酸化力とラジカルと大喜利 ~電子のやりとり~
閑話休題。
「ラジカルについて」。
承前)「原子」がどんなかたちをしてるかは、いろいろとモデルが考案されてきて、今はなかなか難しい理論が出来上がってるのだけど、今の話ではとりあえず「原子核の周りを、電子がぐるぐる回ってる」ってので不都合はないので、それをイメージして欲しい(続
2015-09-25 11:39:17承前)このとき「電子がぐるぐる回る」軌道のことを「電子軌道」と呼ぶのだけど、じつは一つの電子軌道につき、電子が2個まで入ることができる。で、2個入った状態で「安定」になる。
2015-09-25 11:41:33承前)で、電子が1個しか入ってない電子軌道は、とても「不安定」なので、それをどっかから調達しようとするわけ。この状態が「ラジカル」。
2015-09-25 11:44:14承前)さっきの「原子のモデル」で言うと、内側にある電子軌道から順に、電子が2個ずつ収まっていくけど、電子が奇数個だと一番外側のどっかで一個余る。なので奇数だと「ラジカル」になる。じゃあ、どうすれば安定させることができるか。方法は、主に2つある。
2015-09-25 11:52:53承前)一つ目の方法は「どっかから電子1個持ってくるか、余分な電子1個を捨てること」。こうすると電子軌道は安定になる代わりに、その原子がその分(+1か−1)の電荷を帯びることになる。これが「イオン」の状態。
2015-09-25 11:55:00承前)もう一つの方法は、同じように奇数個の電子を持つ相手とくっついて、お互いにシェア(共有)する。こうすると「2つの原子核の周りを、2個の電子が行き来しながら回る」ということになり、電子軌道が変わるのだけど、それでも「電子軌道に2個の電子」というルールは守られるわけ(続
2015-09-25 11:59:44承前)このように「原子同士が電子を共有する」ことで生まれるのが「共有結合」。分子を表現するのに H-H とか H-O-H とか O=C=O とか書くことがあるけど、この「腕一本」が、この共有結合1つを表してる。
2015-09-25 12:03:13承前)この「共有結合」が、原子同士を(電子の共有を介して)結びつける「結合力」のもとになっていて、水とか二酸化炭素とかはもちろん、タンパク質とか糖とか、さまざまな「分子」を作る、その基本になっているというわけ。
2015-09-25 12:05:14承前)この共有結合は、一般に非常に結合力が強くて安定。イオンだと電子軌道が安定する代わりに電気的な偏りが生まれるので、これに比べると不安定でくっついたり離れたりしやすい。また、水の中のような(=水分子が曲がっているために生まれる電気の偏りに囲まれた)環境で安定化しやすい。
2015-09-25 12:09:29承前)ここらへんを理解すると、「なぜ、分子としての『水素』は、Hでなく、H2になるのか」も理解できるはず。H原子1個の状態だと、電子軌道が安定しないから、2つ集まって「2個の原子核が、片寄せ合ってる周りを、2個の電子が回る」状態の方が安定になる、ということ。
2015-09-25 12:15:50承前)ここでもし、この非常に安定な「H2」の状態から、電子が1個失われたらどうなるか? 全体としては「+1」の電荷を帯び、しかも「ペアになってない電子(=不対電子)」を持った水素分子のイオンが生まれる。もちろん無茶苦茶不安定。
2015-09-25 12:25:23承前)不安定だから、さすがにH2が電子1個失ったラジカルなんてのは普通の条件ではできないけど、もうちょっとマイルドなものならば、不安定でも短時間は保つような状態で出来ることがある。そういうものが「遊離状態にあるラジカル」=「フリーラジカル」。化学で「ラジカル」って言ったら普通これ
2015-09-25 12:33:21承前)この「ラジカル反応」が、メカニズムとして関わってる化学反応は非常にたくさんある。紫外線や放射線照射なんかもそうだし、酸化もその一つ。
2015-09-25 12:45:33