hmm... 独軍7.92mm PzB39対戦車銃と赤軍の関係が面白い。彼らは41年夏にはコレを鹵獲してるんだけども、試験の結果から優秀だと判断されて国産化を検討してたらしく。8月9日には「同型対戦車銃を今年中に3万挺」の生産指示が出てて、9月には2挺の試作さえ出来ていた
2015-08-12 18:20:05面白いのは、7.62mmでなく7.92mmの、まったく独軍仕様弾薬そのままに生産する気だったらしいこと。どうせ新系統の弾薬になるんだから口径統一する意味は無いし、なら独軍の弾も使えるほうが便利じゃろって事かしらね
2015-08-12 18:23:38結局PzB39の赤軍仕様は量産には移りませんでしたが、もしもうちょっとPTRD/PTRSがモタついてたら、独軍のと丸っきり同じ対戦車銃がソ連で生産されてた可能性も無しじゃなかった訳ですね
2015-08-12 18:27:34赤軍は41年7〜8月頃には7.62mm小銃弾薬向けに炭化タングステン弾芯徹甲弾も試作してて、これは20mm浸炭鋼を100〜150mで貫くという話。これは結局量産はされなくて詳細もよくわからないのだけど、なんとなく12.7mmや14.5mmのBS-41と繋がってそうな気がする
2015-08-12 19:03:48赤軍では小銃向け硬芯徹甲弾が既に物になりつつあって、7.62mm超高速弾の対戦車銃も前々から試作はしてた訳だから、いきなりPzB39を自国向けに生産したいなんて話が出てきてもそう難しさは無い(一ヶ月で試作が上がってくる程度に)という訳なんですかしらね
2015-08-12 19:09:39赤軍とPzB39対戦車銃まわりで面白いのが、鹵獲したコレを試験した時のお話。「500mで20mm、300mで20mm装甲を抜けるのは判った。でも弾が7発しか無かったんで、それ以上の能力はわからない。それでも、ともかく高性能ではあるから国産化したい」ときた
2015-08-12 19:16:28鹵獲銃砲の試験では弾薬がしばしば悩みの種となりまして。特に硬芯徹甲弾やゲルリヒ砲は弾が貴重なんで鹵獲試験が大変。例えばPaK41対戦車砲の最初の試験では、使える弾が3発しか無かった上に2発を外しちゃって、まったく満足の行く試験が出来なかった
2015-08-12 19:21:34先日、赤軍が独軍の7.92mm PzB39対戦車銃のコピーを実際検討してたなんて話をしてましたが……あるいはもしこの計画が実行に移されてたら、さらに一方進んで7.92mm自動銃を作ってみるってのも実際悪くない選択肢になってくるんじゃないかしらとか妄想。水陸両用戦車の武装として
2015-08-22 21:23:08ご存知、赤軍水陸両用戦車は実際豆戦車みたいなもんで、対戦車火力がほぼありません。この改善のために赤軍は12.7mmだの20mm、果ては23mmだのの機関砲を積んでみたり色々試したんですが、威力不足ないしサイズ過大で不満足。そこんとこ、7.92mm自動対戦車銃は好都合だろうなと
2015-08-22 21:27:15つまりEW141は赤軍が持っていたら実際便利だったかもしれないことだなあと思ったのです。7.92mm 318弾薬は30mm抜くくらいで、ドイツ側が赤軍戦車を殺すのに使うと殺せない相手が多いですが、逆に赤軍がドイツ戦車を殺すのに使うにゃ絶妙に良い感じの弾ですし
2015-08-22 21:32:13とは言え、この妄想が実際成立する余地は多分ありません。赤軍が7.92mm対戦車銃のコピーを検討してたのは1941年8〜9月頃ですし、その頃に今更T-37だの38だのの火力強化をあえてするとも思えないし。それともT-40ならあるいは……
2015-08-22 21:36:29軽戦車の20mm TNShの代わりに赤軍版EW141とかあると面白い気がしなくもない。とは言え、戦車殺し以外の用途ではきっとTNShのほうが便利よね
2015-08-22 21:39:44赤軍が独軍のPzB39対戦車銃を丸コピー生産しようとしてたって話は先日ちょろっとしましたが、この決定が出たのが41年8月10日で、でも同29日にはもうPTRSが採用されてるのね。このあたりからPzB39コピーの話は無用になってくる訳かしら
2015-09-29 20:00:23赤軍の認識するところでは、PzB39は距離500mにて垂直なら30mm、20度傾斜装甲なら20mmを抜くとしてる。一方PTRSの採用に関する文書では、こっちは20度20mmを抜くのは距離350mにて。あれ、PTRSよりもPzB39のほうが強力……? もちろん実際そんなことは無くて
2015-09-29 20:47:06PTRSが350mで20度20mmしか抜かないってのは、鋼製弾芯徹甲弾の場合の数字。これに対して炭化タングステン弾芯徹甲弾の場合は1000mで同じ板を抜けるし、100m垂直なら40mmも抜いちゃう。不思議なことに曳光徹甲弾のほうが少し数字が良くて、100mで50mmになる
2015-09-29 20:57:09弾種は「金属セラミック弾」「金属セラミック曳光弾」としか書いてないんで、制式化された弾種と同じものなのかどうかは判らないけども。ちなみに金属セラミックってのは所謂サーメットのことで、どうも当時の赤軍はこう呼んでたっぽいのです。炭化タングステンはここにはあまり含めないらしいけど
2015-09-29 21:02:29本当にPTRSで50mmも抜けるの? てな疑問もあるかもですが、これについては確からしいように思います。というのも、対虎射撃試験でBS-41と思しい弾を使った際に、80mm厚の側面装甲に対して深さ47mmの弾痕を生じさせているのです。50mm厚だったら多分抜けてたとこだなあと
2015-09-29 21:07:38あるいは撃たれる側に着目しても……パンターがあんな微妙な感じのシュルツェンを吊ってたり、あるいは独軍鹵獲T-34も稀に同様に改造されてるのを思うと、14.5mm対戦車銃が40mm, 45mmくらいは実戦でも抜いてきそうであるなあと思えてくるわけですね
2015-09-29 21:10:47そしてPzB39コピーとPTRSの話に戻るとして。先に挙げたPzB39の500mで20度20mmって数字は炭化タングステン弾芯入りの318弾薬で達成されたものなわけです。つまり赤軍としては、同様に希少資源を使うんなら、7.92mmより14.5mmのほうが強くておいしい話なんですね
2015-09-29 21:15:42そんなわけで赤軍でのPzB39まるごとコピー計画は1月そこらで消えちゃった訳です。仮にPTRSがコケててもPTRDやらルカビシュニコフのPTR-39が出てきちゃうだけなんで、14.5mm弾そのものが存在しないみたいなifがない限り赤軍版PzB39の登場は無さそうな話ですわね
2015-09-29 21:21:00ところで、PzB39の弾頭には小さな催涙ガスのカプセルが仕込まれてたって話があります。仮に戦車の乗員に当たらなくとも、車内で弾けて戦闘を妨害する効果が期待されたとかなんとか。図では曳光剤の前にあるちょっとした凹みに収まってるのかな pic.twitter.com/P6gdWnsFU6
2015-09-29 21:31:43この催涙ガスカプセルは量が少なすぎるとか、そも貫通時に弾芯からこぼれ落ちて戦車内に入らないとか、だいたいイマイチな話しか聞きません。それはそれとしてちょいと気になるのは、赤軍がPzB39のコピーをするにあたって、果たしてこの(微妙な)ギミックもコピーしようとしたのか? という点
2015-09-29 21:39:52結論から言うと、どうも催涙ガスカプセルもコピーしようとしてたっぽいです。弾の製造関して赤軍化学防護アカデミーとかなんとかの名前が挙がってるし、量産計画では材料の手配予定のなかに弾芯と同数の「特殊カプセル」とか、装薬とは別に割と少量の「化学物質」が計上されてたりするし
2015-09-29 21:45:04この化学剤入り対戦車銃弾は、良いものであったなら赤軍対戦車銃弾にも取り入れられたでしょうけども。でも結局14.5mmのタングステン弾芯徹甲弾は焼夷徹甲弾になりまして。結局マネしなかったということは、やっぱり催涙ガスを銃弾に詰めるってのは微妙な話だったのかも
2015-09-29 21:52:56毒入り銃弾は割とナンセンスなお話とされる感じだけども、用途によってはあり得なくもない気がしつつ、でもやっぱりナンセンスだったみたいな
2015-09-29 22:11:54