
高岳、街を歩く(栄→大須・上前津 編)
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takumikogaku
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【高岳、街を歩く(栄→大須・上前津編】 今回のポイント ・高岳は所持金を3,000円しか持っていなかった(クレジットカード、キャッシュカードなし) ・目的はまんだらけで島本和彦「吠えよペン7巻」を探すことだった。 ・高岳は小雨程度では傘をささない。
2015-09-24 21:13:43
【高岳、街を歩く(栄→大須・上前津編)】 今回のキーワード ・【栄】→名古屋の繁華街。SKEがいるところ。 ・【大須・上前津】→東京でいう秋葉原、中野みたいなところ。ただしSKEはいない。 ・【マナカ】→東海地方の鉄道用ICカード。manaca。
2015-09-24 21:19:19
【高岳、街を歩く】10か月ぶりの職場復帰は幸い温かく迎え入れられほっとしていたところ、今日は午前中から通院である。最近方々から「少し太ったね」(※痩せ→中肉になっただけ!)と言われるので、小雨のちらつく中であるが病院のある栄から大須・上前津へと歩くことにした。
2015-09-24 21:22:36
【高岳、街を歩く②】大須へ行く前に栄の書店を巡らねければならない(なぜ義務化というと狂書人だからである)。雑誌「世界」(岩波書店)の先月号はねえかなと探したが、案の定総合誌のバックナンバーが残されていることはなかった。まあこのあたりはまだまだ余裕である。
2015-09-24 21:58:31
【高岳、街を歩く③】小雨も気にせず大須へ。「カレー味噌煮込み」なるものを発見し(本当にそういうものがあるのです)、昼食はそれでもいいナアとブラブラ。まんだらけは正午開店なので、かつてクレーンゲーム狂であった私はゲームセンターを覗く。あいかわらずご無体な設定やわ、と、つぶやく。
2015-09-24 22:01:50
【高岳、街を歩く④】それでも正午にはまだ時間があったので、上前津駅周辺にある古書店をのぞくことにした。まずはA書店である。こちらは軒先に 廉価な本が置いてあり、中は結構値の張る、しかし魅力的な本が鎮座している。軒先の本を入場料代わりに持って入店する。
2015-09-24 22:05:58
【高岳、街を歩く⑤】私は新潮社から出ている「三島由紀夫短編全集」というぶっとい本を持っているのであるが、まさか同じく「長編全集」(二冊組)、「戯曲全集」があるとは知らなかった。もちろん3,000円の身では手が出ないので、石原慎太郎「行為と死」(河出書房)をはじめてとして→
2015-09-24 22:08:51
【高岳、街を歩く⑦】その後向かいにあるB書店へ。こちらはSF、ミステリものに強い店である。ここでも廉価の本を買い求め、P・K・ディック「宇宙の操り人形」(仁賀克雄訳、ちくま文庫)他、計3冊買い求める。
2015-09-24 22:12:32
【高岳、街を歩く⑧】私は現在欝々とさせられる病のために性的欲求がまったくないのであるが、性的でありたいという欲望は強く有している。さて、ただでさえ本の売れぬ嘆かわしき現の世、古書店もエロティックなごにょごにょに手を出さねばならない。私は迷うことなくエロスの一画へと足を踏み入れた。
2015-09-24 22:19:39
【高岳、街を歩く⑨】この時点で所持金は1,800円ほどであった。無論、見るだけのつもりだったのである。しかし、黎明期のごにょごにょ収集家として名高い私には無視できないごにょごにょを発見してしまった。30分後、私の所持金は800円ほどになっていた。
2015-09-24 22:23:19
【高岳、街を歩く⑩】まんだらけへと向かう足取りは複雑だ。本来はまんだらけで「フィギュアを硝子越しに見つめる少年」のようにフィギュアを見つめて、島本和彦「吠えよペン7巻」(小学館、これでコンプリート)を探し、ちょいとうまい昼飯をくらうつもりだったのである。
2015-09-24 22:26:31
【高岳、街を歩く⑪】しかし、今は800円。この時点で30過ぎたおっさ……お兄さんが持ち歩く金額ではないが、これでもし求める書があればどうすればよいのだろう、嬉しいけど、昼食まだだぜ、と思いながら店内へ。しばらくは当該コーナーを見られず、昔のカードダスなどを眺めて懐かしむ。
2015-09-24 22:28:37
【高岳、街を歩く⑪】ばっちりあったよ……「吠えよペン7巻」……さすがまんだらけだよ。400円(税抜き)。私は狂書人としての業を背負いながら、レジへと向かった。レジにおわす方は私の好みのひとであった。最近、いいこと続くなあと、本を渡す。それがあんな悲劇を呼ぶとは…。
2015-09-24 22:32:08
【高岳、街を歩く⑫】私はレジのひとに見とれてぼんやりとしていた。「そちらの荷物もおまとめしましょうか?」。そう言えばB書店で買った紙袋を小脇に抱えているのであった。「なんて気のつくひとだ。やはり俺の見る目に狂いはねえな」と、私は何も考えずに渡してしまったのである──。
2015-09-24 22:34:45
【高岳、街を歩く⑬】──「紙袋、ごにょごにょ入ってるがや、しかも上面になっとるがや」。一瞬焦るものの、最近ようやく回り始めた私の頭脳は安堵を伝えるのである。「大丈夫だわ、紙袋だから中身見えん」。しかし、嗚呼、なんということだろう、自然は残酷だ、己の習慣は裏切り者だ→
2015-09-24 22:38:07
【高岳、街を歩く⑭】→小雨程度では傘をささぬ習慣がここで災いを生むとは。そう、紙は水に濡れると透けるのである。ばっちり透けていたよ、ごにょごにょの表紙が。好みのひとの無言の声「なにこのひと、一見真面目そうだけど、変質者なの」(※私の妄想です)。私はそそくさと店をあとにした。
2015-09-24 22:41:52
【高岳、街を歩く⑮】闘いが終わり、お腹が空いた。しかし、所持金は400円である。いくら廉価に食料を提供してくれる大須でも、さすがにこの額で昼食は難しい。すでに午後2時ちかくになっていた。路上で売られる格安弁当も撤退しているのである。
2015-09-24 22:45:43
【高岳、街を歩く⑯】ひもじい。何も考えることなくとりあえず名古屋駅に戻った。地下街をふらつく。ショーケースを覗く、おいしそう、でも払えない。「こりゃコンビニであんパンと牛乳買って、公園で張り込み刑事ごっこしかねえかな」と、諦めかけた時だった。
2015-09-24 22:47:43
【高岳、街を歩く⑰】天丼が目に入る。私はくたくた疲れた天丼も好きだし、カラッと揚がった天丼も好き、とにかく天丼が好きなのである。店内からごま油の香りが漂う。「でも食べられないんだ、お金ないから」と視線を横によけた時、目に入ったのである。にっこり笑う「マナカ」のマークが。
2015-09-24 22:50:22
【高岳、街を歩く⑱】「あの、僕、お金全然持ってないんですけど、マナカで払えるんですか?」(私は30過ぎてるくせに学生に間違われるので、こういう台詞が平気で吐けるのである)、「YES!」。15分後、私は大変美味な天丼を食らっていた。
2015-09-24 22:52:25
【高岳、街を歩く⑲】食欲も満たされるとこころも落ち着く。私はドトールコーヒーに入り、一服していた。買い求めた本をテーブルの上にすべて出して悦に浸る。まあ、色々あったが充実はしていたな、と思う。その時、ごにょごにょも紙袋からこぼれそうになったのであるが。(おしまい)
2015-09-24 22:54:58
本日の戦利品。何か不審なものの影を見つけたとしても、見なかったことにしてください。 pic.twitter.com/hvGz4U1C75
2015-09-24 22:57:17