終了◆彷徨いヒサギの黄昏録
再度お礼を言ってから彼を見送り、残ったコーヒー牛乳を飲み干し、ゴミ箱へ投函。……してみてから、彼に「ここはどこなのか」訊くことをすっかり忘れていたと気付く。 「……なにやってるのよ」 ベンチで頭を抱え、ヒサギは長い長い溜息をついた。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 01:16:052日目
[町]武装した自警団は君の体に有刺鉄線を巻きつけた。その先は、切れてぶら下がった電車の架線へ…。《所持異形5つで感電死【魂-2/異形『纏雷(力+4、探索-3)』を入手】、異形4つ以下は見逃される【魂+1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 今日も生存
2015-10-05 23:23:06――どうしてこんなことに。 しばらく前から、ヒサギの頭にはその言葉ばかりがぐるぐる回り続けていた。息せき切って走りながら、西日の眩さに目を細めながら、繰り返し繰り返しそれを考える。 公園を出た彼女は、追われていた。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:43:44最初は二、三人の男達だったが、瞬く間に数を増やして、今や何十人いるかも分からない。しかも、手にバットや鉄パイプを持っていて、捕まればどんな目に遭わされるか分かったものではなかった。 (私、何もしてないのに)#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:44:43涙を拭って理由を探すが、彼女に与えられたヒントは何もない。後ろを振り返り、追跡者との距離を測って、確実に迫る危険から逃れるすべを求めるが、それも同様に。通り過ぎた角に立つ母子は、追手の姿にそそくさと奥へ引っ込んだ。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:45:37敵は増えこそすれ、助けの手を伸ばす者はいないらしい、とヒサギもじわじわ思い知る。味方してくれるのは、陸上部で鍛えた肺活量と足腰だけ。 だが、その助力もあと僅かだ。胸が切り裂かれるように痛い、酸素を求めて、金魚のように口を開け閉め、重心が崩れて体が傾ぐ。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:46:09追跡者はその隙を逃さず、ヒサギの腰にタックルを仕掛けた。 倒れる彼女の上に、三人、四人と男たちが覆いかぶさり、有刺鉄線で拘束する。痛いと訴える声を無視して、彼らはヒサギを連れ去った。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:46:50引っ立てられた先は、薄汚れた駅だ。暗い構内、がらんどうの改札を抜け、更にホームへ。いったいこんな所で何をするのだろう、とヒサギは訝しく思うが、恐ろしくて彼らにそれを問う気にはなれなかった。鉄線の棘が肌に突き立ち、刺さり、ひっかき傷を作って血を滲ませている。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:47:21自由に身動きできないのもあって、彼女は歯の根も合わなくなっていた。ホームには電車が停まっていたが、千切れてぶら下がった架線から、もう動くことはないように見える。そこが彼らの目的地のようだった。ゴム手袋をはめた手でヒサギを押さえつけ、一人が有刺鉄線の端を手にする。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:48:50まさか、と嫌な想像が彼女の脳裏によぎった。 (もしかして、私をこのまま、感電死させる気?) 首を振って打ち消したいが、周りの目が怖くて、彼女は硬直したように突っ立っているしかない。緊張しているからか、時間の流れがやけに遅く感じられた。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:49:53だが数分すると、気のせいではなく、男たちが自分を放置しているのだとヒサギも気が付く。彼らはひそひそと、なにがしか相談しているようだ。 「なあ、この子、まだ人間じゃないか?」 「確かに、弱すぎるし、おとなしすぎるよな」 「……まずいな」 #ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:50:20(何を言ってるんだろう、この人たちは?) 男たちの言葉の意味は、彼女にはよく分からない。だが、直後に彼らが「お前、ここに来たのはいつだ」と訊いたことと無関係ではないだろう。ヒサギはしばらく考えて、「多分、〝昨日〟か〝今日〟……だと、思います」自信なさげに答えた。#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:50:36男たちは顔を見合わせて、はーっとため息をついた。それで、雰囲気が一変する――さっきまでは無言の襲撃者、殺人マシーンようだったのに、恥ずかしい失敗を見られたような、ばつの悪さを漂わせ始めた。 「すまんな」#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:51:18一人がぼそっと謝罪して、ヒサギの拘束を解き、ごく手短に傷の手当てを済ませると、彼らは一斉にその場を引き上げていった。後には、訳も分からず放り出された少女が一人。急に殺されそうになって(おそらく、そうだ)、急に許されたらしい。 「……なんなのよ、もう」#ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:51:52理不尽、あるいは不条理。どういう理屈が、何が起きようとしているのだろう。ここは自分が知っている日常もなければ、見慣れた世界でもない、それだけは確かだ。夕日に照らされるホームの中、ヒサギは怒る気力もなく、しばらく呆然と座り込んでいた。 #ヒサギの黄昏録
2015-10-05 23:52:16楸雪奈:2日目終了――【魂13/力0/探索0】 異形:なし 死亡0回。 殺害0回。 #ヒサギの黄昏録 そういえば昨日の更新分では、魂のステータス早速間違えてました(10じゃないよ12だよ)
2015-10-05 23:52:533日目
[町]車掌鞄を引き摺った毛玉が君の足元へ来る。「発車時刻です、お急ぎください」《【異形強化の診断[電車](shindanmaker.com/547682)へ移動できる。しなくても良い。】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547
2015-10-06 22:50:02大きなショックに晒された人間は、一時的に内に籠ってしまう。見知らぬ場所に迷い込み、追いかけ回され、乱暴に扱われた上、殺されるかもという恐怖を味わったヒサギもそうだった。 ……どれぐらいそうして、へたり込んでいただろう。 「電車がまいりました、電車がまいりました」#ヒサギの黄昏録
2015-10-06 23:35:34黒い、握り拳ほどの毛玉がヒサギの傍に寄ってくる。目も耳も確認出来ないが、車掌鞄のミニチュアを斜めにかけていた。 「発車時刻です、お急ぎください」 「え、発車って……」 振り返ると、そこに停まっていたはずのオンボロ電車は、先ほどまでとは別の車両に変わっていた。#ヒサギの黄昏録
2015-10-06 23:35:57ヒサギは訝りながら立ち上がった。 痺れた足で、そろそろと車体に近づく。これに乗れば、少しは自分の知っている所へ出られるだろうか? 切符は持っていないが、着いた先で乗り越し精算でもすればいい。お金が足りなければ、家に電話して、迎えに来てもらえばいいのだ……。#ヒサギの黄昏録
2015-10-06 23:36:50君の隣に座っているのは、君だ。「強くなりたい?」《【異形『石肌(火耐性、力+1)』所持の場合、魂を3消費して『岩肌(火耐性、力+2)』に強化できる】》そして、暗転。《どの場合でも死亡【魂-1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/547682
2015-10-06 22:50:20