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烏賀陽 弘道 @hirougaya
インターネットがなかったころは、これほど新聞が批判/非難されることはなかったのは間違いない。これをいちばん喜んでいるのは新聞かもしれない。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
なぜなら、インターネット普及期以前の90年代、新聞は「いるけど機能していない」状態で誰も話題にすらしなかったから。これほど自分たちが再び話題にしてもらえるとは思っていなかっただろう。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
もちろん、世論がまったく話題にすらしなかった90年代に新聞の機能不全は進むのだが、インターネットが批判や非難を轟々と寄せるようになった2000年代にも、新聞は何も自己改善に取り組んでいない。徒労感が大きい。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
私が「日本の新聞はもうだめだ」と自分が働くメディアとしての新聞に絶望したのは91年、入社して5年目くらいだ。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
実は、日本の新聞が抱える病弊は、バブル景気で収入が潤沢、資金に余裕があるころ(1985年〜92年ごろ)に取り組んで解決すべきだった問題がほとんどだ。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
ところが、その好景気のころには何もせず(当時は経済成長は永遠に続くかのような妄想で頭がおかしくなっていた)、そのまま持ち越して不況に突入したので、手も足も出なくなった。何かしたくても資金や人員がないのだ。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
もちろん、資金の有無とは別に、改革する意思があるのかどうかも怪しいが、それはおいておく。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
例えば、警察(事件)報道が警察情報に偏りすぎていて、人権侵害にまでなっていることは、1980年代前半に「犯罪報道の犯罪」で当時共同通信の記者だった浅野健一さんが指摘していた。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
新聞が相手にしなかったのではない。朝日の社会部長は紙面で反論したり、まじめに相手をしている。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
なぜ新聞が本気で改革に取り組まないのか、いろいろ理由はあるが(記者クラブなど)、もっとも致命的なのは「ライバルがいない」ことだ。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
「記者クラブさえ廃止すれば新聞は息の根が止まり、インターネット報道が代替する」というのはおめでたいシナリオである。「人材」「資金(人材に払う給料含め)」がインターネットにはまだ機構としてない。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
人材は、「こいつが取材するとイヤだな」と権力が思うような致命的な情報を取ってくるような記者を頂点に、基礎的なジョブスキルを身につけた記者。これらのジョブスキルトレーニングはまだ新聞とテレビが独占している(アメリカはジャーナリズムスクールで公開されている)。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
日本の新聞社が持っている機能には、報道そのものだけではなく、こうした「初等ジョブスキルの教育」という機能がある。これはまだ出ていない議論だ。新聞社外には見えないから。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
現在の若い記者の悪戦苦闘を見ていると、新聞社/テレビ局のジョブスキル教育もほとんど衰退している。が、それを代替するものは皆無だ。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
私が「新聞/記者クラブ無力化の後のシナリオ」のひとつに「ジョブスキル教育をできる組織をつくる」というのを必ず入れるのはそういう理由。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
これまでの議論を見ていると、アマチュア、フリー記者含め、こうした現行の報道企業が持っているジョブスキル育成のシステムに触れているのは皆無だ。そのへんが危ない。権力監視ができる記者のスキルは10年がかかるから。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
そして新聞は自滅、老衰で自然死。ネットは報道として機能せず、給料ももらえない記者は再雇用先もなく消える。権力監視は誰もせず、権力者(検察、警察、裁判所、政治家など)にとってのパラダイスが出現する。この最悪のシナリオが現実味を帯びてきました。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
仮に連休明けからネットが新聞と交代して記者を総入れ替えしても、与党政治家や官僚が「これは怖い」と思う=つまり権力監視として機能するには5〜10年かかります。人材はそんなに短期には育ちません。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
5〜10年かかるなら、その間に小沢首相やら前原首相、あるいは自民党の与党復帰などあるかもしれませんね。検察はますます暴走するでしょう。裁判所は腐敗したままでしょう。その間の「権力監視空白」にそれこそネット世論はイライラするでしょうね。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
私が正月に、2011年を「ポスト記者クラブ元年」にするには、とメモしていたのは、こうしたことを考えないといけない段階に来ていることを感じるからです。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
本来はこうした権力腐敗とメディア腐敗は過去に生産すべき問題だったのに、バブル景気で惚けた(1985〜92年)と思ったら冷戦終結でまたほうけ(92〜95年)、オウムと震災ショックでまた何もできず(95〜98年)平成不況の泥沼と、空白の10年は20年へと延長されます。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
そして、何の備えもできないまま、すべてが崩壊していく「オール・ルーザースゲーム」になっていくように見えます。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
all losers' gameですね。全員が負け犬になる。最大の負け犬はもちろん、権力を持たない国民です。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
以前にもいいましたが、インターネット報道にマネタイズの機能が完成すれば、あっという間に既存メディアとのパワーバランスは逆転します。
烏賀陽 弘道 @hirougaya
年間3億円のマネタイズ(カネを稼いで設備や給料を払うシステム)ができれば、何人か記者を引き抜いてくれば当面(例えば3年とか)何とかなる。記者は5〜10人の小規模所帯でしょうけど。
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コメント

@minazuki_eve 2011年1月9日
年間3億円のマネタイズを最近のWebサービスに多い月500円の会費でやろうとすると5万人が通年で払う必要がある。
@minazuki_eve 2011年1月9日
関連記事:神保哲生×永江朗 対談 広告に依存しない「ビデオニュース・ドットコム」激闘の軌跡 http://mediasabor.jp/2010/03/post_763.html 神保哲生氏は8年間で500円の有料会員1万人を達成したらしい
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
@masa_mynews氏の、Mynewsjapanの話題が出てこないのが不思議だ。
セルフ執事 @SF_yomi 2011年1月9日
インターネットで新聞批判が起きたのではなく、可視化されただけ。そこから間違えている。
@minazuki_eve 2011年1月9日
いろんな人のコメントでまとめが長いので短いバージョン作ったhttp://togetter.com/li/87538
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
@amneris84さん、@iwakamiyasumiさん、@hirougayaさんの、ポスト記者クラブ鼎談が楽しみです!
白饅頭(御田寺圭/光属性Vtuber/バーチャルツイッタラー)🌕 @terrakei07 2011年1月9日
最後のうがやさんのツイート以下は削除してもよいと思う。
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
@hirougaya氏本人の単独のつぶやきと、@hirougaya氏への感想ツイート(と@hirougayaさん本人の返答)を区別しました。
烏賀陽 弘道 @hirougaya 2011年1月9日
まとめありがとう。しかしこの話題は反応が多いなあ。
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
うがやさん@hirougayaの発言は赤で、それ以外のツイートは青で整理しました。
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
@hirougayaさんの、ツイッタラーとの、『ポスト記者クラブ関連のツイート』がいくつかあったので、それをメインに追加。
傍観する魴鮄@無為の人 @Matgurnard 2011年1月9日
ビジネスモデルとか大上段に構えなくても、使い物になりそうな若い人を取材に同行させて、技を盗ませる、というような形で人材を育てる方法もあります。お金かけるだけでは、民主のバラまきと同じです。
五代雄介 @Eric_Ridel 2011年1月9日
@hirougayaさん、@amneris84さんの、ポスト記者クラブトークが、まだまだ続いていたので追加。もうそろそろ第二部作ろうかな。
SMT @SuperMTec 2011年1月10日
そもそも民衆が権力を監視しなければ「ならない」という認識を持たず、ろくに投票行動もしないこの国の愚民が、本当に権力監視機関としての報道を必要としているのかという疑問があるのだがw 民衆が権力監視を必要とするなら、生まれるべきは民衆が記者を出来る限り直接雇うシステムであるように思う。民衆が求める話題の報道を受注するシステムがあれば金を払う人は多かろう。それと、報道への消費者・民衆からの批判や疑義を受けて議論できる場がなければならないだろう
ミィム@糖質制限中 @happylab 2011年1月10日
インターネットに楽観を求めるなら、「政治家がネットジャーナリズムに参加しつつある」という点。ジャーナリストだけがジャーナリズムを持つだけじゃない時代を期待する
烏賀陽 弘道 @hirougaya 2011年1月10日
残念ながら、実務として聞くに値する意見や情報は、ここでまとめられている私の発言以降のツイートには(ほとんど)ない。かすかに「なるほど」と思うものが2〜3ある。みなさん報道の実務についていかに知らないまま発言しているかよくわかったので、参考になりました。ありがとう。