観の目

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Satsuki @Satsuki448

有名な「蛇の回転」という錯視作品。本当に錯視とは思えないほどぐるんぐるん回る。psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/rots…

2015-10-03 20:30:09
Satsuki @Satsuki448

武術の重要な目の使い方に一点を注視せずに周辺視野で全体を見るというものがある。八方目、観の目などと呼ばれるもので、これのあるなしでは自由攻防の時の反応がまるで違う、というより、これが出来なければ自由攻防は出来ないというくらいの最重要技術だと思う。

2015-10-03 20:33:16
Satsuki @Satsuki448

そこで先ほど紹介した蛇の回転、これが回って見えているうちはどこかを注視してしまっている。観の目が出来ると蛇の回転がピタリと止まる。

2015-10-03 20:35:30
Satsuki @Satsuki448

試しにさっきの蛇の回転を長男八歳に見せて、周辺視野で見る感覚を掴ませたところほんの数分で格段にフェイント混じりのランダムな突きへの反応が安定した。即効性があるアイトレーニング法だと思う。

2015-10-03 20:44:01
Satsuki @Satsuki448

観の目の作用機序として、周辺視野の利用ばかりを考えてきたのだが、どうやら別の要素もあるようだ。視線の固定と固視微動の抑制がどうもそれらしい。

2015-10-05 12:13:29
Satsuki @Satsuki448

人間の視覚はサッカードという一秒間に数回程度の視線の急速移動を繰り返している。移動の途中は当然視野はぼやけ、まともに物は見えていないが、我々はこの間の画像をトリミングするか何かして認識させないようにしているらしい。つまり、人間の視覚は実は断続的な物であるようだ。

2015-10-05 12:17:09
Satsuki @Satsuki448

さらに、一点を見つめている間にも、視線はマイクロサッカードと呼ばれる微細な動きを続けていて、神経の疲労を避け、リフレッシュしているらしい。マイクロサッカードが抑制されると、数秒のうちに静止物体が見えなくなる。トロクスラー効果という。

2015-10-05 12:21:10
Satsuki @Satsuki448

視線を固定することでサッカード間の視野の乱れが消え、視覚が連続的になる。さらにマイクロサッカードを抑制することで、動かない部分が知覚から消え、動く部分だけが浮き上がるように知覚される。これが周辺視による視野の拡大に加えるべき観の目の作用機序だと思う。

2015-10-05 12:25:30
Satsuki @Satsuki448

剣術使いの目がきらつくのは下手の証拠、と甲子夜話にも書かれていた。眼球がちらちら動いているようでは観の目が出来ていないわけで、打ち合いの稽古をまともにしたことのない初心者の証拠ということだろう。

2015-10-05 12:30:22
Satsuki @Satsuki448

サッカードには50msかかる。さらに前後50msの映像はサッカード抑制によってカットされる。一度のサッカードで150msの見えない時間が生じる。サッカードは通常1秒間に三回ほど生じるので、計450ms。1秒間のうち0.45秒は視界に入る物をまともに認識していないことになる。

2015-10-05 14:23:34
Satsuki @Satsuki448

普通に物を見ていると、時間の半分近くはまともに見ていない、と。その間の情報は前後からの類推で脳がなんとかしている。アニメなどが動いて見えるのもこの機能のせいか。

2015-10-05 14:27:17
Satsuki @Satsuki448

時計に目を移した瞬間、秒針が動き出すまで一秒以上掛かったような気がすることがある。これもサッカード関係の現象で、クロノスタシスという。脳がサッカードによって消えた時間をサッカード直後に認識したも画像で埋め合わせてしまうらしい。

2015-10-05 14:34:02
Satsuki @Satsuki448

それにしても、視覚に0.15秒もの空白時間が頻繁にあったのでは近接格闘ではどうにもならない。見えたときにはもうパンチが目の前まで来ている。周辺視野よりもこちらが本筋かも知れない。

2015-10-05 14:39:56