『情と理 カミソリ後藤田回顧録』上巻(講談社α文庫、親本1998年刊)…01大衆行動鎮圧と中長期の治安について&トリビア

1
加藤郁美 @katoikumi

戦前内務省の官僚で、米軍占領下、60年・70年安保を通じて、警察・機動隊・自衛隊の設立・運営に関わった後藤田正晴は、「警察の運営それ自体が、権力行使の限界を超えないで、絶えず、警察は堪え忍ぶこと、それに徹することによって、国民の支持と理解を求めこと」と警察庁長官時代を回顧している

2015-09-29 02:50:33
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「警察は受け身の行政。積極的に出て行っては絶対にいかんというが基本原則。後手で先を取れという教育なんです。軍隊は逆に先手必勝なんですよ。警察は絶対に違うよと。後手で先を取るのと先手必勝は違うよと。後手で必勝は情報だと。情報と情報の分析、それに対する評価。警察は 「忍」。

2015-09-29 03:29:42
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「大衆暴動の取り締まりは、いくら警察力が不足だといっても、正面の相手を蹴散らすことはできる。その代わり、それをやった後は惨憺たる状況が残りますよ、ということです」/『情と理 カミソリ後藤田回顧録』上・p.266

2015-09-29 02:15:25
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「つまりこちらには十分な力がない。しかし、ガンとやるだけの力はある。訓練から体力から違うんだから。しかし全体の警察力は足りないんだから、ガンとやれば相手方から大変な犠牲が出る。そうなったときに、本当に中長期的に治安を維持できるのかということです」/『情と理』上p.267

2015-09-29 02:19:07
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「率直に言えば、私どもは激励されるのはありがたいけれど、あなた方(自民党)は素人ですよ、そんなことでは治安は維持できません、われわれに巻かせてもらいたいという気持があったのは事実です。何を言ってるんですか、本当に治安というものがわかっているんですかということです」268

2015-09-29 02:23:10
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「(マッカーサーを)ぼくらは常識では切れない。選挙を経た大統領であればべつだけれど、トルーマンは選挙の洗礼を受けていない人ですね。偉いなあという気がしたね。そして、軍人はひとことも文句を言わなかったな」/『情と理 カミソリ後藤田回顧録』上・p.126

2015-09-29 03:00:11
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「マッカーサーが解任されたとき、まさに政治が軍人を支配しているという印象をでしたな。とてもあれだけの戦争の功労者を、トルーマンという選挙を経ていない大統領、大統領が死んで副大統領から昇格した人が、マッカーサーの首が切れるなんていうことは、やはりアメリカは素晴らしい国だと

2015-09-29 02:56:34
加藤郁美 @katoikumi

『情と理 カミソリ後藤田回顧録』上巻で、個人的に「エエエェ!」ってなったのは、里山歩きをしてると「よくこんなとこに鉄塔建てたなあ」って思ってたのが転向A級戦犯ポダム・正力正太郎日テレ読売社主が国家公安委員長時代にぶちあげた「日本の山頂にアンテナを設置する中継システム」が元って話。

2015-09-29 03:37:18
加藤郁美 @katoikumi

…この八木アンテナ、マウンテントップ方式について検索したら、戦中の話もふくめてかなり電波wなお話で手に負えないのでパス。ちなみにパトカーの導入も正力正太郎・国家公安委員長が国費で整備したと…/『情と理 カミソリ後藤田回顧録』上・p.174

2015-09-29 03:41:49
加藤郁美 @katoikumi

あと意外にもISがらみでふうん、となったのが、警察が後藤田氏のころから海外駐在官・大使館の警備官としてかなりの海外情報網を持ってたいう話。…今回の安保法制では、自衛官が情報武官として大使館に入るというのが眼目のひとつだった。警察と自衛隊の大使館とりあいという側面もあったのかな?

2015-09-29 04:03:23
加藤郁美 @katoikumi

後藤田正晴「公安調査庁も外国情報を取っているが、場所が少ない。要するに公安調査庁と警察の違いは、ボリュームの違いだろうな。しかし深さとなると、公安調査庁には40何年間もそれひと筋でずっときてる人もいるから、すごい点もある。警察ではだんだん偉くなって現場から遠ざかるからね」/情と理

2015-09-29 04:03:40