阿川弘之『国を思うて何が悪い』光文社、1987年、69-71pより引用

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

表現規制関係に思うところがあって、阿川弘之『国を思うて何が悪い』光文社、1987年、69-71pより引用

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

いつか日本ペンクラブに、あの人(注　左翼系作家)たちが大挙して入会した時、会長だった石川達三さんとの間で2つの自由論争というのがあったでしょう。もっとも、わたしはそれより前に、つくづくイヤ気がさしてペンクラブを脱会してしまったから、

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詳しい現場のやりとりを知っているわけではありませんが、石川さんは、いかに言論の自由が大切だといっても、 極端なポルノ作品を活字にするような自由は一応譲っていい自由で、真に守らなければならぬ自由と区別すべきだといったんでしょ。

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それに対し一部のグループは、言論の自由に二つあるわけがない、絶対の自由を守るべきだと主張した。 これは私なんかも少々迷うところでして、全ての言論は自由だという原則論を貫いたほうがやはりいいかナという気もする。

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ペンクラブであれを主張した人たちの正義面が信用いたしかねるとしても、論語に言う「人ヲモッテ言ヲ廃セズ」でね。

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

しかし石川さんは、戦争中に発売禁止を食らったりして、言論弾圧を身をもって体験しているから、 あまりにひどいポルノなど到底世論の賛同を得られない、ああいうものを嫌悪する強い市民感情がある、それを背景にまずエロを弾圧し、

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

世論の賛成を得た上で、われわれのどうしても守らなけりゃならん言論の事由にまで権力が弾圧の手を伸ばしてくる恐れがある、 それなら一方はむしろ進んで譲ってもいいんじゃないかと、いわば言論の自由を守る現実論を唱えたんですね。

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

これも、傾聴すべき一つの意見だと思いますよ。ところが安手の正義感に燃え立っていると、聞く耳持たなくなってしまう。 ペンクラブの会長がそういうこと言うのは許せないと皆でいう。現実論より原則論の方が、いつでも勇ましく立派そうに聞こえますしね。

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だけどペンクラブの理事会を毎度傍聴している新聞社の文化部連中は、あの人たちポルノを書いて生活しているもんだから、 自分らの生活を守るために石川さんを攻撃しただけのことだよって笑ってたそうです。

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

そんなこんなで、石川さんもほとほと厭になって、ペンクラブを脱会してしまいましたが、私が一つ、よく分からないのは、 ポルノまで、完全な言論表現の自由を要求する人々が、概して左ががりだということです。

名無し岩手県民（ワクチンを受けよう) (手を洗おう) @iwatekenmin01

共産圏の国々ではポルノ出版の自由なんでみとめてくれないんでしょ。 第一ね、何もかもアケスケのあっぴろげにしてしまって、書く方も読む方も、ほんとに楽しく幸せだろうか。 そういう問題もある。ポルノ自由化不賛成ということじゃなくて、別の話です。 引用終了