音楽家 伊東乾氏は語る;「天才的な音楽の源泉は、熟考にこそある」・・・日本における、『天才モオツアルト像』に見る音楽の貧困
- Eric_Ridel
- 2922
- 0
- 0
- 0
あと45歳で初めて出した音楽の単著、これ孫引きが一つもないんですね実は。全部僕がゼロからやった仕事だけで一冊書きました。22歳で最初に書いた本「クラシックの快楽」(共著)は生意気なティーンが鼻柱で書いたものでしたが、それから倍生きる間にすべて自分で組上げた内容だけで書いてます^^
2011-01-09 04:49:27スイスのルツェルンで6年前に行ったピエール・ブーレーズとの指揮のジェスチャーのコンピューター・モーションキャプチャー分析なんて専門のペーパーしか書いてませんから日本語は初出です。興味本位で軽薄にこういう大切な内容を出す事を僕はしません。これに先立って医学部と行った解剖等も同様です
2011-01-09 04:53:51僕が22歳のとき猪瀬博教授に教えて頂いた「僕自身もそうしました。10年かかってシステム・インテグレーションなさるといい」を特に僕より若い方に大いにお勧めしたいです。大学に呼ばれて12年、10年目位までかけて形にしたものがこれから世の中に出て行き、自分自身は次の仕事という今年です。
2011-01-09 04:58:26ロジックを通せば完成する学問ですら資料集めに10年かける等と言います。まして大規模な芸術作品の理解消化演奏とか、無いところから創ったりするのは、少なくとも僕はスローモーな人間で時間を食わざる得ません。長尺のオペラなど器用にすぐやる人がいますが僕はこれだと交通整理しか出来ません。
2011-01-09 13:45:13どっちかというと僕は筆が走る方です。仕事ならオケ総譜月産200枚とか300枚なんて時期もありました。譜読みもテキパキ進める方です。でもこれだと、安全に現場を流す運転みたいな演奏にしかならないし、作曲なんかもっとそうでただ音くっつけただけみたいになりかねない。再演価値は低いでしょう
2011-01-09 13:48:19自分の中で幾度も自問自答し、リアルな夢を幾度も見つつ、自分でもハッと驚く経験をたくさんしながら自分の「読み」が決まってゆく。読譜は当然、自分の創作というのもそういうもので、生まれ出つつある音楽との誠実な心の対話が価値を生み出します。そういう経過の見られないものは殴り書きと言います
2011-01-09 13:50:26コミックスなどで「天才モーツァルト」像などが大変に歪められて描かれるのは有害無益で最悪だと思う。彼こそまさに、常に細部を精緻に考え続けた人。それはほんのちょっとした一つの「ナチュラル」だったりするけれど、楽想が泉のように沸いてきて適当に書き散らかしたなんてフィクションは無関係
2011-01-09 13:52:57事前の熟考があるから筆が走る。予め夢に見るくらい思いがあると自分でも後でびっくりするような即興が出てきたりする。そういう「潜在意識の漬物」の作り方を、知ってる奴は知っている。そういう自己管理が出来ると長年安定して予想外の場外ホームランを打ち続けるバッターを務める事が出来る様になる
2011-01-09 14:01:26半世紀以上昔の古い録音を聴く。マイクの置き位置etc完全に間違っているのだが、それでもその奥に演奏そのものが聞き取れ勉強になる。コルトー・ティボー・カザルスのベートーヴェン、弦楽器を弾いている人がどちらもピアノでピアノパート弾きこんでるのがよくわかる。こういう事が少なくなっている
2011-01-09 14:08:18@itokenstein この点の相関性を指摘する一般向け報道は極端に少ないように思います。現代に置き換えても重複する部分多々。史実とその背景。歴史に学べない「実践」になっていない教育。この教訓こそ、今こそ知られなければならない事だと思うのですが。
2011-01-09 14:18:30@itokenstein イスラエルに行った知人によれば、どこかの国の雰囲気、人となりにソックリだと。いや、違う。アメリカこそがイスラエルなんだ。直感的にそう感じられたそうです。
2011-01-09 14:27:24@itokenstein 「天才モーツァルト」>小林秀雄の美学論文からノルベルト・エリアスの歴史的社会学方法による評論まで、「なぜモーツアルトは楽想をそのまま形にすることができたのか」という問いは、やはり謎として残っています。
2011-01-09 14:35:49@itokenstein このtweetで先の「天才モーツァルト」像の話について合点が行きました。世間の「天才像」は音楽を分かっていない人の夢想に過ぎず、彼の音楽は厳しい幼少時の訓練と常に熟考している人だけが到達できるものだと思います。逆にそれができる人が天才かもしれません。
2011-01-09 14:39:49僕もそういう例はいくつも知っています。学生さんにはICレコーダで教員の言葉を録音することを勧めます。そして自分で闘え。 RT @itokenstein 学生時代も、また教員になってからも、こういう事例山ほど見てきました。全部実名で出したら、私の関係している某大学くらいは..
2011-01-09 14:43:52世の中に二つの種類の問いがある。正解のあると問いと無い問い。で、正解のない問いにも二種類ある。問う価値のある問題と、価値のない偽問題。最後のモノをill-posed problemと呼ぶわけで、こういうものを峻別排除て迷わぬよう助けるのがPh.DのAdvisorの主要な仕事^^
2011-01-09 14:52:59問う価値のない偽問題! ドキッ! 結構振り回されている/している気がする。RT @itokenstein世の中に二つの種類の問いがある。正解のあると問いと無い問い。で、正解のない問いにも二種類ある。問う価値のある問題と、価値のない偽問題。
2011-01-09 14:58:44で、雰囲気だけタップリの偽問題で初学者を煙に巻くのは悪質な権威主義教員が よく使う手段。気をつけたほうがいい。偽問題を見破る比較的簡単な方法は外国語訳させること。単なる雑文にしかならずコンパクトに確定した問いにならない。偽問題は決して学位にならない。大学院なら時間の無駄に終わる。
2011-01-09 14:59:24偽問題ill-posed proble,人文系でも多く見ますが、最も重症なのは音楽の解釈など芸術です。唯一の正解のない問いが多いですが、無数の正解と膨大な間違いがあるのも芸術のシビアな事実。音楽については日本では明治以降、楽器の取り扱い以上の内容が伝えられず無内容な演奏になり易い
2011-01-09 15:05:24@yukilot 小林氏自身明言している様に、彼の仕事は文学作品がより売れるようPRの筆耕に生涯を使われた、その意味で社会的経済的に功績のある人だと思います。「美学論文」と呼ぶと高階さん(の奥さん)あたりが全く間違いとか言われるでしょう^^ 一つの文学と思ってみるべきテキストです
2011-01-09 15:12:56@itokenstein 笑)音楽評論が出るたびに専門家の方はそう言われますね。小林秀雄も相当叩かれたようですね。しかし、テキストは残ります。音の記憶や録音と同じくらい、あるいはより深く長い影響を与えます。
2011-01-09 15:14:54@yukilot もう一つ大切な事は、音楽は演奏の瞬間に生まれ、その場で消えてゆく本質です。その本質と無縁なものは、音楽とは無縁だというのは、とても大切なポイントです。ジャンケレヴィッチのようにこうした本質に根ざした思考を記したテクストもあり、奥が深く面白いものです。
2011-01-09 15:17:03@itokenstein 小林秀雄が「社会的経済的に功績がある」という指摘は何度か聞きましたが、そうなんですね。私にとっては、3大陸で暮らす間唯一読み続けた作家なので、社会的価値を考慮することはありませんでしたが。最終的に、美学者ですよ。独自の文学と思って読むというのは賛成です。
2011-01-09 15:19:13@ponzalez 例えば小林秀雄のモーツァルトまわりの話は、要するに雰囲気あるキャッチフレーズ、販売促進に役立つコピーライトであって、コミックスと同様PRに役立てば何よりという所のものです。その本末を間違えてはいけないと、たとえば高橋悠治は長年鋭い警告を発し続けています。
2011-01-09 15:21:09@itokenstein ご教示感謝します!ジャンケレヴィッチは死に関する哲学論考を読んだのみでしたが、音楽評論も書いているのですね。探してみます。モーツアルトに関しては、ピエール・ジャン・ジューヴが小林にとても近いことを言っていて、私はひそかに小林の借用を疑っています。
2011-01-09 15:21:43