【レイテ沖海戦】レイテ湾は広かった&志摩艦隊の話。

概ね4つの内容から成り立っています。 ●軽巡洋艦阿武隈戦闘詳報の捷一号作戦批判 ●連合艦隊司令部はレイテ湾の広さを知っていたのか? ●スリガオ海峡夜戦を伝える「日本ニュース」は誰が撮ったのか? ●おまけ:志摩艦隊のその後
歴史 太平洋戦争 レイテ沖海戦
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軽巡洋艦阿武隈戦闘詳報の捷一号作戦批判
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
その3 アジア歴史資料センター所蔵の「軍艦阿武隈フィリピン沖海戦戦闘詳報」 is.gd/pEunkd で、「捷一號作戰ニ於ケル戰訓所見」としてレイテ沖海戦での連合艦隊の作戦指導が激烈に批判されているのを見つけた。 pic.twitter.com/XlYQbW98fH
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有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
戦艦大和戦闘詳報の作戦批判に匹敵する苛烈さ。 「戦艦を局地夜戦に使用することの不可なることは既に「サボ」島沖海戦に於て経験済なるが捷一号作戦に於て漫然此の過誤を繰り返せるは誠に遺憾千万なり」 「上級司令部は下級司令部の作戦計画を検討し不良なる箇所は即時改めしむるを要す」 (続く)
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
「捷一号作戦に於ける1YBの第三部隊(B×2 CA×1 d×4)は(中略)何等為す所なくして敵の集中射撃を蒙りd×1を除き他は全部壊滅せり」 「第三部隊の突入計画の如きは誠に愚の骨頂とも云ふべく如何なる作戦目的を抱きて行動せるや万人の等しく疑問視するところなり」 怒り狂っている。
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
このあとの捷一号作戦そのものに対する「こうすりゃよかったんだよ!」という指摘が非常に興味深い。誰が書いたんだろう? 「若し敵の有力部隊を「レイテ」湾内に牽制控置せしめ第一・第二部隊の戦闘を有利に導かんが為ならば第三部隊は湾内に夜間突入する要なく湾外より反転して可なり」 (続
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
承前) 「又敵の母艦部隊を誘致し其の艦上機を吸収して味方の航空作戦を有利に導く為ならば「レイテ」湾に突入するが如き擬勢を示し昼間対空砲火に依り吸収せる敵機を撃墜するを可とす何れにしても有力なる敵が準備万端怠りなき邀撃配備に就きある中に漫然突入して自滅するは無意義なり」 (続
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
承前) 「狭隘なる湾内に入り来れる敵艦船は我が航空機にとり袋の鼠に等しきものなれば第三部隊を以て追出す必要なし航空機に依る昼夜間攻撃及小艦艇特種艦艇による殴り込等により撃滅すれば可なり (続
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
承前) (第三部隊も主力を湾内に突入せしむることなくd×2程度を好機湾内に突入せしむるが如き作戦に出でなば若干の成果を挙げ得たるものと思考す)」 壊滅した西村艦隊を前に為す術もなく、自らも多くの犠牲者を出して沈んだ阿武隈の中の誰かの言葉と考えると実に重い。ってか神重徳批判だな。
連合艦隊司令部はレイテ湾の広さを知っていたのか?
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
WW2終結後しばらくしてから日本で発生した「栗田艦隊謎の反転」論(謎でもなんでもない)および栗田提督批判(主に海軍首脳部スタッフによる批判)についてたまに考えることがある。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
この後知恵でさえない批判or捏造に騙されて同調しているテキストをwebでしばしば見かけるのだが、共通するのは「レイテ湾が関東平野よりも広い巨大な湾だと知らない」ことだ。……と、先ほどまで思っていたのだが。
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
ちなみに同縮尺のレイテ湾付近、および東京湾付近の地図を重ね合わせるとこうなる。 pic.twitter.com/mJMSpoQsHL
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TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
有村悠氏のツィートで紹介されたCL「阿武隈」戦闘詳報twitter.com/y_arim/status/…  を読むと、まさかとは思うがひとつ疑念が生じる。 >狭隘なる湾内に入り来れる敵艦船は我が航空機にとり袋の鼠に等しきものなれば
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
CL「阿武隈」が戦闘詳報で示した「狭隘なる湾」とはいったいどこのことか?考えてみた。もちろん実際のレイテ湾ではありえない。 ちなみに「レイテ湾がいかに広大か」は、行ったことのある船乗りに聞けば良くわかる。最近は海上自衛官からも聞ける。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
さて、考えてみた。 ・戦闘詳報を書いたCL「阿武隈」の乗員が怒りのあまり筆を滑らせた ・敵の所在海面がレイテ湾ではない、本当に狭い湾であると伝えられていた ・戦後の批判者と同様に、レイテ湾の広大さを知らなかった
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
念のため:西村艦隊に命じられた「スリガオ水道海峡を通過してレイテ湾突入せよ」と言う作戦案を支持するつもりは全く無い。 自軍は狭隘なスリガオ海峡を通過し、広大なレイテ湾で自由に布陣して待てる敵軍へ飛び込むと言う作戦案で、不可解でさえある。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
もうひとつ考えてみた。可能性の低いものだが……。 「連合艦隊司令部は、レイテ湾の広大さ、スリガオ海峡の狭さを知らずに作戦を立案した」 実際のところ、どうなのだろう?
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
もちろんレイテキャンペーンでの日本側の行動は全てが「台湾沖航空戦の『戦果』が正しい」と言う幻想に基づいて行われているので、細部の疑問点を検証してifを語ってもあまり意味ない。 しかし、無意味とまでは言えない。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
レイテキャンペーンで日本軍は50万人が戦死した。当時の日本人の200人に1人が死亡した。その「細部」にはそれなりの意味がある。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
あと、21世紀になっても「栗田艦隊謎の反転」と主張する人がけっこう居る。そういう人はレイテキャンペーンの細部を無意味だとは言わないだろう。そしてまたそういう人へのわかりやすい説明を考える上でも意味があるだろう。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
「栗田艦隊謎の反転」説に同調して「反転せずにレイテ湾に突入すべきだった」と言う人に遭遇した場合、私が採っているのは「レイテ湾は関東平野より広い巨大な湾だ」と示すことだ。たいていはこれで通じる。これで通じない人もいて、私はそういう人に対して対話を諦めている。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
「レイテ湾は広いよ」と説明して通じる人と言うのは、見た範囲では「サマール島南端を回り込めばすぐにタクロバンのマッカーサー軍が砲戦射程に入る」と誤解している人だった。そう書いている書籍がいくつかあるから、そのどれかを読んだのだろう。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
佐藤大輔氏の小説「征途」ではサマール島南端を回り込んだ1YBはすぐにマッカーサー軍を艦砲射撃の射程に捉え、大戦果を上げる。 もちろん「征途」はフィクションなので、話を盛り上げるためならレイテ湾のスケールを実際よりずっと小さくしても構わない。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA
しかし佐藤大輔氏の戦史エッセイを詠むと、「征途」の描写は作劇上の都合に合わせた設定ではなく佐藤氏自身がレイテ湾の広さを全く知らないことが判る。 興味がある人はブックオフなどで探されると良いだろう。
有村悠%C91・1日目(木)東M25a @y_arim
長いあいだ北方にいたうえ、急遽スリガオ海峡へ派遣されることになった(なおかつ指揮系統まで混乱していた)志摩艦隊ですから、3番目の可能性も捨てきれないような…… twitter.com/TFR_BIGMOSA/st…
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コメント

TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA 2015年10月12日
まとめありがとうございます。 私のツィート「レイテ湾は関東平野より広い」はミスでした。「レイテ湾は広い」のは事実ですが関東平野よりは狭い。 お詫びして訂正します。
有村悠%1/22砲雷撃戦・に-10 @y_arim 2015年10月12日
TFR_BIGMOSA氏のツイート(レイテ湾は関東平野よりは狭い)を追加。
IJN(振付:西条満) @JapanNavy_Blue 2015年10月12日
大サトーはソコトラ島で機甲戦やっちゃったぐらいだからねぇ
ワス @wsplus 2015年10月12日
レイテ湾に800隻集まってる段階で艦艇だけの突入作戦立案する方がおかしい。栗田艦隊も空襲避けるのに何度も反転しながら進軍してたし。
百合専務理事山田定康 @akaihaniwa 2015年10月12日
征途はな、物語的にも熱い場面でしかもご丁寧に図まであるから、喜んで誤解しちゃうのだ
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA 2015年10月13日
追記:「栗田艦隊の反転は謎ではない」と言う記述と「レイテ湾の広さの指摘」との間には関係があるとは書いておりません。web上を見ていたら「レイテ湾の広さが栗田艦隊の反転を正当化する」と解釈する人が居るようなので追記しておきます。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA 2015年10月13日
「栗田艦隊は反転せずレイテ湾に突入すべきだった」と主張する人(『謎の反転』論を支持する人)は多くの場合「あと少し進めば勝利あるいは大戦果が挙げられた」と誤解している。 これに「あと少しなんてものではない」と指摘した一連の呟きでした。 栗田艦隊が反転した理由は栗田提督ご自身が語られており、謎ではありません。
たま @nac03056 2015年10月14日
子供の頃に読んだ戦記物で、見渡せる湾内に船がひしめき合っていて、突っ込めば撃ち放題かのようなイメージで書かれていた感じだったので不思議に思っていたけど、重ねた地図を見る限りはそういうレベルではなさそう。
_ @wholescape 2015年10月14日
地図で見る限りレイテ湾は丁度相模湾くらいの広さですね。葉山・真鶴間だと考えれば、狭いと言えば狭い。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月25日
話題に乗り遅れたけど、『証言記録太平洋戦争 作戦の真相』 http://www.amazon.co.jp/dp/B000J9E2WO で、栗田提督が昭和20年10月に米軍の尋問に答えて"レイテ湾内の狭い水域では、艦隊の展開する余地がありません"と証言したとされていて興味深い。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月25日
p189 問(尋問官)「レイテ湾内のアメリカ侵攻軍の輸送船団を攻撃するよりも、米機動部隊を攻撃したほうが、より有利だと判断したというわけですか」 答(栗田提督)「レイテ湾内の狭い水域では、艦隊が展開する余地が有りません。それと比べて外海では、同じ攻撃を受けるにしても、進退の柔軟性を持った強力な戦闘部隊になることが出来ると思います」
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月25日
この辺は実際に本人がそう認識していたのか、記憶違いだったのか、敗戦後の尋問という場でそのような証言を行ったほうが有利だという判断があったのか、という文脈は判断する必要があるものの、栗田提督自身が「狭くて艦隊が展開する余地が無い湾」だと証言したと(翻訳の過程で歪められて無ければ・・・だけど)。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月25日
後この本、尋問の全部が収録されているわけじゃなくて"(......)"で省略されてる箇所もあって、そこでどういうやり取りが有ったのか気になる。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月25日
今だったら気合入れて探せば元になった証言録がweb上で引っかかりそうなものだけど、探してない。
TFR_BIGMOSA(首輪つきの温和で可愛い大猫) @TFR_BIGMOSA 2015年10月27日
>Ka-Kaさま ありがとうございます。 http://www.ibiblio.org/hyperwar/AAF/USSBS/IJO/IJO-9.html 1945年10月16日、17日に米軍が栗田提督に対して実施した尋問など紹介してみます。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月27日
おお!原文が。 http://www.ibiblio.org/hyperwar/AAF/USSBS/IJO/IJO-9.html のp46 "Q. Do you mean that you felt it more"...以下のやり取りですね。
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月27日
"A. In the narrow confines of LEYTE Gulf I couldn't use the advantage that ships have of maneuvering, whereas I would be a more useful force under the same attack with the advantage of maneuver in the open sea."
Ka-Ka @ka_ka_xyz 2015年10月27日
阿武隈戦闘詳報もだけど、やっぱり前線部隊で「機動の余地が限られた狭い湾」というイメージが共有されてたんじゃないかなと言う気がするものの、そんなことがあり得るのかどうか。
Yu Yamaguchi @Yu_Yamaguchi_ 2015年11月2日
・当時の艦上機の作戦半径は数百キロ。 ・当時の戦艦の射程は20~30キロ。 ・艦隊の移動速度はいくら遅くても20ノット(時速36キロ)以上、 機動部隊だけなら30ノット(時速54キロ)ぐらい出せる。 ということを考えると、東西も南北も100キロ程度のレイテ湾はそれほど広いかな、と思う。
Yu Yamaguchi @Yu_Yamaguchi_ 2015年11月2日
ラバウルからガダルカナルまでが1000キロぐらいなので、海軍の感覚だと1000キロなら充分攻撃圏内で、そうすると100キロというのは(いくら敵機の航続距離が短いとは言え)すごく狭い、と考えていたのではないか。
こざくらちひろ @C_Kozakura 2015年11月2日
自艦隊で作戦行動をするには狭いというよりも、敵軍にとって索敵範囲の絞込みが容易であるという意味で狭いってことじゃないの?
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