モーブ領の兵士たち -Memories of battlefield-

グランクレスト大戦MOB 参加キャラクター「モーブ領の兵士たち」の結果ログまとめ。 取扱説明書とか:http://www.evernote.com/l/AA1gbB2vqbhLqIANtn-fT4zqgBz96-Z8AFo/ 兵士名簿:https://docs.google.com/spreadsheets/d/1n2qjX4lfD5-Qo96WklWbwBcR1Lp2LFRQ46uoOmMPVXI/edit#gid=0
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吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

その昔、かの大戦が起こるその前……世界が連合と同盟に分かたれたその頃から、散発的に小競り合いを続けていた地域があった。

2015-10-24 19:28:24
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

その地域はある争いにおいて、ネイム・ノナイ・モーブという名の連合の領主の勝利によって連合の版図に組み込まれることとなる。

2015-10-24 19:30:36
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

……そうして長い年月が流れ、連合と同盟は今ひとたび決別し、血で血を洗う争いが繰り広げられることとなる。平穏を手にしたかの領も例外なく、人々は明日の命をも知れぬ戦場へと駆り立てられた。

2015-10-24 19:32:41

前日譚I

"戦場の吟遊詩人" テレージア

吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

【前日譚】青い空の下、吟遊詩人テレージアの見た風景

2015-10-25 23:26:13
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

遠い昔の歴史に語られるような時勢のころ。それが具体的にいつであったかは資料を紐解く必要がありますが、とにかく連合と同盟の争いが始まった頃にはその境界線上にあったモーブ領も、いずれ同盟とは領を隣り合わせにすることはなくなりました。

2015-10-25 23:28:39
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

それからは大量の血がこの血に吸われることはなくなり。 連合の気風も相まったのでしょうか、完全なる平和とはほど遠いにしても、モーブ領は季節になれば穏やかにアオイの花が揺れる、大きな諍いもない平穏な領となりました。

2015-10-25 23:29:31
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

そうして、大きな争いから離れて数代。 数ヶ月ほど前にまで針は進んで。 ……連合と同盟の間の緊張が高まりはじめたその当初、現当主カレモ・モーブ氏も、今回の戦に際して大した危機感は抱いていなかったようでありました。この領は今回もただただ平和であろうと。

2015-10-25 23:31:19
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

しかし。 勇士アルトゥーク伯の敗北、そして連合の一部勢力の離反、条約の成立、同盟と条約の快進撃。みるみるうちに連合は追い立てられ、いつの間にかモーブ領の目の前にもまた、同盟の重騎士団が迫っておりました。

2015-10-25 23:31:58
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

カレモ氏は急ぎ兵を集めましたが、最前線に出ぬのならせめて、と友軍の要求に対して物資と人員を送ったばかりのこと。様々な偶然で領内に戻っていた兵士や傭兵たちこそ数名いたものの、かき集められた戦力は武器など握ったこともないような人々たちが大半の、たったの100人ばかりでした。

2015-10-25 23:32:45
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

「――戦場に出ちまえば女も子供も年寄りも関係ありゃァしねえ。せいぜいテメェで気ィ張って生き残るこったな」 ……頬に傷のある体格のいい傭兵の方が、切り株にどかと腰掛け、いかにも面倒といった顔で10名程度の男女に向かってそう言い、それから首を大仰に振りながら息を吐いてみせました。

2015-10-25 23:35:15
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

「……と言いてェとこなんだが、残念なことにテメェらと俺様は同部隊、一蓮托生、テメェらが引っ張る足は俺様の足と来たモンだ。せいぜい生き残るイロハを叩き込んでやるからよーく耳かっぽじって聞け。まずは武器を持て。次は……」

2015-10-25 23:36:10
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

……戦いを知らない彼らを鍛えてほしいと、それがカレモ氏からの要望なのでしょう。引け腰で槍を握る農民の青年を怒鳴りつけながら、それでも槍の握り方から突き方をあれやこれやと指示する傭兵の声。頷く以外には一言も口を開かず、傭兵に張り倒されても重い顔で立ち上がりまた槍を構える青年。

2015-10-25 23:36:46
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

恐らくこの光景は、彼らの部隊だけが特別そうだというわけでもないのでしょう。 これまで他の地域よりもより多く平穏を享受してきた対価を取り立てんと言わんばかりに、領内の空気は重く、暗く。こんなにも明るく青い空とは対照的に。

2015-10-25 23:37:40
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

――同盟の軍馬がこの地に馬蹄を轟かす、その数日前の出来事。

2015-10-25 23:37:49

前日譚II

"帽子を被った女" デリア

吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

【前日譚】どこにでもある不幸な現実

2015-10-27 01:48:03
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

どうにも被った帽子の位置がしっくり来ず、彼女はガラスに映るおぼろげな自分の姿を難しい顔で見つめていた。そこから、ふと視線を動かして窓ガラスの外に見出したのは、別の部隊が槍に見立てた棒をぎこちなく振り回すその様子。

2015-10-27 01:49:00
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

(――ああ、どうしてこんなことに) 帽子を被った女は深く深く絞り出すように息を吐き出した。

2015-10-27 01:49:29
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

……急拵えの100人の兵士は、10人ずつ10個の部隊に分けられ、他勢力の動きを見渡せるであろう砦の近くに駐留することとなった。そうして空いた時間は、各々の部隊が訓練をしたり、支給された武器を手入れしたりと「その時」に向けて時間を過ごしている。

2015-10-27 01:50:35
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

彼女の部隊はこれから持ち回りの食事当番である。訓練の汗と埃を落として、身綺麗にして、さあ、といったところで飛び込んできた窓の外の風景は、無我夢中で棒を振っていた時よりもなお自分が置かれている状況を冷酷に突き付けてきて陰鬱にさせてくれる。

2015-10-27 01:51:58
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

(あの子たちは元気にしているかしら。  ……ああ、旦那様が変な気まぐれを起こして、奥方様のひんしゅくさえ買わなければ、こんなところに来なくても良かったはずなのに)

2015-10-27 01:52:17
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

これまで平凡に生まれ育ってきた女が、ちょっとした不運で人生の坂を転がり落ちて、今では棒切れを握って殺伐とした戦場と隣り合わせで立っている。 同じような境遇の女たちとそんなこんなを嘆きあって数日、気など晴れることもなく、分かったことはたったひとつ、

2015-10-27 01:53:16
吟遊詩人テレージアの手記 @gcMobMobs

――そう、そんな境遇の人間は私だけじゃなくて、たぶんきっと、ここにいる大半がそんな小さな不幸でこの場所にいる。

2015-10-27 01:53:58
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