」は歴史叙述であり、仏道修行の実践だった!”というものです
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
「まえがき」にも書きましたけど、これら方法論的な議論のベースなったのは、ラカプラを輪読した大学院時代の思想史研究会、歴史学の方法論やデリダとかをやっていた方法論懇話会、高校時代に読んだエリアーデ『永遠回帰の神話』などで、全然成長していないんだなぁとつくづく思います (^_^;)
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
『論理と歴史』 nakanishiya.co.jp/book/b196289.h… 続き。この本の序論では、方法論的な議論をするにあたって、仏教学的な先行研究のほかに、フッサール、デリダ(東浩紀)、トゥールミン、ラカプラなどを引用しているいずれも論理学的な問題の歴史的なアプローチに関わるものである。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
こういうものを引用すると、仏教学の研究者のなかには拒否反応を示す人も少なくない。こういう“浮いた”ものを使うのではなく、文献に則して厳密に、着実に研究すべきだ、みたいな、そんな反応である。要するに胡散臭い (^_^;)
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
しかし、私から見れば、現在の仏教学の手法のほうがよっぽど胡散臭い(というと語弊があるが)。文献を厳密に読む、というけど、その厳密さについて、どれほど反省しているだろうか。文献(たとえばある人の法華経の註釈書)を読む際に、我々は辞書を引いたり、他の類似する文献(近い時代の別の人の
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
法華経の註釈書など)の用例と比較しながら、意味を確定する、という作業を行う。つまりこれは、ある文献の中の言葉の意味を、その文献の外側の用例(コンテクスト)によって解釈する、ということである。いわゆるコンテクスト還元主義というやつである。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
では、仏教学において、一つの文献を研究する際に、コンテクストはどのように選ばれているか。多くは「何となく」であろう。法華経の註釈書を研究するのだから、他の人が書いた法華経の註釈書と比較してみよう、とか、同時代あるいは同地域の人と比べてみよう、とか、そんな感じであろう。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
トゥールミンらが『ウィトゲンシュタインのウィーン』で試みたことは、そんな中途半端なことではなく、政治から文化から全部のコンテクストを踏まえようぜ、というものだし、ラカプラはそれを評価しつつも、全部のコンテクストを踏まえることは無理だし、コンテクスト還元主義以外の読み方も
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
あるだろう、と批判した。コンテクストの選択の恣意性をどのように考えるかは研究者によって異なるかもしれないが、少なくとも私にとっては大きな問題であるし、仏教論理学研究においてはかなり本質的な部分とリンクしている、と思っている。だから、フッサールやらラカプラやらを引用した。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
とはいえ、「現在の仏教学の手法のほうがよっぽど胡散臭い」と偉そうに言ってはみたものの、ではお前は適切にコンテクストを網羅的かつ適切に扱っているのか、と問われると、私自身も中途半端ではなはだ心もとない。すいませんすいません…と謝りたくなる (^_^;)
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
まあ、そんなへなちょこな覚悟でしかないのであるが、兎にも角にも、哲学的な文献を研究する、という行為が、その研究者の研究という行為自体をメタ的に問い直すことにもなるんじゃね?という問題提起として受け取っていただけると幸いであります
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
仏教系の“意識高い”人にデリダの「脱構築」とかいうと、すわ空思想との共通性が!とかなったりしますが (^_^;) そもそも脱構築って「文献を厳密に読もうとすると、いろいろ矛盾が出てくるよね」という文献学者の悩みに名前をつけたものなので、そんなに毛嫌いする必要はないと思うのです。
ナカニシヤ出版の人 @NakanishiyaSh
『論理と歴史―東アジア仏教論理学の形成と展開』師茂樹著 ※玄奘が残したとされる論理式「唯識比量」を巡る、時代を超えて展開された議論を丹念に読み解き、そこから浮かび上がる、論理と歴史の共生構造を解き明かす(写真は見本です) pic.twitter.com/LiccZ6Q99y
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師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
『論理と歴史』amzn.to/1HKhEjm を学内の先生に献本したら、某先生から早速感想をいただいた。唯識比量をめぐるドキュメンタリーのようで楽しめた、唯識比量が曖昧なまま終わるのも余韻があってよい、とのこと(感謝)。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
「唯識比量が曖昧なまま終わるのも余韻があってよい」というのはたぶん褒めてない (^_^;) のだが、私としては、唯識比量の作者や意味を確定させない戦略(というか実験というか)をとったので、こういう感想をいただけたのは、ある意味成功だと思う(思っておきたい (^_^;;)。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
序論などで詳しく論じることはなかったのだが、文献学的な研究にせよ、コンテクスト還元主義的な読み方をするにせよ、「一つのテキストには、一人の作者の一つの意図がある」というような本質主義が紛れ込むことになる(本書でも引用しているラカプラ『思想史再考』などで指摘されている)。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
『論理と歴史』では、前にも書いたようにコンテクスト還元主義的な方法を参考にしているのであるが、その記述においては上(もしくは下)のような本質主義を避けようとする悪あがきを試みている。本書の冒頭で、研究対象について「その対象となるのは、三蔵法師として有名な玄奘(六〇二~六六四)が…
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
…インドで説いたとされる、「唯識比量」という名でしばしば呼ばれる論理式である。厳密に言えば、唯識比量そのものというよりも、それを伝承し解釈し続けた東アジアの人々の書き残したものが対象となる」と言っているのは、そのあたりのことを意識していたりする。
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
小野嶋祥雄さんの「唐初期三一権実論争の起因に対する論争当事者の認識」 ci.nii.ac.jp/naid/400204090… が面白い。玄奘がもたらした五姓各別説によって起きた仏性の有無をめぐる論争において、「この論争は仏によって予言された論争である」という認識が論争当事者にあったという
師茂樹 MORO Shigeki @moroshigeki
この「予言」とは『大乗涅槃経』に「我(=釈尊)が滅度の後、諍論が生じるであろう。ある者は一切衆生に仏性があると言い、ある者は全員にあるわけではない、と言うだろう」というもの。これがあるので、唐代における論争も義栄の言葉を借りれば「如来金口の所記」なのである。
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コメント

kakuyu @southmtmonk 2015年9月15日
まとめを更新しました。
kakuyu @southmtmonk 2015年9月15日
まとめを更新しました。 @moroshigeki さん @iwa_jose さん @naagita さんのtweetを追加させていただきました。
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