子育て支援の「魂」

全国に広がった育児支援室。それだけでも大変素晴らしいことだ。ただ、子育てに悩む母親、そして父親に、もう一歩近づき、寄り添ってほしい。それが「魂」を入れることになる。
0
shinshinohara @ShinShinohara

関西のA市には病児保育もあるという先進的な取り組みがあるのに、子育て世代の市外流出に歯止めがかかっていないのだという。理由は「子育てするならもっとよい環境で」。なんとも皮肉な話ではないか。それだけインフラが整っているのになぜ?もしかすると「仏つくって魂いれず」なのかもしれない。

2015-09-29 21:25:21
shinshinohara @ShinShinohara

私の住む近隣には、対照的な2つの育児支援施設がある。B町の育児支援室は、最後にスタッフによる手遊びや絵本の読み聞かせの時間がある。「グーチョキパーで、グーチョキパーで、何作ろ~♪」それまでバラバラに遊んでいた子どもと親が、先生と一緒にみんなで遊んだり歌ったりする。

2015-09-29 21:34:41
shinshinohara @ShinShinohara

スタッフの先生たちは折に触れ子どもに、そして母親に声をかける。「○○ちゃん、今日はきれいな服着てるね~!」子供は嬉しそう。初めて来た母子も気持ちがほぐれ、すぐにその場になじむ。手遊びや絵本の読み聞かせをその日の来室者全員と一緒に楽しむので、場の空気を共有する感覚も持てる。

2015-09-29 21:39:09
shinshinohara @ShinShinohara

誕生日が近づくと、手形をとる。「○○ちゃん、手が大きくなったねー」そんなとき、母親が「うちの子、なかなか泣き止まなくて・・・」「そんなときは別の場所に移動するといいよ。場所が変わると気分が変わるからケロッと泣き止んだりする。」相談するきっかけをつかみやすいし、アドバイスも的確。

2015-09-29 21:43:12
shinshinohara @ShinShinohara

同じ誕生月の子供たちは、一人一人名前を呼ばれて、先生たち手作りのオモチャのケーキのロウソクを吹き消す。炎の毛玉がコロリと吹き飛ぶ。子供たちは満面の笑顔。前に取っておいた手形をウサギさんの表紙に挟んだ首飾りにして、子供たちにプレゼント。母親に「やった!」と嬉しそう。

2015-09-29 21:46:55
shinshinohara @ShinShinohara

イベントもよく行われる。ペットボトルやヤクルトの空き容器で作ったマラカス、牛乳パックで作ったカエル、先生たちの手作りオモチャが、イベントのお土産に渡される。母親「こんなとき、どう言うんだった?」子供はちょっとはにかみながら「ありがとう」。楽しみながら挨拶、お礼のしつけができる。

2015-09-29 21:50:19
shinshinohara @ShinShinohara

ソフリエ(子育て支援ボランティアのおじいちゃん)が来て一緒に遊ぶイベント、南蛮玉簾を披露するおばあちゃん、絵本の読み聞かせをしてくれるガテン系のオジサン。よそとも積極的に連携して、如何に子供を楽しませるか、子育てに関わる人を増やすかに先生たちは大変熱心。

2015-09-29 21:54:21
shinshinohara @ShinShinohara

「夏はプールで遊ばせたいけど、衛生面でできないんだよね~」と言いながら、先生たちはあきらめない。廃品で手作りしたタコさん、サカナくんを幼児プールに浮かべて子供たちに磁石つきの釣竿を渡す。子供たちは大はしゃぎ。

2015-09-29 22:02:51
shinshinohara @ShinShinohara

子供たちを楽しませる仕掛けをたくさん作り、お母さんたちが先生に子育ての相談を持ちかけやすい「きっかけ」がたくさんある。「うちの子、あまり食べないんだけど」「夜、なかなか寝てくれなくって」ちょっとした子育ての悩みを、先生にも相談できるし、お母さん同士で情報を共有したりできる。

2015-09-29 22:15:05
shinshinohara @ShinShinohara

手遊びや絵本の読み聞かせで近くに座った母子同士で話が弾んだりして、お母さん同士の交流も生まれやすい。普通は母親ばかりだが、私のような男性がたまに来ても先生がうるさくない程度に声をかけてくれ、場の空気になじめるように配慮してくれるのでホッとする。

2015-09-29 22:17:52
shinshinohara @ShinShinohara

対照的なC町の育児支援室。入り口に母子の名前を書くノートがあり、母親が自分で書く。そばにあるシールに子供の名前を書き、子供の背中にペタリと貼る。そして室内にあるオモチャで、めいめいの母子が遊ぶ。スタッフからの声かけは特にない。手遊びも絵本の読み聞かせもない。

2015-09-29 22:21:07
shinshinohara @ShinShinohara

C町の育児支援室では、自分からスタッフに声をかける積極性がないとアドバイスがもらえない。しかし声をかけるきっかけがないので相談しづらい。仲のよいママ友同士で来るなら寂しくないが、初めて訪問した母子にとっては、なんだか、「また来たい」と思える要素がない。

2015-09-29 22:24:12
shinshinohara @ShinShinohara

背中に子供の名前を書いたシールを貼る行為一つから、B町とC町では違う。B町の育児支援室では、初めて来た母子に先生が「いらっしゃい。おなまえはなんていうのかな?」先生が名前を記帳し、名前を書いたシールを渡してくれる。帰るときには先生が背中のシールをはがし「○○ちゃん、さようなら」。

2015-09-29 22:39:42
shinshinohara @ShinShinohara

しかしC町では記帳も母親がし、名前シールを母親が自分で書き、誰にも帰ったことに気づかれずに帰れる。挨拶をするきっかけもスタッフに声をかけるきっかけもない。

2015-09-29 22:48:38
shinshinohara @ShinShinohara

A市は病児保育など育児支援のためのインフラが他の市町村と比べてずっと充実しているのに子育て世代が市外へと出ていってしまうのは、B町のような「魂」が不充分なのではないだろうか。高額な施設より何より、気軽に声をかけられ、相談しやすく、ママ友も作りやすい育児支援になっているだろうか。

2015-09-29 22:52:15
shinshinohara @ShinShinohara

C町の育児支援室のスタッフも、別段悪い人ではない。相談すればきちんと丁寧に対応してくれる、いい人たち。しかしなぜか不干渉の仕組みになっている。このために相談しづらい、アドバイスをもらいづらい。初めての子育てで悩むお母さんにはきっかけが無さすぎる。だからリピーターにもならない。

2015-09-29 23:05:24
shinshinohara @ShinShinohara

B町の育児支援室の設備はありふれている。しかし子供たちを楽しませよう、母親の心を軽くしよう、スタッフ以外の人たちも育児支援に関われるように、ママたちが友達を作りやすいように、相談しやすいように。「育児支援」のための工夫が凝らされている。大事なのは母子の心に寄り添うことだ。

2015-09-29 23:22:10
shinshinohara @ShinShinohara

育児支援の「魂」は、子育てに悩む母親の(そして数は少ないが父親の)心に寄り添うことだ。その魂が、A市にはあるだろうか。その魂を入れるには、寄り添う積極性のあるスタッフを育成する必要がある。もしそれができない要因があるなら、それを取り除く必要がある。

2015-09-30 00:02:42
shinshinohara @ShinShinohara

恐らく大切なのはクレーム対応だろう。それまでやっていなかった声かけをするようになれば不馴れな間はトラブルも起きるかもしれない。それが怖いから声かけもなかなかできないだろう。しかし動かなければ工夫もできず、改良もできない。役所がクレームを引き受け、スタッフに勇気を与える必要がある。

2015-09-30 00:08:29
shinshinohara @ShinShinohara

A市の市長ができることは、現場が工夫をする勇気を与えることだ。インフラ整備より何より、スタッフが母親の心に寄り添うことができる職場作りはどうしたらよいのか。それを役所の人間も一緒になって考えることが必要だろう。

2015-09-30 00:10:08