【レイテ沖海戦】レイテ湾は広かった&志摩艦隊の話。
軽巡洋艦阿武隈戦闘詳報の捷一号作戦批判
その3 アジア歴史資料センター所蔵の「軍艦阿武隈フィリピン沖海戦戦闘詳報」 is.gd/pEunkd で、「捷一號作戰ニ於ケル戰訓所見」としてレイテ沖海戦での連合艦隊の作戦指導が激烈に批判されているのを見つけた。 pic.twitter.com/XlYQbW98fH
2015-10-07 10:51:47戦艦大和戦闘詳報の作戦批判に匹敵する苛烈さ。 「戦艦を局地夜戦に使用することの不可なることは既に「サボ」島沖海戦に於て経験済なるが捷一号作戦に於て漫然此の過誤を繰り返せるは誠に遺憾千万なり」 「上級司令部は下級司令部の作戦計画を検討し不良なる箇所は即時改めしむるを要す」 (続く)
2015-10-07 10:55:35「捷一号作戦に於ける1YBの第三部隊(B×2 CA×1 d×4)は(中略)何等為す所なくして敵の集中射撃を蒙りd×1を除き他は全部壊滅せり」 「第三部隊の突入計画の如きは誠に愚の骨頂とも云ふべく如何なる作戦目的を抱きて行動せるや万人の等しく疑問視するところなり」 怒り狂っている。
2015-10-07 10:58:19このあとの捷一号作戦そのものに対する「こうすりゃよかったんだよ!」という指摘が非常に興味深い。誰が書いたんだろう? 「若し敵の有力部隊を「レイテ」湾内に牽制控置せしめ第一・第二部隊の戦闘を有利に導かんが為ならば第三部隊は湾内に夜間突入する要なく湾外より反転して可なり」 (続
2015-10-07 11:04:57承前) 「又敵の母艦部隊を誘致し其の艦上機を吸収して味方の航空作戦を有利に導く為ならば「レイテ」湾に突入するが如き擬勢を示し昼間対空砲火に依り吸収せる敵機を撃墜するを可とす何れにしても有力なる敵が準備万端怠りなき邀撃配備に就きある中に漫然突入して自滅するは無意義なり」 (続
2015-10-07 11:07:05承前) 「狭隘なる湾内に入り来れる敵艦船は我が航空機にとり袋の鼠に等しきものなれば第三部隊を以て追出す必要なし航空機に依る昼夜間攻撃及小艦艇特種艦艇による殴り込等により撃滅すれば可なり (続
2015-10-07 11:10:07承前) (第三部隊も主力を湾内に突入せしむることなくd×2程度を好機湾内に突入せしむるが如き作戦に出でなば若干の成果を挙げ得たるものと思考す)」 壊滅した西村艦隊を前に為す術もなく、自らも多くの犠牲者を出して沈んだ阿武隈の中の誰かの言葉と考えると実に重い。ってか神重徳批判だな。
2015-10-07 11:12:15連合艦隊司令部はレイテ湾の広さを知っていたのか?
WW2終結後しばらくしてから日本で発生した「栗田艦隊謎の反転」論(謎でもなんでもない)および栗田提督批判(主に海軍首脳部スタッフによる批判)についてたまに考えることがある。
2015-10-11 13:12:20この後知恵でさえない批判or捏造に騙されて同調しているテキストをwebでしばしば見かけるのだが、共通するのは「レイテ湾が関東平野よりも広い巨大な湾だと知らない」ことだ。……と、先ほどまで思っていたのだが。
2015-10-11 13:13:50ちなみに同縮尺のレイテ湾付近、および東京湾付近の地図を重ね合わせるとこうなる。 pic.twitter.com/mJMSpoQsHL
2015-10-11 13:32:41有村悠氏のツィートで紹介されたCL「阿武隈」戦闘詳報twitter.com/y_arim/status/… を読むと、まさかとは思うがひとつ疑念が生じる。 >狭隘なる湾内に入り来れる敵艦船は我が航空機にとり袋の鼠に等しきものなれば
2015-10-11 13:16:29CL「阿武隈」が戦闘詳報で示した「狭隘なる湾」とはいったいどこのことか?考えてみた。もちろん実際のレイテ湾ではありえない。 ちなみに「レイテ湾がいかに広大か」は、行ったことのある船乗りに聞けば良くわかる。最近は海上自衛官からも聞ける。
2015-10-11 13:22:08さて、考えてみた。 ・戦闘詳報を書いたCL「阿武隈」の乗員が怒りのあまり筆を滑らせた ・敵の所在海面がレイテ湾ではない、本当に狭い湾であると伝えられていた ・戦後の批判者と同様に、レイテ湾の広大さを知らなかった
2015-10-11 13:24:24念のため:西村艦隊に命じられた「スリガオ水道海峡を通過してレイテ湾突入せよ」と言う作戦案を支持するつもりは全く無い。 自軍は狭隘なスリガオ海峡を通過し、広大なレイテ湾で自由に布陣して待てる敵軍へ飛び込むと言う作戦案で、不可解でさえある。
2015-10-11 13:27:41もうひとつ考えてみた。可能性の低いものだが……。 「連合艦隊司令部は、レイテ湾の広大さ、スリガオ海峡の狭さを知らずに作戦を立案した」 実際のところ、どうなのだろう?
2015-10-11 13:29:35もちろんレイテキャンペーンでの日本側の行動は全てが「台湾沖航空戦の『戦果』が正しい」と言う幻想に基づいて行われているので、細部の疑問点を検証してifを語ってもあまり意味ない。 しかし、無意味とまでは言えない。
2015-10-11 13:32:01レイテキャンペーンで日本軍は50万人が戦死した。当時の日本人の200人に1人が死亡した。その「細部」にはそれなりの意味がある。
2015-10-11 13:33:24あと、21世紀になっても「栗田艦隊謎の反転」と主張する人がけっこう居る。そういう人はレイテキャンペーンの細部を無意味だとは言わないだろう。そしてまたそういう人へのわかりやすい説明を考える上でも意味があるだろう。
2015-10-11 13:37:09「栗田艦隊謎の反転」説に同調して「反転せずにレイテ湾に突入すべきだった」と言う人に遭遇した場合、私が採っているのは「レイテ湾は関東平野より広い巨大な湾だ」と示すことだ。たいていはこれで通じる。これで通じない人もいて、私はそういう人に対して対話を諦めている。
2015-10-11 13:39:35「レイテ湾は広いよ」と説明して通じる人と言うのは、見た範囲では「サマール島南端を回り込めばすぐにタクロバンのマッカーサー軍が砲戦射程に入る」と誤解している人だった。そう書いている書籍がいくつかあるから、そのどれかを読んだのだろう。
2015-10-11 13:42:44佐藤大輔氏の小説「征途」ではサマール島南端を回り込んだ1YBはすぐにマッカーサー軍を艦砲射撃の射程に捉え、大戦果を上げる。 もちろん「征途」はフィクションなので、話を盛り上げるためならレイテ湾のスケールを実際よりずっと小さくしても構わない。
2015-10-11 13:49:12しかし佐藤大輔氏の戦史エッセイを詠むと、「征途」の描写は作劇上の都合に合わせた設定ではなく佐藤氏自身がレイテ湾の広さを全く知らないことが判る。 興味がある人はブックオフなどで探されると良いだろう。
2015-10-11 13:52:36長いあいだ北方にいたうえ、急遽スリガオ海峡へ派遣されることになった(なおかつ指揮系統まで混乱していた)志摩艦隊ですから、3番目の可能性も捨てきれないような…… twitter.com/TFR_BIGMOSA/st…
2015-10-11 13:28:32