雨どいに溜まった土から放射性セシウム微粒子を抽出する

セシウム汚染土にフィルム密着感光により得られた輝点から対応する土の部分を切り抜き放射性微粒子を含む微小試料を作成した。
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mita tuneyoshi @hanaharuok

雨どいに溜まった土状のゴミのラジオオートグラフ(幅6cmのブローニフィルム密着感光)4年間雨に洗われていても消失しない輝点=ホットパーティクルがいくつも見えます。試料の放射能濃度は数万Bq/kg⇒続 pic.twitter.com/GH8MBpru0e

2015-09-23 22:40:20
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mita tuneyoshi @hanaharuok

続)雨どい土試料の放射性セシウム濃度はそのまま乾燥したもの23000Bq/kg、それを布でくるんではたいて濾したもの52000Bq/kg。濾した粉末状のものを書類カバーのシートに密封し、フィルム密着で感光させました。 pic.twitter.com/H0zWZBKwE7

2015-09-23 22:41:24
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以下、手順を解説してゆきます。まず、天日乾燥した雨どいに溜まった土などのゴミを天日乾燥し、落ち葉などの粗大物を分離します。そのため、試料を写真のように布でくるんでたたいて細かい成分を抽出します。

作業は密封した袋内で行います。

閉じたポリ袋内に試料をくるんだ布袋を入れ、外からはたいたりもんだりして布を通して出てくる細かい成分を集めます。次の写真のようにポリ袋の底に粉末状の試料が得られます。このうちの少量を写真撮影用に、ポリシートの袋(クリアポケット)を切って作った袋内に薄く拡げます。周囲はテープを貼って閉じて密封します。

今回はフィルムに感光したスポットから対応する位置の試料をとりだす予定ですので、試料はテープ糊などにつけずにのちに回収できるよう、ポリシート内では動ける状態にします。このためフィルム感光中から再度試料取り出しまで、ポリシート内で試料が移動しないよう細心の注意で振動や衝撃等与えないようにします。

フィルムはブローニーサイズのカラー、ISO400のものを使いました。12枚撮りフィルムは幅6cmx長さ約70cmあります。この試料は6cmx20cmにしてあり、他の20cm長さの2試料と合わせ6cmx70cmの薄い板の上に貼って固定してます。この上に展開したフィルム1本を密着し暗所で感光させます。

同時に3試料の感光ができるのですがここではこの雨どい土試料のみとりあげてます。現像は一般の写真とまったく同じ手順で近くのカメラ屋さんにお願いして行います。

次の写真が露出時間約15日間のフィルムを現像したものですが、これは照明を適当に工夫してそのフィルムをさらにデジカメで撮ったものです。デジカメ写真はコントラストをやや強めています。

カラーのネガフィルムのため感光していない部分は橙色になってます。このなかに強弱のある黒いスポットがいくつも見えます。このスポットはこれまで得られた他のフィルム感光像も踏まえ、またこのまとめの後半の結果からも試料からの放射線によると考えられます。試料の放射能濃度はCs134+137が約5万Bq/kgです。試料の重量は測られていないため不明ですが、0.1gのオーダーではあると思われます。

次にフィルムと試料とを並べて比べます。フィルムのスポットに対応する試料の位置に赤色の印を付けました。フィルムと試料の位置合わせのためにフィルムから試料に通して針で穴をあけてあります(丸印)。試料には濃淡の分布はありますが成分的には均一、一様に見えます。しかしこの中の赤い印のところにフィルムを感光させる物質が含まれていることになります。試料は布で濾した粉末ですのでこの光る物質はこの粉末の粒子のひとつであるはずです。

次は赤印を見え易くするため写真の色調整をしたものです

この粒をさらに追及するため、今回の試料から光る部分を取り出し、さらに薄く拡げてどの粒が光っているかを確認できないかやってみることにしました。
次の写真に示すように、写真のスポットの多い部分に対応する試料部分(線で囲まれた2か所、赤い点は7個ほど)を切り取り、試料を取り出します。これをさらに20cmのポリシート上に広げ再度フィルム感光させるための試料にします。試料がより拡散されるため放射線を発する部分を探し出し易くなると考えられます。

試料は2枚のポリシートの間に入っていて自由に動く状態ですので切り取る際は丁寧に行います。この回収した試料中には写真で見えるスポットが7点位入っているはずです。ただポリシートに付着して完全にすべてを回収できているかはわかりません。

この取り出した試料はもとの試料の小部分ですが、これをもとの試料と同じ広さに広げ再度フィルム露光します。こうすることで試料は空間的に非常に薄くなります。最終目的は放射線を発するスポットのみを取り出しその形状等を探りたいのですが、薄くなることで放射線を出さない試料部分が減るのでこの目的のためには都合がよくなります。

新たな試料は透明ラッカーに溶け込んだ状態で乾燥固定したものにすることにしました。次の写真ではここで抽出した試料ではなく新たに布濾し雨どい土からラッカーで固めた試料を作る手順を示すものです。

まず少量の試料をポリシート上に割りばしの棒等を使って広げておきます。この上に透明ラッカーとシンナーを垂らして試料を均一になるよう溶け込ませます。