岡山大・津田敏秀氏の論文の問題点を解説した英語YouTube動画"Fukushima Thyroid Cancer?"

岡山大・津田敏秀氏の論文(2015年10月5日プレプリント公開) http://journals.lww.com/epidem/Abstract/publishahead/Thyroid_Cancer_Detection_by_Ultrasound_Among.99115.aspx の問題点を解説した英語のYouTube動画(2015年10月22日公開) https://www.youtube.com/watch?v=Ztg29UGIO2s の音声部分を@hirokiharoki さんが抄訳して下さいました。動画と並べてご覧いただければ幸いです。
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hiroki @hirokiharoki

youtube.com/watch?v=Ztg29U… 2015.10.22のyoutube動画の、大雑把な和訳。2週間前のニュースで、原発事故後の福島で甲状腺がんが爆発的に増えていると報道された時には、そのニュースに私は特に懐疑的ではなかった。

2015-10-28 22:42:54
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hiroki @hirokiharoki

実際、原発事故後にチェルノブイリでは甲状腺がんが大幅に増えた。ジャーナルに論文が発表された。 しかし、両陣営の専門家達の意見を聞いているうちに、私はこの論文がとんでもない詐欺的な、まやかしだと判断するようになった。以下にその理由を説明する。

2015-10-28 22:43:08

(↑動画の音声ではpeer-reviewed journal=「査読付きの雑誌」と言っています。掲載までに同じ分野の専門家による査読が行われ、修正指示や不採択決定を受けることもある査読付き雑誌の論文は、一般には著者が書いたものがそのまま印刷公表される単行本や国際会議の発表抄録、大学や研究所の紀要より内容の信頼性が高いとされていますが、残念ながら常にそうだとは限りません)

hiroki @hirokiharoki

論文は、現在進められている甲状腺がんスクリーニング検査に基づいたものだ。しかし、その甲状腺がんスクリーニング検査を行っている科学者達に許諾、承認されたものではないのだ。その検査を行っている科学者達は福島県立医科大学から来ている。

2015-10-28 22:43:19
hiroki @hirokiharoki

そして彼ら(福島県立医科大学の科学者達)は、このど派手な見出しの論文に賛成していない。彼らのコンセンサスは「今現在はまだ、福島第一原発事故による放射線影響で甲状腺がんが増加するかどうか、といった結果が見えるような時期ではない」

2015-10-28 22:43:28
hiroki @hirokiharoki

もう一つ重要な、理解すべきポイント。「見つかっている甲状腺がんが増えていること」が、「甲状腺がんで治療を求める患者が増えている」ことではない、ということだ。そうではない。

2015-10-28 22:43:39
hiroki @hirokiharoki

一番いい説明としてはこうだ:「甲状腺がんスクリーニング検査により甲状腺がんの発見が増えているが、この検査をしなければ発見されなかった初期ステージのものを含めた、各ステージの甲状腺がんが狩り出されて見つかっている」

2015-10-28 22:43:46
nao @parasite2006

YouTube動画”Fukushima Thyroid Cancer?”より:スクリーニング導入前と後の甲状腺癌検出(スクリーニンングにより自覚症状が出る前から検出される) pic.twitter.com/vZbgNhpilU

2015-10-29 06:26:15
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hiroki @hirokiharoki

小さい甲状腺がんは見つけるのが相当に困難だ。このスクリーニング検査が行われていなければ、見つかった甲状腺がんは、かなり大きくなって症状が出はじめたものだけだったろう。症状が出れば患者は甲状腺がんの治療を求めてこざるをえない。

2015-10-28 22:43:56
hiroki @hirokiharoki

であるから、甲状腺がんスクリーニング検査後に増えたように見える甲状腺がんは、幻としてのエピデミックだ。 プレ・スクリーニング時ケースのデータと、スクリーニング検査後のデータを比較したからこう見えてしまう。このような現象をディテクションバイアスという。

2015-10-28 22:44:19

detection bias=検出バイアス

nao @parasite2006

YouTube動画”Fukushima Thyroid Cancer?”より:検出バイアスの説明図(スクリーニング導入前と後の検出率を比較すると検出バイアスが生じる) pic.twitter.com/O7VmD9F9MR

2015-10-29 06:30:19
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hiroki @hirokiharoki

ディテクションバイアスを防ぐために、福島県立医科大学の科学者達はプレ・スクリーニング時ケースのデータを除外して検証を進めている。このようなデザインの考え方だ。

2015-10-28 22:44:48
nao @parasite2006

YouTube動画”Fukushima Thyroid Cancer?”より:福島県の甲状腺検査の計画(1巡目=最初の3年間は検出バイアスを排除して放射線の影響がない状態を把握し、2巡目以降との比較の基準にする) pic.twitter.com/CfppXWAsS5

2015-10-29 06:34:34
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hiroki @hirokiharoki

こうすれば、ディテクションバイアスを避けることができる。 ところが、このど派手な見出しの論文の執筆者は、短絡的にも、プレ・スクリーニング時ケースのデータと、スクリーニング検査時のデータを比較している。

2015-10-28 22:45:23

headline-grabbing study=ど派手な見出しの論文
(動画作者の造語?津田論文をさしています)

hiroki @hirokiharoki

こんなことをすれば、バーチャルには、甲状腺がんが激増するエピデミックな結果が叩き出されるーそういったことが確約されてしまう。

2015-10-28 22:45:35
hiroki @hirokiharoki

このど派手な見出しの論文は、さらに、これまでリサーチを無視している。このど派手な見出しの論文のソースやデータに、これまでのリサーチを当てはめれば、実際のスクリーニング有病率は下がり、予想の範囲内に収まる。

2015-10-28 22:45:41

(↑動画の音声ではprior research=「過去の研究」と言っています。動画のナレーションでは「津田論文が検出バイアスの大きさを予測した過去の研究(これはJacobによる2014年の論文 http://bit.ly/1PVgq7h をさし、実際に津田論文には引用されていません)を無視している」と非難しておいて、実際に比較しているのは検出バイアスの大きさではなく、1巡目の検査が完了する前にJacobが計算して2014年論文として投稿している検出率の予測値と、1巡目の検査結果の確定版から計算した全県の検出率の実測値ですので、ここの議論はちょっと動画作者の頭が混乱しているような気がします。
ここでわざわざこの議論を持ち出さなくても、あとで行う年齢分布の比較で福島の1巡目の結果がチェルノブイリと明らかに異なることが言えれば、津田論文の主張が成立しないことを示すのに十分です)

nao @parasite2006

YouTube動画”Fukushima Thyroid Cancer?”より(補足):福島県の甲状腺検査の甲状腺癌検出率の比較(上は平成24年度実施分の予測値の95%信頼区間、下は1巡目確定結果から算出) pic.twitter.com/0OiuJdLxsw

2015-10-29 09:07:22
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上の予測値は2013年8月に投稿されたJacobらの論文 http://bit.ly/1PVgq7h (2014年1月採択)に追加された訂正 http://bit.ly/1PVgyUt (2014年3月公表、表1の信頼区間の計算間違いを修正)に掲載されていたもので、この論文には執筆当時一次検査が完了していた平成23年度実施分(2011年10月-2012年3月)と平成24年度実施分(2012年4月-2013年3月)に限り予測値が掲載されています。
下の実測値は1巡目の確定結果 http://bit.ly/1RzoSs3 (2015年6月30日現在)から算出したもので、(悪性+悪性疑い)/一次検査受検者数x100=113/300476x100=0.037%0.04%ということになります。

[2015.10.30追記]
下の実測値は1巡目の確定結果(2015年6月30日現在)から算出した(全県ではなく)平成24年度実施分の実測値でした。動画作者は県民健康調査の甲状腺検査確定結果英語版のp.9、表8(http://fmu-global.jp/?wpdmdl=1222#page=9 )から引用しています。

hiroki @hirokiharoki

つまり纏めると、このど派手な見出しの論文で示された証拠としてのデータは、ただ単にディテクションバイアスを紹介しているだけということになる。

2015-10-28 22:46:10
hiroki @hirokiharoki

このど派手な見出しの論文の執筆者は、これまでリサーチにより示された結果を正確に見ることができておらず、予想の範囲内に収まるデータを、甲状腺がんが激増するエピデミックな結果だと、我々に信じ込ませたいようだ。

2015-10-28 22:46:15
hiroki @hirokiharoki

今まで述べたことは、それはそれとして、原発事故後のチェルノブイリの甲状腺がんデータを参考に見ると、(福島でも)今からの数年間で、甲状腺がんが増えることは有り得るかもしれない。 以下で、これもまた重要な事実を述べる。我々は、まだ、放射線の影響が見えていない。

2015-10-28 22:46:36
hiroki @hirokiharoki

今までの研究結果で、放射線の甲状腺がんへの影響は、子供達に特に非常に大きいことが分かっている。このグラフを見ると、子供になるほど影響が急上昇していることがわかる。年齢が上がると影響は下がってゆく。

2015-10-28 22:46:41
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コメント

亜山 雪 @ayamasets 2015年10月29日
はっきりするまで後5年はかかる。
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S_Imajo @SI_kyotoNH 2015年10月29日
もう何年か必要かもとはいえ、スケールとしては統計的に有意な増加が現れたとしても精査した上でギリギリ増加が見える程度の小さな変化になるようなスケールの話だと思う。ここまでわかっている状況で1と100を同じウェイトで語るような姿勢を取るのは不適当だろう。
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蕪野(白土龍) @kaburanoshun 2015年10月29日
作成者の GoddardsJournal がどういう人(たち?)なのかと気になったけど、このサイトの方ですよね http://www.iangoddard.com/index.html 。何にしても、まだ結論は出せないし、今現在結論を急ぐ人は、専門家からの批判とそれ以外によるスルーということでよいのだろうと、たぶんこの方と同じ感想。
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nao @parasite2006 2015年10月30日
まとめを読み直し説明を一部修正しました。あわせて最後のリンク集にリンクを1本追加しました。
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nao @parasite2006 2015年10月30日
英語音声の書き起こしと全訳がご入用の方、まとめ主までダイレクトメッセージでご連絡ください。
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