管楽器の基本的な奏法;母音の発声による響きの獲得

日本人が管楽器を演奏する上で必要と思われる、響きの出し方について書きました。コンセプトは、欧米の言語の母音の発声をミミックして響きを得る、というものです。管楽器奏者、特に学生の人向けです
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さめ @HONDA_27

さて、今回のトピックがおそらく一番重要な内容となります。これまでも、この先も。何をするにも、今回の内容が出来てないとダメだし、逆に言えば、これが出来ていれば大抵の問題はクリアできるのです。言い過ぎかもしんないけどそんぐらい大事。「母音の発声による響きの出し方」スタートです!

2015-11-01 09:54:37
さめ @HONDA_27

今回は長くなりそうなのでセクション毎に分けてお話していきます。まずは前提となる話から。 (1)気候や文化の違いによる言語の差 いきなり何の話だ、と思われるでしょうが、ちゃんと繋がりますのでご安心を。えーと、今我々が吹いている管楽器は元々欧米で作られたものです。当たり前ですよね。

2015-11-01 09:54:54
さめ @HONDA_27

それが何を意味するのか?端的に言えば、「管楽器は、欧米人が普段話すのと同じように吹けば響きが出る」ということですね。彼らが自分らのために作ったものだから。そもそもそんなこと考えちゃいないだろうけどね。逆に言えば、日本人がいつも話してるように吹いても響きが出ないってことです

2015-11-01 09:55:16
さめ @HONDA_27

言語が生まれた背景から。アメリカは基本的には乾いた気候です。自身も少ない。そのような土地では、石造りの建物が作られてきました。協会とかそんなかんじでしょ?で、空気中に水分が少なくて、そういう建物の中だと、音ってめっちゃ響くんですよ。故に彼らは響きをもって会話をしてるんです

2015-11-01 09:55:35
さめ @HONDA_27

次に、日本の場合。日本は比較的多湿な環境で、地震も多い土地ですね。それで、日本では木造建築が発達してきました。湿度が高い上に、木材は音を吸収します。これでは音は響きません。そのため、日本人は突き刺すような"音"でお互いに声を届けあっていました。言語の性質として、響きはないのです

2015-11-01 09:55:51
さめ @HONDA_27

要は、英語=響きのある言語、日本語=響きのない言語、なんですね。ここで勘違いしないで欲しいのが、別に日本語が劣ってる、とか言ってる訳ではないってことです。違った背景があるから、それぞれ違う性質の言語が生まれてきた、それだけです。そこに優劣はありません。あくまで、性格の違いです

2015-11-01 09:56:05
さめ @HONDA_27

日本語と英語には今言ったような違いがあります。今回のトピックのコンセプトは、「英語の母音の発声を真似して楽器を吹くことで響きを出す」なのです。それでは、響きを出す、つまり英語の母音の発声はどのようにやればよいのか?具体的な方法について次のセクションで解説したいと思います。長いね…

2015-11-01 09:56:20
さめ @HONDA_27

(2)母音の発声による響きの出し方 そもそも我々はどうやって言葉を話しているか?多くの言語は、母音と子音の組み合わせで言葉を話しています。もちろん声帯(喉)を震わせて声を出しているのですが、母音と子音の発音は口腔内で行っています

2015-11-01 09:56:34
さめ @HONDA_27

なぜ日本語では響きが出ないのか。解説していきましょう まずは欧米の言語、特に英語にフォーカスして話します(本田自身はちゃんと言語学を学んだ訳ではないので間違ってる部分もあるかと思いますが)

2015-11-01 09:56:51
さめ @HONDA_27

Fig.1に示したのが頭部の模式図です。簡略化してますが。で、この口腔内での母音の発生位置が日本語と英語で違う、というのがポイントです。Fig.2にまとめます。それでは、Fig.2を使って解説していきたいと思います pic.twitter.com/7kmEaRlm4z

2015-11-01 09:57:12
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さめ @HONDA_27

日本語からいこうか。日本語の母音「あいうえお」厳密には単語によって使い分けてるんだけど基本的にはこの5つ。この発声は、口腔の前の方でやってます。試しに、「あー」て言ってみてください。硬口蓋(口の中の上の斜めになってるとこ。図に加えりゃよかった)が振動してるかんじ、しません?

2015-11-01 09:57:24
さめ @HONDA_27

それに対して英語では、口腔のもぅと奥の上の方、軟口蓋(口腔の天井、柔らかい部分)を使って母音の発声をしています。これができてると、先ほどの日本語とは違って口腔の後ろ奥の方が振動し、さらには頭蓋骨が共鳴しているような感覚が得られます。 この英語における母音の発声の習得方法を教えます

2015-11-01 09:57:39
さめ @HONDA_27

(3)英語の母音の発声方法 実際に発音するときは、口腔の奥、上の軟口蓋を意識します。その上で、声が頭の上に向かっていくようなイメージで、「アー」と言ってみましょう。この時、日本語の「あ」と言ってしまうとできませんのでご注意を pic.twitter.com/1LozVFYvS9

2015-11-01 09:57:56
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さめ @HONDA_27

別のアドバイスとしては、自分がオペラ歌手になったつもりで声を出すことかな?何にせよ、普段喋っている日本語とは明確にことなるものだってことを意識するのが大切やね。それともう1つ重要なこととして、発声する時絶対に力まないこと。体に力が入っちゃうと発声できるものもできなくなっちゃうから

2015-11-01 09:58:09
さめ @HONDA_27

実は、吹部とかでよく言われてる「喉を開け」というアドバイスの正体はこれなんです。この表現が間違ってるせいでみんな上手くいかないんだけど、正確には「軟口蓋を押し上げて(力まずね)発声しろ」と言うべきなの。喉を開けっていうけど、喉ってFig.1で言うところの咽頭じゃん?(続く)

2015-11-01 09:58:22
さめ @HONDA_27

普通に考えたら、喉輪を広げようとするよね。病院で口開けてください、て言われた時みたいに。そうすると喉に力が入って、軟口蓋は変わらず、良いことないどころか悪化しかしないわけよ。でも言われてる方はその通りにやってるだけなんだから、自分ができてないだけって思っちゃって悪循環。。(続く)

2015-11-01 09:58:36
さめ @HONDA_27

もしこれを読んだ人で似たようなアドバイスを受けて上手くいってはい人、もしくは指導者でそのような言い方をして上手くいってない人、今すぐこの表現を使うのをやめた方が良いです。だれも幸せにならないからね。喉を開く、じゃなくて、軟口蓋から上に向けて発声する、です。覚えておいてください

2015-11-01 09:58:50
さめ @HONDA_27

さて、話を戻しましょう。とはいっても実際に発声がどんなもんなのかわからんだろうし、どうやればいいかも今の説明じゃ不十分。ですよね。なので、デモ音声を交えてより具体的な練習方法をお教えします! Next Conan's hint!“視覚的イメージとの共役”

2015-11-01 09:59:07
さめ @HONDA_27

(4)母音の発声の練習方法 やり方は、普段の日本語の「あ」の発声から徐々に発声位置をシフトしていき、英語の発音記号(Fig.4)で「あ」に近い母音を発声することです。ここでポイントなのは、指差しの向きと発声の位置をリンクさせること pic.twitter.com/jQIQRhXyGX

2015-11-01 09:59:24
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さめ @HONDA_27

こちらが実際にその練習をやった時の音声です。最初「あ」と言ってる時は指を前に向けていて、段々上の方に角度を上げていきながら、口腔内の発声位置もズラしていく、ということです。Fig.4も合わせてみてね。こうすることでイメージがしやすい pic.twitter.com/7amZKFQDsO

2015-11-01 09:59:58
さめ @HONDA_27

発声ができてる時の目安がありまして、1つは先ほど述べたように頭蓋骨が共鳴して響いてる感覚。もう1つ、さらに明確なのがお腹の動き!英語の母音の発声ができてると、お腹が勝手に動くんです。横隔膜から来てるのかな?何にせよ、日本語の発音ではお腹は一切動きません。そこで判断してくださいね

2015-11-01 10:00:12
さめ @HONDA_27

(5)発声に付随したいくつかの重要な事項を書いてきます これまで述べてきた英語の母音の発声、これはどちらかといえば白人の喋り方なんですよ。黒人はさらに奥の扁桃腺?あたりで発声してるようです(ここらへん本田の知識怪しいけど…) pic.twitter.com/eb8Qj8PCoy

2015-11-01 10:00:48
さめ @HONDA_27

白人の母音の発声では明るくてクリアな音が出ます。黒人の発声を真似するとダークでくすんだ音色が得られます。これを使い分けられるようになったらしめたものです。しめしめ。スキャットなんかを聞いて真似するの、すごく良い練習になると思いますよ pic.twitter.com/qMTHoFw265

2015-11-01 10:01:10
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さめ @HONDA_27

もひとつ、ダイナミクスのコントロール!音量を変える際、息の量を変える〜とかなんとか言われてることと思います。実際にエアーの量は変化してるんですが、特にフォルテの時に息を吹き込みすぎてオーバーブローになってる、うるさいし響かない、というパターンもよくある話です。ならどうすればいいか

2015-11-01 10:01:23
さめ @HONDA_27

やり方→発声の強さを変えましょう!実演をのせます。このように響きを保ちつつ発声の強さを変えることで、ピアノの時もちゃんと聞こえる音、フォルテも十分楽器を鳴らしつつ響いてうるさくない音が得られます。空気の量とか考える必要すらないのです pic.twitter.com/Us1v3nt44f

2015-11-01 10:01:49