「税と正義」の読書記録

表現が難しいので慎重に読む必要があるものの、分配政策に肯定的な左派を自認する人々は、その理屈の整理のために読む価値のある本だと思います。
2

だいぶ前に紹介されていた本です。

伊勢田哲治 @tiseda

税金に関する倫理学は研究されていますか。道徳的に寄付をしろと言う功利主義者のシンガーさんが、『あなたが救え... — わたしも詳しくありませんが、マーフィーとネーゲルの『税と正義』という本が翻訳されていますのでご覧になってみ... ask.fm/a/bn4pfc2q

2015-02-09 23:06:47

読みづらい本だそうです。

すらたろう @sura_taro

水平的公平の概念の難しさ(曖昧さ)については増井良啓教授の論考を読んで巷の話の浅さを知った

2015-07-31 12:48:29
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

@sura_taro 公平概念については,amazon.co.jp/dp/4815805482 も参考になるかもしれません。ここでの公平概念への批判に(学界での)コンセンサスがある訳では勿論ありませんが。

2015-07-31 12:53:36
すらたろう @sura_taro

@masa_koz 「税と正義」は一度手に取って読み始めたのですが、翻訳のせいなのか、私の前提知識が足りないのか文章が読みづらく途中で止まっておりました。 もう少し勉強を進めたらもう一度

2015-07-31 12:58:14
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

@sura_taro あー。原著の方が読みやすいです(^_^;) kindleでもありますし>amazon.co.jp/dp/B001CJOOIW

2015-07-31 12:59:58

何とか目を通してみました。

uncorrelated @uncorrelated

そう言えば「税と正義」を読み始めた。倫理学者が法学者と財政学者に色々と学んだ後に、租税政策を論じた本。感想があるほど読み込んでいないものの、 伊勢田哲治氏が紹介していたので、そうデタラメではないであろう: amzn.to/1Vy3aoI

2015-10-04 19:41:54
uncorrelated @uncorrelated

「利益原理は政府支出の適切なレヴェルについてどんな目安も提供してくれない」(P.18)とあるのだが、限界効用理論の応用なので、納税の限界不効用と政府サービスの限界効用が一致する水準になるのでは無いであろうか。

2015-10-06 20:11:50
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

@uncorrelated この下りでは,利益説というか,従来の租税理論が(所与の)総租税負担をどのように割り振るべきか,という話であるということが前提になっていると思います。政府サービスの限界効用も加味して総勢負担を変える発想の欠如の批判が同書の主たる主張の一つかと。

2015-10-19 17:10:22
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

@uncorrelated 補足すると,"Myth of ownership"がメインタイトルなのは,政府が関与する前の(経済的)資源の配分状況に正当性があると(あまり考えずに)仮定して議論することへの強烈な皮肉であり,利益説批判はその端緒と言えると思います。

2015-10-19 17:27:20
uncorrelated @uncorrelated

「市場によって産出された厚生の分配を修正するすべての政府支出または課税を拒絶する、より広い正義の理論」(P.28)を前提におくと、分配に影響を与える利益原理は見込みがない一方で、平等な犠牲原理は公正になる。しかし政府の福祉支援などが許されないので、現代的にはラディカルになる。

2015-10-11 07:49:46
uncorrelated @uncorrelated

利益原理は政府サービスからの厚生ベースの利益を基準に税率を決定し、平等な犠牲原理は政府サービスの質に関わらず各人の納税不効用が同じようになるように税率を決定する。後者は政府支出を評価しない近視眼的なものだが、政府によるあらゆる分配を拒絶すれば理屈は通るらしい。

2015-10-11 08:20:31
uncorrelated @uncorrelated

経済学者が大好きな才能原理は、効用の総計の最大化を目指す功利主義的な観点に基づいており、公正と言う観点が欠如しているので、「異なった状況にある人々の間で何が租税の公正な負担なのか」と言う問題に答える他の「支払い能力」の議論とは異なる(P.20--25)。

2015-10-11 08:29:08
Masahiro Kozuka @Masahiro_Kozuka

いい本(問題提起が鋭い)ですが、訳がやや微妙なので、原著をオススメします。 twitter.com/uncorrelated/s…

2015-10-11 08:32:22
uncorrelated @uncorrelated

経済学にあわせる必要はないのだが、厚生もしくは効用で測ったコストを「実質のコスト」(P.26)と表現するのは、短絡的な人が勘違いしそうなので辞めてほしいと思った。

2015-10-11 08:35:43
uncorrelated @uncorrelated

「一人一人に自分の生における努力と資源の配分という責任をもたせ、それらの選択から私たちが引き出した利益を他者にたいするコストと利益にシステムの中で関係づける」「メカニズムとして道徳的解釈が与えられる」(P.75)

2015-10-12 07:17:36
uncorrelated @uncorrelated

帰結主義と義務論がP.46--50で説明されて、応報主義と道具主義がP.67--70で説明される。なお経済問題における手頃な名称は無いとある(P.68)ので、応報主義と言う単語を適用することは一般的ではない模様。

2015-10-12 07:26:15
uncorrelated @uncorrelated

パレート効率性の議論は穏当ではあるものの、大抵は利害対立の生じる現実の政府政策の評価には使えない(P.55)。現実適用可能を「社会正義の真の理論」(P.56)と言うのはどうかと思うが、続けて功利主義とロールズの格差原理について説明される。だいたい経済学の教科書通り。

2015-10-12 07:31:45
uncorrelated @uncorrelated

特徴的だとは思わない、むしろ当然だと思うが、自由に関してJ.S.ミルによる帰結主義による正当化、義務論による正当化の二つが紹介されている(P.70--71)。某所で某マルクス経済学者が義務論による正当化を無視していたのが気になったのだが、やはり言及する必要があったようだ。

2015-10-12 07:38:58
uncorrelated @uncorrelated

自由民主制度の下では、自己利益を追求して良いと言う個人の行為と、公正や不偏性を実現する社会制度の立案を、同一の有権者が担うが、両者を整合的に正当化する道徳原理があるにしろ、心理的一貫性が取れなくなる可能性があり、政治的に公正や不偏性を追求しづらくなる(P.77--80)。

2015-10-12 08:06:03
uncorrelated @uncorrelated

「所有権は一連の法と慣習の産物であり」「課税前所得は独立した道徳的重要性をもってはいない」(P.82)と叩き切っている。課税の規範的問題は、課税に関する雇用、遺贈、契約、投資、売買などの相互行為によって生じる所有権をいかに定めるべきかにも関わるからだそうです。

2015-10-12 08:12:37
uncorrelated @uncorrelated

ここまでが本題に入る前の前置き。

2015-10-12 08:14:01
uncorrelated @uncorrelated

課税の機能が公私分割と分配の二つになっていて、人々の行動を誘導するピグー税が無い事になっている(P.84)。罰金の部類に思うのであろうか。公私分割は、私有財産の範囲を決めることのようで、何となく課税と言う感じではない気がしなくもなく。

2015-10-12 08:22:40