南京事件についてのツイートとかもろもろ
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「南京事件」をテーマにしたNNNドキュメントをBSの再放送でみる。丹念な取材に裏打ちされた労作、同業者として敬意を表する。この番組と数年前のNHKスペシャル「日中戦争」の2本を見れば、この問題を考えるときの前提となる客観的な事実関係をほぼ押さえることができると思う。
2015-10-11 12:01:11犠牲者が「30万人」かどうかかはともかく(この数字はぼくも疑っている)、当時、南京周辺において捕虜や非戦闘員の大量殺戮が行われたことは疑いようがない。日本外務省もせめてその事実を踏まえたうえでステートメントを発してくれないことには国民として恥ずかしい。
2015-10-11 12:05:13一部の右翼さんが騒ぐのは、そもそも彼らは事実を直視する気などない「妄想史観」だから、ご勝手にと思うだけだが、国の公的機関まで歴史修正主義的な姿勢を公にするのは全く恥ずかしいことだ。日本政府の姿勢が現在の国際常識から大きく逸脱していることは世界記憶遺産の指定からも明らかである。
2015-10-11 12:10:30「国辱」という言葉は、現在の政府のためにある言葉だとつくづく思う。今回の外務省等の対応の恥ずかしさ…NNNドキュメントは奇しくも絶好のタイミングでの放送となった。マトモな日本人(マスメディア)もたくさんいるということをこの番組を通して知ってほしいものだ。
2015-10-11 12:15:24中国戦線における捕虜の大量殺戮について。ぼく自身、当時の殺戮の現場を撮った写真を見たことがある。北海道の田舎町で、家の改修を行なった大工さんが天井裏から見つけたアルバムの中にあった。亡くなった先代が隠しておいたものらしい。遺族に見せるわけにもいかず、持ち帰ったという。
2015-10-12 08:41:00その写真が南京で撮ったものかどうかはわからない。日本刀での斬首の瞬間、生首の写真等があった。所有者の出征時の記念写真から始まるアルバムの中に、ごく普通にこうした写真が混ざっていた。家族に見せられず、かといって捨てるのも忍びなくて天井裏に隠しておいたものなのだろう。
2015-10-12 08:47:33そういう話は、1956年生まれのぼくの子ども時代にはいくらもあって、生き証人も健在だった。中国大陸での「虐殺」は当時の日本人のあいだでは「常識」だったといっていい。親戚のおじさんが酔うと中国人殺しの話を得々とするので腹が立ってしょうがなかったという友人の話を聞いたこともある。
2015-10-12 08:51:07潮目が変わったきっかけは1973年、鈴木明の「南京大虐殺のまぼろし」が上梓されたことだろう。鈴木はこの本で戦時中に日本の新聞が喧伝した「百人斬り競争」がフィクションであったことを明らかにした。しかし、軍民合わせて数万人規模の殺戮があった事実そのものは否定していない。
2015-10-12 08:57:13鈴木明が書いたのはあくまで「南京大虐殺のまぼろし」だったが、それがいつの間にか「南京大虐殺はまぼろし」にすり替えられていった過程をぼくはリアルタイムで体験している。「いくらなんでも30万人はあり得ないだろ」といった部分否定が「虐殺」自体をなかったことにする全否定にすり替えられた。
2015-10-12 09:02:18生き証人たちの多くが鬼籍に入ると、「戦後を知らない」世代の人たちが、歴史修正主義者たちのすり替えを真に受けて、「南京大虐殺は中国共産党のプロパガンダによるでっち上げ」などと(ぼくたちの世代からすれば)非常識極まりないことを言い始めた。ぼくはそれを苦々しい思いで見つめてきた。
2015-10-12 09:08:30今回のNNNドキュメントが優れているのは、中国側の資料に依らず、当時の日本兵が遺した日記や証言等「日本側の一次資料」から殺戮を裏付けていった点にある。こうしたことは、先に書いたようにかつての「常識」だった。その常識が通じなくなった時代に原点に立ち戻ってやり直したことに意味がある。
2015-10-12 09:16:38ついでに書いておけば、Nスペの「日中戦争」では、両側のイデオロギーの手垢にまみれた「南京大虐殺」という言葉を一度も使っていない。政治宣伝などのイデオロギーを一切排して、客観的に認められることのみに立脚して殺戮の事実を裏付けた。始めから「見たくない」人を除けば、事実が見えるはずだ。
2015-10-12 09:23:42ちなみにこの番組はその年の文化庁芸術作品賞最優秀賞を受賞している。つまり、客観公正な報道姿勢が「お国に認められた」(笑)わけで、決して「反日番組」といったものではありません(どこかの莫迦が勘繰るといけないから書いておくと自民党政権時代…受賞時点では第一次安倍内閣…の話ですぞ)。
2015-10-12 09:31:52南京での殺戮の有無についてぼくに「反論」(?)を寄せてくる人たちの大半が明らかにNNNドキュメント「南京事件」を見ていない。この番組が明らかにした論点をまるで踏まえてないからそうと判る。見たいものだけを見てそれを信じる、見たくないものは拒絶する人たちには薬のつけようがない。
2015-10-13 00:21:41南京虐殺に関しては、旧日本軍OB組織偕行社が「虐殺はなかった」と立証しようとしてOBに調査したら、逆に虐殺を裏付ける証言・証拠が相次ぎ、成果をまとめた「南京戦史」で「中国国民に詫びる」と率直に書いた。問題は規模で、秦郁彦氏は「永遠の推計作業」としている。その規模が今の摩擦の原因。
2015-10-13 10:08:39たしかに虐殺30万人は誇張と思うし、これは外交戦の様相を呈しているけど、「南京虐殺全否定」は日本の立場を悪くするだけだと思う。中国は経済が失速気味で、国民の目を外に向けたがっているだろうし。かつての専制国家から生まれ変わった日本を国際社会に印象づけるのが一番の成果につながるはず。
2015-10-13 10:18:53南京事件について「世界戦争犯罪辞典」(編集委員長・秦郁彦氏)では「日本軍の南京攻略から南京城内外の掃討の間およびその後の安全区における兵民分離工作の間に生起した不法殺害・略奪・強姦など」とし、その中核は「不法殺害。すなわち虐殺である」と論じる。
2015-10-13 10:33:30(承前)その規模を、 ①30万人以上説(中国側公式数値) ②20万人以上説(南京事件調査研究会) ③約4万人説(秦郁彦) ④1~2万人説(偕行社「南京戦史」など) ⑤虐殺否定説(田中正明など) とし、多くの史料・証言などから①と⑤を「実証性の乏しい空疎な論」とした。
2015-10-13 10:41:35(承前)研究の焦点は「虐殺の規模・様態・要因」としている。 そして、虐殺が起きた主因として、 ①不明確な日本軍の捕虜対策 ②日本人の捕虜および中国人に対する蔑視感 ③中国軍の指揮統制力喪失と民衆保護対策の欠如 を挙げた。
2015-10-13 10:45:31「世界戦争犯罪辞典」は日独研究者による大著。巻頭に「20世紀は『戦争と虐殺の世紀だった』」「日本がその渦中にあったことは、ある世代以上の日本人にとって実感であり、痛感」。「21世紀に同じ愚行を繰り返すのか、歴史の教訓と知恵を生かして平和と協調の方向へと進むのか、予断を許さない」。
2015-10-13 11:11:34虐殺の規模の研究はすべきだろう。しかし、南京虐殺の存在自体を否定するのは、「歴史の教訓と知恵を生かす」方向ではないと言わざるを得ない。
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