- DD_LUNAKICHI
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南方、ソロモン海。この海域に深海棲艦の一軍が確認された。彼らを倒し、この制海権を取り戻すために、大本営は第二次SN作戦を発令。既に先行していた部隊を追うように多くの司令部がソロモン海へと向かった 作戦は順調に進み、敵機動部隊の迎撃に成功。標的は敵飛行場を残すのみとなった
2015-09-26 21:42:41作戦のために建てられた臨時司令基地。そこに一台の巨大な飛空艇が停泊していた 瑠奈花率いる雪花所有の大型飛空艇「フライトリバティー」。中には簡易的な執務室が置かれており、移動司令部、艦娘母艦など、様々な用途に使われる 今は亡き黛提督が遺した遺産である
2015-09-26 21:44:19瑠奈花「…はい、瑠奈花です」 瑠奈花の簡易執務室の電話に連絡が入った。相手は横須賀の誉れ高き元帥、門川龍興だ 門川『やあるなかくん。元気にやっているかな』 瑠奈花「ええ、おかげさまで」 門川は艦娘という組織を作り上げた張本人だ。海軍でもトップクラスの地位を持つ1人である
2015-09-26 21:45:36瑠奈花はある事情から、門川と親しくなった。地位の差はあれど、そんなものでは推し量れない程、彼らの仲は深い 門川『白雪君から色々報告を受けるんだ。無茶をやらかすのは程々にな』 瑠奈花「あなたのおかげです。助かってますよ」 門川『君の不審な行動を揉み消すのも大変なんだぞ』
2015-09-26 21:48:14ある時から瑠奈花は、表向きはいつも通り戦いつつ、深海の秘密を追い求めるようになった。だが、秘密を知られることをよしとしない者が、少なからず存在する。不審な行動を取る提督の元には密かに監視役の艦娘が送られ、もし度が過ぎるようであれば“処分”されてしまうこともあるのだという。
2015-09-26 21:49:09瑠奈花「それでもあなたは私を守ってくれている。あなたも真実を追い求めているから」 門川『まあ、私の手に負える範囲で頑張ってくれよ』 門川は本来、瑠奈花のような者を糾弾する側の人間である。だが彼は瑠奈花の思想に賛同し、彼を圧力から守っている。彼もまた真実の探究者なのだ
2015-09-26 21:50:17瑠奈花「それで、何か御用ですか?世間話のために連絡を寄越したわけではないでしょう」 門川『ああ、リランカ島について話がある』 リランカ島。西方海域カレー洋に位置する島。何度か作戦の要所となった場所だ 門川『前回の大規模作戦の際、あそこには深海の秘匿基地が建設された』
2015-09-26 21:51:24瑠奈花「ええ、話には聞いています」 門川『かの秘匿基地は、一度完全に破壊した。だが後段作戦の最中、あの基地を再建しているという報告が入ったんだ』 瑠奈花「それほど重要なものだったと?」 門川『それはわからん。結局大した影響はなく、戦いには勝利し、あの基地も捨てられた』
2015-09-26 21:53:14門川『だがやはり気になるところがあってな、作戦終了後もあの辺りに部隊を派遣して、様子を探らせていたんだ。その部隊から、妙な報告があった』 瑠奈花「妙な?」 門川は少し小声で言った 門川『…秘匿基地付近で不審な動きが確認されたそうなんだ。深海棲艦のな』
2015-09-26 21:54:00瑠奈花「妙…ですか?」 元々は深海棲艦が建造し、利用しようとしていた基地である。奴らがいたところで、ある意味では当然である 門川『疑問なのはそこじゃない。そこにいたのは“棲姫級”の何者か、だそうだ』 瑠奈花「…!」
2015-09-26 21:55:20門川『今は大規模な戦いの真っ最中。向こうの軍の事情がどうなってるかは知らんが、棲姫級がそんなところにいるのは変だろう?』 瑠奈花「…そうですね」 瑠奈花(ザハ提督は…あの秘匿基地で奴らと会ったのだろうか) 先日、友人が彼の地を調べた際の詳しい報告は、結局聞けずじまいでいた
2015-09-26 21:57:02門川『考えられるとすれば、あの基地を拠点に再び挙兵すること。以前港湾棲姫もあそこに現れた。可能性としては十分だ』 瑠奈花「なるほど。それで、わざわざ私にそれを伝えたということは」 門川『ああ、君に行って欲しい』 瑠奈花はゆっくりと立ち上がった
2015-09-26 21:58:13門川『棲姫級が潜んでいるなら、下手に接触するのは危険だ。だから君のような信頼できるものに任せたい。何より…』 瑠奈花「その棲姫級、もし戦艦棲姫ならば…」 門川「そう、新たな情報が得られるかもしれん。最も、奴が戦艦棲姫なのかどうか、正確な報告はないのだが」
2015-09-26 21:58:49瑠奈花「それでいいです。彼女らはどちらかというと友好的だが、未だ不確定な存在だ。先ほど申された通り、下手な接触は危険です。吹雪!」 吹雪「はい!」 瑠奈花は吹雪を呼び、準備を始めるように告げた 瑠奈花「すぐに西方へ向かいます。フライトリバティーならあっという間だ」
2015-09-26 22:00:10門川『頼んだ。だが本作戦は大丈夫か?』 瑠奈花「大丈夫でしょう。総司令官の深瀧は優秀な人だ。それにザハ提督や神山、常勝の葛葵を筆頭とした鹿屋三人衆もいる」 門川『なるほど、勇壮たる面子だな。心配はあるまい。頼んだぞ。…ああ、そうだ』 電話を切る直前、門川は瑠奈花を引き止めた
2015-09-26 22:01:29吹雪、大井、龍驤はフライトリバティーに荷物を詰め込んでいた。雪花は本作戦から離脱し、西方海域に向かうことになったためである 作戦へ復帰する余裕はないと判断したため、撤収の準備を始めている
2015-09-26 22:03:41大井「…そういうわけで、提督は作戦から外れます。赤城さんを含め何人か、こちらに戦力として置いていくそうです」 深瀧「了解した。君たちの分もしっかり戦おう。任せておいてくれ」 大井「健闘を祈っています。フォースの加護がありますように」
2015-09-26 22:04:47大井「…はあ」 大井はため息をついた。今回は久しぶりに北上と一緒に出撃できると期待していたからだ。 龍驤「キミはもう少し不満を隠した方がいいと思うで…」 大井「わたしは正直なんですよ」 瑠奈花は同行者に大井を指名した。当然、北上との予定はパーだ
2015-09-26 22:06:24龍驤「あんな、本作戦から外れるっていっても、こっちも大事な仕事なんやで?」 大井「わかってます。別に嫌なわけじゃないですよ。大事な任務に抜擢されたのは嬉しいです」 大井の腰には、瑠奈花のものより一回りほど長いライトセーバーがぶら下がっている
2015-09-26 22:07:14大井「北上さんとの大事な時間を邪魔した深海棲艦は叩き斬ってやるんだから…」 龍驤(完全に私怨やないか) 大井はライトセーバーを握りしめた。その姿は今や様になっている。龍驤はそれを呆れた目で見つめた 二人が話していると、そこに割り込んでくる者が現れた
2015-09-26 22:08:54春雨「大井さん!龍驤さん!」 声をかけてきたのは春雨だ 龍驤「ん、なんか用?」 春雨「私も荷造り手伝います!」 大井「え、どうして?」 「聞いてないのか?」
2015-09-26 22:11:21