グレブナー基底のちゃんとした定義

グレブナー基底を、単項式順序と先頭項LTを使って、厳密に定義したぶなっ!
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グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底のちゃんとした定義①】 今までグレブナー基底とは「多項式の余りが一意的になる(イデアルの)基底」という少し曖昧な表現を使ってきたぶな。これは先週の「割り算アルゴリズム」を使えば厳密な定義になるぶなけど、今日は少し違った「グレブナー基底の定義」を導入していくぶなっ!

2015-10-05 17:25:33
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義②】 【定義】 K[x_1,…,x_n]において1つ単項式順序≧を固定する。Iをイデアルとすると、 Iの有限部分集合Gは、 <LT(I)>=<LT(G)> を満たす時、Iのグレブナー基底と呼ばれる。□ 今から、この定義を詳しく見ていくぶなっ!

2015-10-05 17:32:22
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義③】 まず、単項式順序とは「単項式の間の順序」だったぶなね。これが一つ決まっていると、多項式 f の中の項は順番に並べられて、先頭項 LT(f) が一つ決まるぶな。また多項式の集合Sがあるとき、 LT(S):={LT(f) | f in S} と定義するぶな

2015-10-05 17:40:41
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義④】 つまり、LT(S)とはSの中の多項式の「先頭項だけ」を集めた集合ぶな。例えば、辞書式順序x>yでS={xy-1,y^2-1}とすると、LT(S)={xy,y^2}になるぶな。同様に、最初の定義のLT(I)とLT(G)もそれぞれの先頭項だけの集合ぶな。

2015-10-05 17:45:17
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑤】 イデアルIとは、Iの多項式f,gと、任意の多項式hに対し、 ・f + g in I ・h・f in I を満たす集合だったぶな。少し難しいと思う人は、ある多項式f_1,…,f_sがあって、 I=<f_1,…,f_s> となる集合と考えていいぶな。

2015-10-05 17:52:19
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑥】 そして、今使った<>という記号は、<>の中の多項式から生成される集合という意味で、 <f_1,…,f_s>={h_1*f_1+…+h_s*f_s | h_i は多項式} だったぶな。これは、<>の中身が無限個あっても同様に定義できるぶな。

2015-10-05 17:56:06
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑦】 最初の定義の<LT(I)>と<LT(G)>はそれぞれ「"Iの先頭項の集合LT(I)"から生成される集合(イデアル)」と「"Gの先頭項の集合LT(G)"から生成される集合(イデアル)」という意味で、その2つが一致している時にGをグレブナー基底と呼ぶブナ!

2015-10-05 18:00:17
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑧】 等号<LT(I)>=<LT(G)>は「多項式の"集合"としての等号」ぶなけど、実は(グレブナー基底でなくても)片方の包含関係は常に成り立つぶな。なぜなら、G⊂I なので、LT(G)⊂LT(I) で、<LT(I)>⊃<LT(G)>が常に成り立つぶなね。

2015-10-05 18:06:41
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑨】 では、具体的な例を見てみるぶなっ! まず、辞書式順序x>yで考えるぶな。 I=<x+y,x-y> 、G={x+y,x-y}するぶな。GはちゃんとIの有限部分集合になっているぶなね(<>と{}の違いに注意!)ここで、LT(x+y)=LT(x-y)=xぶな

2015-10-05 18:12:12
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑩】 よって、LT(G)={x,x}={x}になるぶなね。当然<LT(G)>=<x> ⊂ <LT(I)>が成り立つぶな。では、逆の包含はどうぶなか?実はこの場合、成り立たないぶなっ!<LT(I)>の元だけど、<LT(G)>の元ではないものを見つけるぶなっ!

2015-10-05 18:15:35
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑪】 イデアルの定義と、x+y, x-y in I から 2y=(x+y)+(-1)*(x-y) in I が言えるぶなね。特に、LT(2y)=2y in <LT(I)> が言えるぶな。しかし、これは明らかに<LT(G)>=<x>の元ではないぶなね。

2015-10-05 18:19:22
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑫】 よって、<LT(I)>≠<LT(G)>が成り立ち、G={x+y,x-y} はI=<x+y,x-y>のグレブナー基底ではないことが分かったぶな。実はこの例は、最初の頃のぶなつい「グレブナー基底の定義」でも出てきた「グレブナー基底ではない例」ぶなよっ!

2015-10-05 18:22:22
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑬】 最後に、Iのグレブナー基底は何か考えてみるぶな。そこで、Iの基底として、I=<x+y,x-y>=<x,y>、つまりG={x,y}を考えてみるぶな。今度はLT(x)=x,LT(y)=y、LT(G)={x,y}で<LT(G)>=<x,y>となっているぶなね

2015-10-05 18:26:08
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑭】 一方<LT(I)>を考えてみるぶな。Iの多項式をfとすると、f=h_1*x+h_2*y で書けるぶな。このとき、f は定数項を持たないことが分かるぶなから、LT(f)は定数とxとyのいくつかの積になっていることが分かるぶな。

2015-10-05 18:29:37
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑮】 これは、LT(f) は <x,y>=<LT(G)> の元であることを意味するぶな。よって、<LT(I)> ⊂ <LT(G)> が成りたち、<LT(I)>=<LT(G)> だから、GはIのグレブナー基底であることが分かったぶなっ!

2015-10-05 18:33:24
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

【グレブナー基底の定義⑯】 もちろん最初に決める単項式順序によって「グレブナー基底」が変わる可能性があるぶな。実はグレブナー基底は、任意のイデアルに対し必ず存在することが、この定義から導けるぶな。次回は、この定義と今までの「割り算の余りによる定義」が「同値」であることを示すぶな!

2015-10-05 18:38:01
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

「今日のまとめ」 「グレブナー基底は、単項式順序と先頭項LTにより特徴づけられる。」 ぶなっ!

2015-10-05 18:39:12
グレブナー基底大好きbot @groebner_basis

今日の【参考文献】もおなじみ、togetter.com/li/877168 [1]ぶなっよ!

2015-10-05 18:41:13