横浜市議の当選無効　県選管裁決　「生活本拠は都内」

横浜市議の当選無効　県選管裁決　「生活本拠は都内」

神奈川新聞2015年9月26日付　社会面

　県選挙管理委員会（山田吉三郎委員長）は25日、４月の横浜市議選青葉区選挙区で初当選した自民党公認の中山まゆみ氏（48）について、届け出た同区内の住所に公選法で定める３カ月以上の居住実態が認められず被選挙権がないとして、当選を無効とする裁決をした。

　本人からの聴取や電気、ガス、水道の使用状況などに基づき総合的に判断、「生活実態がうかがえない」との申し出を棄却した同市選管の決定を取り消した。（高本雅通、桐生勇）

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　県選管の裁決に不服がある場合は、県選管を被告として30日以内に東京高裁に提訴できる。期限までに提訴されない場合は中山氏の当選無効が確定し、次点候補が当選者となる見通し。

　中山氏の当選の効力をめぐっては、選挙後に当選無効を求めた青葉区の50代男性が異議を申し出たが、市選管は７月14日、「生活の本拠であることを否定する明確な根拠も認められない」として棄却、同30日、区内の70代男性が決定を不服として県選管に異議を申し立てていた。

　県選管によると、中山氏は１月７日から都内から単身で同区内に転入し政治活動を実施。平日は同党の福田峰之衆院議員（比例南関東）側から借り受けた住居で寝起きしていたという。

　県選管の裁決では
▷同区内の住居はわずかな生活用品をそろえた寝泊まりの場所にとどまり、財産の大部分があるとないが、衣類や食事、洗濯、入浴の主要な供給地となっていた。
▷中山氏は週末に家族のいる都内に戻り、平日にも度々都内に戻っていた。
▷同区内の住居は転入前に比べ電気と水道の使用実態に大きな変動が見られず、ガスは４月４日まで開栓せず、同所で入浴していなかった
―などと指摘。

その上で「都内の前住所地は当選人の生活に最も関係が深い全生活の中心であると認められる。生活の本拠が移転したと認めるに足りる客観的な証拠はない」と結論付けた。

　また、市選管の決定時になかった唯一の新たな材料として、中山氏が県選管の聴取に対し、体調を崩して政治活動を中止していた２月初めから約２か月間のほとんどを都内で療養していたと証言したことも「認定を補強したもの」とした。

県選管が、市選管と異なる判断に至ったことについて「何か一つの材料で決定的な判断をしたわけではなく、総合的に判断した結果だ」と説明した。

　神奈川新聞社の取材に中山氏から回答はなく、自民党横浜市連は「協議をしていないため現時点では一切コメントできない。本人と連絡が取れていない」とコメントした。